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  • 2011年12月04日 10:30

50億かけて建設した庁舎が批判の対象に

 ある意味中国は間違いなくバブルで、そうした中にいると金の感覚もおかしくなってくるのだと思える記事が『沈陽晩報』に掲載されており(「政府大楼“才花4亿”不值得邀功」)なかなか興味深かったので今日はこれについて少し。

1 庁舎建設


 記事自体は本当に大した内容ではなく雲南省紅河ハニ族イ族自治州の政府庁舎が4億元(日本円にして約48億円)もかけて建設されたことについて紅河州の宣伝部長の述べた不適切な発言がネット上で非難を受け、話題になったというものです。

 さてどのような発言だったかというと、「この位の金がなんだというのだ、政府庁舎を建てるのに、この程度の金で済んで、庶民は感謝ですべきだ。」と宣ったそうですから、確かに批判されても仕方がありません。

 何でも中央は再三にわたり、豪華な箱物を造るなと指示を出しておりますが、雨後の竹の子の様にこうした建築物が建てられております。それも記事によるとその建物は古代ローマ、古典建築、ホワイトハウスを真似て造られているそうです。

 こういう記事を見るにつけ思いだすのがかつての日本のバブルで、当時は地方でも次々と豪勢な庁舎が建設されました。また、成金の考えることはどこも同じなようで、こうした有名な建物を真似て建てるというのは別に中国だけではないのはいうまでもありません。

 そうして建てられた建物が今どうなっているか、日本でも文化振興などの名目で豪華な音楽堂や公会堂をつくったは良いが、使用率が低く維持費がかさむばかりで、ろくに手入れもできなくなったが故に放置されているところが今どれだけあるか、外国にいるような体験ができると銘打って多額の金をかけて整備された○○村が今どうなっているか、いろいろ思うところはあります。

 今回の事件もあまりに報道担当者が馬鹿なことを言ったが故に話題になっただけに過ぎず、普通にこれこれこうした理由でこれだけの金が必要だったのだなどと、当たり障りの無いことを言っておけば特段問題になることもなかったと思います。

2 中国の問題点


 しかし、一旦問題になると注目されるのはどこの国でも一緒で特に貧富の格差の激しい中国においては、ただでは済みません。実際この記事でもこれだけの金があれば、どれだけスクールバスが買えるのだ、安全な校舎をつくることができるのだ、貧しい人々救えるのだ等と批判されております。

 この3つはどれも今の中国が抱える問題を反映したものです。スクールバスは先月16日に中国甘粛省東部の慶陽市正寧県でスクールバスとトラックが衝突し、児童を含む21名もの死者を出したことを念頭においたもので、9人乗りのワゴン車に64名も詰め込んでいたことが話題となりました(「9人乗り送迎車に64人乗って事故で20人死亡」参照、当初死亡者が20名だったのでこの題となっており、続編も書いております)。

 校舎については2008年の四川大地震で周りの建物が無事だったのに、安全なはずの校舎だけが倒れ多数の死傷者が出て手抜き工事ではと話題になったものです(「アジア一の立体交差橋で多数の亀裂発見」参照)。

 そして貧困層については特に言うことはありませんが、都市部と農村部の格差などは極めて有名です。さて、こうした発言が出てきた背景ですが、中国の金と権力の集中の度合いが極めて高いことが挙げられます。

 何度も繰り替えているように、中国にはまだまだ貧困層が多いのが実態ですが、その一方で極めて景気の良い話が聞こえてくるのはそのためです。そして言論の自由が制限され、政府(公務員)に対する監視が充分に行き届かない状態では、こうなってしまうのもある意味当然の感があります。

 これまでかなり景気の良い話だけだった中国もさすがに最近ではいろいろ景気の悪い話も聞こえてまいります。今後中国経済がどのようになるか私ごときが予測などは荷が重くてできる話ではありませんが、今までのようにはいかない面も出てくると思います。

 そうなったときに、今後どうなるのか大変興味の尽きない話題ではありますが、日本経済に与える影響などを考えると大変恐くもあります。

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