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日本相撲協会

 日本相撲協会が揺れています。いわゆる「暴力事案」が毎日、メディアを騒がせています。

 個人的には、貴乃花親方に親近感を覚えます。多分、同親方は
(1)弟子に対する暴力、もっと言えば一般的な暴力が許せない、
(2)ただ、日本相撲協会の内部の論理に任せていたら握り潰される、この2つの事を思っているはずです。

(2)については、過去の日本相撲協会を巡る様々な不祥事を見ていると想像に難くないです。なので、すべて警察に任せるという基本姿勢を貫いているのだと思います。不器用なまでの生真面目さでして、私と似たものを感じます。「理事だから、中から変えればいいではないか。」という意見はあるでしょう。

ただ、現在の理事会構成の中では貴乃花親方は圧倒的な劣勢に置かれるでしょう。だから、外からの力(警察)を必要としているのだと思います。その気持ち、とてもよく分かります。日本相撲協会内部からバッシングがリークされる度に貴乃花親方への同情が湧いてきます。

 それはともかくとして、今日、八角理事長が鈴木スポーツ庁長官を訪ねて、不祥事の謝罪をしていました。これに私は若干の違和感を持ちました。スポーツ庁と公益財団法人日本相撲協会との間には公的な関係は無いのです。別に同協会はスポーツ庁から認可されているわけではありません。現在、公益法人は(内閣府の大臣としての)内閣総理大臣の認定を受けているだけです。

かつては文部科学省からの許可を受けた財団法人でしたが、公益法人改革の中で、そういう主管官庁との関係を切り離し、現在は内閣総理大臣の認定を受けているかたちになっています。10年前に様々な不祥事があった時は公益法人改革前でしたので、当時の北の湖理事長は文部科学大臣に謝罪等に行っていましたが、その時とは公益法人の在り方が変わっています。

 なので、「スポーツ」という一般的な括りでは漠然とした関係がスポーツ庁と日本相撲協会の間にはありますが、それ以上の公的な関係はありません。むしろ、何らかの説明をするのであれば、内閣府の公益法人担当部局(例えば、担当の内閣府特命担当大臣)に説明に行くのが筋です。

鈴木長官としても直接の権限関係に無いので、「しっかりやってください」という一般的なステートメントしかやれないはずです。逆に公益法人担当部局であれば、「あまりお騒がせしていると、公益法人を取り消すぞ。」という睨みを利かせる事が出来ます。

 なお、日本相撲協会は公益財団法人です。普通に考えれば、「財団」のはずもなく、「社団」のはずです。1925年に陛下からの下賜金か賜杯を作ったという事から財団となっているようです。「社団の方が実態に即しているのだから、社団に変わったらどうですか。」と昔、話したら、あまりに会計システムが違い過ぎるみたいでもはや無理だそうです。

 更には、何故公益性が認められているかという事ですが、日本相撲協会の公益性は年6場所の興行と直接には結び付きません。以下、日本相撲協会の寄付行為をよく見てみたいと思います。

【日本相撲協会寄付行為(抜粋)】

第二章  目的および事業

第三条

この法人は、わが国固有の国技である相撲道を研究し、相撲の技術を練磨し、その指導普及を図るとともに、これに必要な施設を経営し、もって相撲道の維持発展と国民の心身の向上に寄与することを目的とする。

第四条

この法人は、前条の目的を達成するため次の事業を行う。
一 相撲教習所の設立維持
二 力士・行司の養成
三 力士の相撲競技の公開実施
四 青少年・学生に対する相撲の指導奨励
五 国技館の維持経営
六 相撲博物館の維持運営
七 相撲道に関する出版物の刊行
八 年寄・力士および行司等の福利厚生
九 その他目的を達成するために必要な事業

【引用終わり】

 第三条の目的には「興行」はありません。第四条第三項「力士の相撲競技の公開実施」が多分、年6場所の興行に当たるのかと思います。目的を少し広めに解釈しながら、興行の部分を事業に含めてきていると見ていいような気がします。

 そもそも、当初、日本相撲協会が(公益)財団法人になった経緯というのは、陛下の賜杯を賜る際、一民間団体では不都合だという理由があったようです。つまり、公益性があるから(公益)財団法人になったというよりも、(公益)財団法人にしなくてはならないという別途の理由(賜杯)があったために(公益)財団法人としたというのが当初の経緯のようです。

 日本相撲協会に対しては、あまり様々な状況や体質が改善しないのであれば、政府は公益法人認定の所を梃子にして改革を促すのが筋だと思います(というか、そこしか取っ掛かりが無いのです。)。元々の「公益性」の根拠がそれ程強くない事、公益法人認定が無くなると賜杯に影響する事等を考えれば、日本相撲協会は動かざるを得ないはずです。まずは公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律による報告及び検査からです。

【公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(抜粋)】

第二十七条 行政庁(緒方注:この場合、内閣総理大臣)は、公益法人の事業の適正な運営を確保するために必要な限度において、内閣府令で定めるところにより、公益法人に対し、その運営組織及び事業活動の状況に関し必要な報告を求め、又はその職員に、当該公益法人の事務所に立ち入り、その運営組織及び事業活動の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。 (以下略)


 私は好角家でして、とても相撲が好きです。だからこそ、きちんとやってほしいと思います。 

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