- 2017年11月28日 15:15
北朝鮮問題でもトランプ嫌いを訴える朝日
2/2■日経は「再指定」をストレートに評価
朝日と対照的に北朝鮮に対するテロ国家再指定をストレートに評価するのが、日経新聞の社説である。
冒頭から「北朝鮮は核兵器やミサイル開発に加えて国際テロ活動も支援し、国際社会を威嚇してきた。再指定は極めて妥当だ」と書き、見出しも「北のテロ国家再指定は妥当だ」と分かりやすい。
しかも「大韓航空機爆破事件後の1988年にテロ支援国家に指定されたが、ブッシュ(子)政権下の2008年に解除された。米側は当時、北朝鮮との核協議の進展を促すためだと説明したが、日本人拉致問題などが未解決なまま指定を解除したブッシュ政権の対応には批判的な見方が多かった」とブッシュ政権を批判する。
日経社説は「約9年ぶりの再指定は遅すぎたともいえる」とも指摘するが、トランプ氏も再指定を明らかにした11月20日、「何年も前になされるべきことだった」と述べ、歴代の政権を暗に批判している。
■日経は「説得工作が失敗」と書く
さらにこの日経社説が朝日社説と大きく違って興味深いのは、以下のくだりである。
まず「トランプ政権による再指定の公表は、中国が派遣した習近平国家主席の特使が訪朝から帰国したタイミングと重なった」と指摘し、「中国はかねて、北朝鮮の核問題を対話によって解決すべきだと唱えており、特使派遣で打開の道筋が見えるかが注目されていた」と書く。
そのうえで「結局、中国特使と金委員長との会談は見送られたとみられ、核問題をめぐる中朝の立場の溝は埋まらなかったようだ。米政権がテロ支援国家の再指定を発表したのは恐らく、中国による説得工作が失敗したと判断したからだろう」と推測する。
朝日社説は前述したように「中朝の関係改善の対話があった」と書いている。「説得工作が失敗した」と書く日経と180度、違う。それは朝日社説がいうように「真相が見えない」からだ。
ただ社説である以上、朝日も日経も読者が納得できる根拠を示してほしい。
■どうしても拉致解決と結び付けたい産経
次に産経新聞の社説(主張)に触れておこう。
前半で「再指定に伴う米の追加制裁と併せ、国際圧力を強める上でその意義は大きい」と評価し、拉致問題に言及する。
「日本人の拉致も北朝鮮の重大な国家犯罪である。トランプ大統領は国連演説で横田めぐみさんのケースを取り上げ、来日時に被害者家族と面会するなど、拉致問題に高い関心を示してきた」
「『テロ支援国家』再指定を拉致問題解決の契機としなければならない。そのための行動と努力が政府に求められる」
拉致問題が大好きな産経社説だけある。とにかく拉致解決と結び付けたいのだ。見出しも「拉致解決にどうつなぐか」である。
■圧力強化だけで解決ができるのか
さらに産経社説は「安倍晋三首相とトランプ氏は、北朝鮮に核・ミサイル開発を断念させるため、『「最大限の圧力』をかけることで一致している」とも指摘し、「背後にあるのは、08年の合意を含め、対話を理由に核・ミサイル開発の時間稼ぎを許した過去への反省である」と強調する。
北朝鮮を許した反省は必要かもしれない。しかし圧力の強化だけで解決しようとすればするほど、北朝鮮は反発するだろう。
ここでイソップ寓話の「北風と太陽」を思い出してほしい。北風と太陽がお互いの強さを競い、旅人の衣服を脱がせようと争った物語である。
冷たい強風を吹きつければ吹きつけるほど、相手はかたくなになる。太陽がしたように自然に熱を伝えてあげれば、相手も自然と打ち解けてくる。
北朝鮮も同じだ。朝日社説が主張しているように「非核化のための対話を進めるには息の長い継続的な努力を注ぐほかない」し、また読売新聞の社説が訴えているように今後は「指定解除を非核化交渉での取引材料とする」ことも検討すべきではないだろうか。
(ジャーナリスト 沙鴎 一歩)
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