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核武装した金正恩氏の「最も恐ろしい瞬間」


金正恩氏(朝鮮中央テレビより)

米戦略軍のハイテン司令官(空軍大将)は18日、カナダのハリファックスで行われた国際安全保障会議の席上、大統領から違法な核攻撃命令が伝えられても、従うことはないとの立場を明かした。

BBCによれば、ハイテン氏は「我々はこうしたことについて、よく考えている。この責任を抱えている以上、どうしたら考えずにいられるのか」と発言。大統領から違法な指示があれば「それは違法です」と伝え、合法な代替案を提言すると述べたという。

都合悪ければ殺害

違法と合法との境界については必ずしも詳らかでないが、安全保障上の脅威に対する評価の妥当性や、議会の承認の要不要などが問題になると思われる。いずれにせよ、大統領の命令を実行する前にいくらかのチェックが入るということだ。トランプ米大統領が北朝鮮を「完全に破壊する」などと発言している昨今においては、ハイテン氏の説明は若干の安心を提供してくれたと言えそうだ。

それとは対照的に、何の安心も提供してくれないのが北朝鮮である。

現状、多くの北朝鮮ウォッチャーは、金正恩党委員長について合理的な思考を持つ人物であると評価しており、筆者もその中のひとりだ。金正恩氏は、北朝鮮という国家を維持するために核兵器を開発している。決してアメリカやその同盟国に戦争を仕掛け、報復により破滅したいと考えているわけではない。

ちなみに、金正恩氏が維持したい国家とは「独裁体制」のことであり、国民の生命や幸福は二の次だ。北朝鮮の独裁者は体制維持のため、これまでもおびただしい数の国民を犠牲にしてきたのだ。

(参考記事:抗議する労働者を戦車で轢殺…北朝鮮「黄海製鉄所の虐殺」

金正恩氏が合理的な「生き残り戦略」を取っているなら、北朝鮮が核武装するのは危険ではないのかと言えば、それも違う。最大の問題は、金正恩氏の独裁権力があまりに強くなりつつあることだ。

彼の祖父である金日成主席も父である金正日氏も、政敵を無慈悲に粛清したことで知られる。政敵の妻子や親兄弟にも、情け容赦なく銃口を向けた。政敵でなくとも、自分に都合の悪い者は亡き者にした。

(参考記事:機関銃でズタズタに…金正日氏に「口封じ」で殺された美人女優の悲劇

しかし多くの場合、その裏には何らかの打算がうかがえた。それに対して金正恩氏の場合は、「気分」が前面に出ているとの指摘がある。だからこそ、北朝鮮の幹部らは祖父や父の時代にも増して、金正恩氏の前で委縮して見える。

(参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導

それでも百歩譲って、金正恩氏が心身ともに健康であればまだマシだ。しかし、彼が何らかの理由で心を病み、誤った判断を下してしまいそうになった時、それを諫めたり、チェックしたりする仕組みが北朝鮮にはあるのだろうか。

なんのチェックもなされず、そのような「瞬間」が訪れかねないというのは本当に怖い。そういった意味でも、東アジアの平和を保つためには金正恩氏から独裁権力を引き剥がし、北朝鮮を民主化させることが必要なのだ。

※デイリーNKジャパンからの転載

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