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EU首脳会議はこうなる

関係者ならずとも、経済や国際情勢に関心のある方なら、欧州のリーダーたちがこの2年間やってきたことをよく承知しているのです。

何度同じようなことを繰り返してきたか?対策を打つ。つかの間の安定。しかし、またくすぶり始める。そんなことを2年間繰り返してきた訳ですが、今週の首脳会議では、満足できる成果があるかもしれない‥なんて甘い見方も出ているのです。

何故?

それは、今までになく世界がユーロ危機に対し敏感になってきているからだ、と。例えば、先日は、世界の主要な中央銀行がドル資金の供給を一致して行うことを合意したではないか、と。そしてまた、今週はガイトナー財務長官が欧州に派遣され、念押しをするはずだ、と。さらに言えば、あのイタリアの悪名高きリーダーが交代したではないか、と。

皆さんご存知のベルルスコーニ氏から、マリオ・モンティ氏へ。確かに見るからにまじめそうな外見で‥あっという間に財政再建に向け3.1兆円を確保したのだ、とか。

まあ、そうなると楽観論が出てくるのも少しは分かる気もするのですが‥でも、今まで2年間もできなかったのが、何故急にできるようになるのか?

いつも言っているように、ユーロ危機の本質は、欧州の不良債権の処理問題であるのです。不良債権を有しているのであれば、処理を急ぐべきであるのです。いつまでもグレーな債権を大量に保有しているから疑心暗鬼が絶えないのです。

でも、不良債権を思い切って処理してしまえば、資本不足になるのが必至であり、そうして資本不足に陥れば、金融不安が再燃するのも必至であるのです。しかし、欧州の各国政府は、銀行勢に向かって、資本の充実強化をせよと命ずるばかりであり、政府が公的資金を注入する意志は全くなし。

そして、銀行勢が、自己資本比率を引き上げようとすれば、今後も価格が低下する恐れのある南欧諸国の国債を処分するのが手っ取り早いのですが、銀行がそんな行動に出るから、南欧諸国の国債の利回りを引き上げる力が働くということなのです。

ところで、各国政府が何故、公的資金を注入することができないかと言えば、そんなことをすれば、益々財政状況が悪化し、そうなればユーロ危機の収束に逆行すると考えるからであるのです。

確かに、こうして南欧諸国の財政が悪化したのは、歳入以上に歳出をするような財政運営をしていたことが原因ではあるのですが‥しかし、だからといって、今公的資金の注入をためらうようでは、ユーロ危機を封じ込めることはできないでしょう。

ですから、私の予想としては、幾らイタリアのリーダーが交代し、そして、米国が欧州にいい意味でプレッシャーをかけようとも、なかなか危機は収束しないと思うのです。

何よりドイツが、例えば今問題になっている欧州中央銀行による国債の積極的購入には最後まで反対するでしょう。少なくても今週の首脳会議でメルケル首相がそんなことを認めるとはとても思えないのです。

ですから、恐らく今週のEU首脳会議では、思い切った対策が発表されることはないでしょう。せいぜいユーロ加盟国は、厳しい財政ルールに従って財政運営を行うことになることが確認されること位でしょう。これを、彼らはfiscal unionと呼んでいるのですが、それが正式に認められるためには、長い時間を必要とすることでしょう。

でも、何故ドイツは、危機感を持たないのか?

それは例えば、欧州中央銀行による国債の買い入れを認めるケースと、それを否定するケースを比較考量してのことだと思うのです。つまり、ドイツにとっては、国債の購入を認めた場合の弊害の方が大きいと考えているのではないでしょうか?

仮に欧州中央銀行による国債の買い入れを認めるようなことをすれば、現在のユーロ危機からは脱出が可能であるかもしれないが、しかし、南欧諸国による財政再建の努力がなおざりにされ‥ひいては問題の抜本的な解決につながらず、将来にまた危機がぶり返す恐れがある、と。

その反対に、欧州中央銀行による国債の買い入れを認めることをしなければ、市場には失望を与える可能性はあるものの、しかし、仮に失望を与えても、この2年間、そうやって時間を稼いできたわけだし、今後もそうして対応が可能であろう、と。

それに、ドイツにすれば、現在のユーロの価値は、自国の輸出産業にとって十分低いものであり、これ以上ユーロが低下することによって、ドイツはそれを逆利用しているなんて悪口を言われることを恐れているということもあるのでしょう。

つまり、今のユーロはドイツにとっては、十分安すぎるレベルであり、今の状況がドイツ自身にとっては、それほど居心地が悪いとも思っていないということでしょう。

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