- 2017年11月21日 15:30
学習塾「ena」が都立中高一貫校および都立高校受験対策で躍進できたのはなぜか?
2/2ゆるい中学受験のすすめ
実際のところ、受験勉強は構造的に過酷になりやすい。資格検定試験と違って、一定基準を満たせば全員合格ということにはならない。自分が100頑張っても、ライバルが101頑張れば、自分は落ちてしまう。だから自分は102頑張る。それをくり返していくと過当競争が生じる。
難関私立中高一貫校受験においては、すでに競争が過度になっているきらいがたしかにある。受験テクニックが確立し、みんなが同じ勉強をしているので、より多くの量をこなした者が戦いを制する構図になっているのだ。そうなると、無理をしてでも量をこなそうとする者たちが出てくる。中にはつぶされてしまう子供もいる。
私は拙著『公立中高一貫校に合格させる塾は何を教えているのか』(青春新書インテリジェンス)執筆のためにenaの授業を見学した。enaの授業にはいい意味での“ゆるさ”があった。
12 歳が自分の未来を切り拓くために行う努力として、これくらいがちょうどいいのではないかと感じた。私立中学受験にも、これくらいの“ゆるさ”があっていいのではないかとつい思ってしまう。筋のいい子供なら、それで実際にenaの授業だけでも偏差値60くらいの私立中高一貫校にも合格できてしまうというのだから。
過当競争が生じてしまうのは、進むレールが単線で、価値評価基準が1つである場合だ。公立中高一貫校ができ、私立中高一貫校にも適性検査型入試が導入され、多様な進路、偏差値では表しきれない学力観が広まれば、幾分かは競争も緩和するかもしれない。
入試改革が静かに同時多発的に始まっている
2020年度以降予定されている大学入試改革には、大学入試を変えることで、その下の教育をドミノ倒し的に変えていこうという思惑があった。しかしいまのところわかっている情報によれば、当初の理想とはだいぶ違う落としどころに収まりそうな雲行きだ。結局何も変わらないのだろうか……。
公立中高一貫校という新しい形態の学校が出現し、学力試験を行ってはいけないという縛りの中で適性検査という新しい形態の入試が登場し、それに対応する塾が躍進し、いままでになかった授業が生まれた。この一連の流れが、自然発生的に生じたことに、私は小さな希望を感じている。
私はいま、この国の教育は、意外と下から変わっていくのではないかと、うすうす感じている。そしてその動きは、同時多発的に、おそらくすでに始まっている。
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