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(余りに偏った)ちきりん論

最初に言っておこう。私はChikirin氏(以下、ちきりん氏)のブログを愛読しているが、著書の方はあまり読んでいない。これはあくまでも、私の解釈であり、他のちきりんファンに怒られそうだが、気にせずに書こうと思う。

ちきりん氏の最初の書籍『ゆるく考えよう』と言えば、世間的には「どうせ、能力のある人間しかそんな風に生きれないんだろー?しかも、分をわきまえろとかバカにされてる気がする」みたいな感じで思っている人も多いだろう。(Amazonのレビューとかでも同じ批判が見られる。)

 しかし、もう一つの著書『自分のアタマで考えよう』から考えると、ちきりん氏が世の中にもたらした最大の価値は、「選択肢の増加」ではないかと思う。

というのは、 ちきりん氏に反感を持つ人の選択肢は多分、 「考えずに頑張る」と「考えずに頑張らない」 の2つしかない。 しかし、私が思うに、ちきりん氏は世の中に、 「考えて頑張る」と「考えて頑張らない」を増やしてくれたのだろう。

ちきりん氏が『ゆるく考えよう』で強調するのは「頑張らない生き方」である。これだけ読めば「上から目線」というのも何となく分からないでもない。ちきりん氏は、「頑張らなくても高望みしなければ生きていく方法はある」と言っているんだけど、この主張はある意味で「舌足らず」であった。 「頑張らないで生きる生き方が“うまくいく”とは限らない。駄目人間が増えるだけではないのか?」 こういう意見が少なからず有りそうだ。

そこで登場したのが『自分のアタマで考えよう』だったのではないのか。 『ゆるく考える』というその『ゆるく』という方法が本当に正しいのか。考えた上で出てきた結論が「本当に頑張らないで生きる事が出来るのか」という疑問が拭えない人がいる。(周りでそんな人を沢山知っている。)

そんな中、『自分のアタマで考えよう』で、「思考のプロセス」を提示してくれたわけだ。 例えば、ちきりん氏はブログで、「就活をする代わりに、倍率が低い選挙区に出て簡単に議員になる」という方法を紹介している。(参考『パンが無いならケーキを喰え的 立候補の勧め』) 確かに、これを読んでいたら、就活を頑張るくらいのエネルギーを選挙活動に生かせば、地方なら議員になれそうな気もしてくる。 そして、民間企業の新卒採用に比べれば、給与水準は圧倒的に高い。そこまで頑張らないでも生きていく方法の一つなのだろう。

 しかし、この結論に至るまでには結局、「本を読む(情報を手に入れる)」と「情報を元に考える」というプロセスが必要となる。 つまり、ちきりん氏が言いたいのは、 「ゆるく考えて生きるためには、めっちゃ考えなくてはならない」 という事ではないのか。

ちきりん氏が提示する「楽に生きる方法」も「思考のプロセス」すらも「ちきりん氏が提示した例の一つ」に過ぎない。結局は、世の中を生き抜くには「考える」事が必要なのだ。 しかも「常に」考えるという事が必要だ。 先の「地方で立候補」についてもそうだが、もし、これを皆が実践すれば、「選挙に通るのが難しくなる」。だから、また新たに考えなければ「頑張らないで生きる」事はできない。鵜呑みにしてはならないのだ。

結局、「頑張らないで生きる」ためには「考え続けて、人がやらないことを見つけないといけない」のだ。

それは兎も角、世の中には

「考えて頑張る」:世の中で特にうまくいってそうな人
「考えて頑張らない」:ちきりん氏推奨
「考えずに頑張る」:世の中の多くの人
「考えずに頑張らない」:これはこれで有りなのか?

という4つの選択肢がある。

結果として「うまく生きられる」かどうかは知らない。しかし、選択の自由が広がって、かつ、自分で決めて「頑張るか頑張らないか」と決めれば、もし、うまくいかなくても「納得出来る」だろう。 同様に、頑張るとしても、「頑張る」という選択肢しか無くて「頑張る」のと、「頑張らない」という選択肢も知った上で「頑張らない」のとは違ったものになるだろう。

哲学の世界では、「構造主義」やら「脱構築」やらで「世の中は形式で拘束されている」という事が問題にされてきたが、「形式があるのが世界だ」という事を知った上で「形式に当てはまりにいく」のでは「世界の見方」が変わると言われる。

ちきりん氏が提示した選択肢のうち、「考えて頑張る」という生き方を哲学的に見れば、

・世の中の人は「頑張る」という形式に囚われている
・これから脱出しよう(頑張らない生き方をしよう)
・いや、頑張るという形式も「世界の一つ」ではないか。「考えたら頑張らなくても生きられる」んだけど、敢えて「頑張ろう」(形式に当てはまりにいこう) という見方も可能だろう。

ちなみに私は『自分のアタマで考えよう』を読んでいないです。ついでに言えば、『ゆるく考えよう』もサラっとしか。

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