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豊洲新市場千客万来施設事業の経緯

 小池都知事が、豊洲移転後に築地を「食のテーマパーク」にすると明言したため、競合を怖れて、豊洲の観光施設である千客万来施設への参入を決めていた事業者が撤退を検討している。これは、豊洲移転派と築地残留派の双方にいい顔をしようとしたことのつけである。

 豊洲問題については、拙著『都知事失格』にも書いたが、私が都知事時代の千客万来施設事業の経緯について、簡単にまとめておく。

 豊洲移転については、私は、就任以来、担当部局から定期的に説明を受けたが、2015年2月19日の市場長による第5回目の説明が、千客万来施設事業についてであった。「5街区は事業者が辞退するので事業は当面凍結する、6街区は残された事業者と協議する」というのがその内容であった。

 第6回目の説明は、6月9日に行われ、事業者との調整がつかず、6街区も再公募するという報告であった。

 第7回目は7月6日で、まず新市場の名称を7月中旬までに決める方針が示された。また、築地市場跡地の復旧・処分についてスケジュールが提案された。その際に、過去に海軍造兵廠、進駐軍の洗濯工場、複数の藩邸(松平定信邸など)が存在しており、跡地開発には土壌汚染対策や埋蔵文化財調査が必要であることは、私も職員も情報を共有していた。

 新市場の名称と開場日については、7月17日の定例記者会見で、それぞれ、「東京都中央卸売市場 豊洲市場」、「2016年11月7日」と発表した。

 第8回目の説明は、9月15日であり、千客万来施設事業の6街区の募集要項の説明があった。

 第9回目のブリーフィングは、11月17日であり、「豊洲市場開場に向けた現在の状況」と題して、土壌汚染対策工事、建設工事、外構工事の進捗状況、業界との調整の進み具合、そして今後のスケジュールについて説明があった。また、築地市場跡地の利用については、利権屋を排除するという私の固い決意を反映して、「跡地は都心立地の貴重な財産であり、都全体の視野で有効活用すべき」と明言された文書が用意された。

 第10回目の説明は、12月7日に受けた。「豊洲市場開場に向けた業界要望への対応(案)」がテーマである。主として引っ越しに係わる業界からの要望について、すべての費用を都がもつわけにはいかないが、一部を負担する方針にし、その細目について素案を作った。

 第11回目は、年が明けて2016年の3月3日に行われた。まず、千客万来施設事業(6街区)について、再公募の結果、事業者が決まったとの報告があった。次に、築地市場跡地の一部について中央区に暫定的に貸し付ける方針が示された。

 以上のように着実に積み上げてきた計画が、小池都知事のポピュリズムによって頓挫していることは周知の通りである。

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