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米デジタルメディアに吹き出した”秋風”

新聞をはじめとする既存メディアを圧倒するような存在になっていた米国の大手デジタルメディアに早くも肌寒い”秋風”が吹き始めたようです。

16日付けウォール・ストリートジャーナル(WSJ)が<BuzzFeed Set to Miss Revenue Target, Signaling Turbulence in Media>–バズフィードが収入見込みに届かない。メディアの乱気流の前兆だ–という主見出しに続けて「注目パブリッシャーの新規上場は遠のいた」とする記事を出したのをきっかけに、多くのメディアから同趣旨の記事が続出しているのです。

WSJの記事が触れているのはバズフィードだけではありません。新興オンラインメディアでは最大と目されるVice Media、テックとポップカルチャーで人気のMashableにも言及しています。

拙ブログでも取り上げたことですが、WSJは2015年10月に<New-Media Companies Shift Attention to TV>と題する記事で、オンラインで巨大化したBuzzFeedViceなどが、さらなる収入源を求めて広大な広告市場を抱える既存テレビ業界に触手を伸ばしつつあるとし、デジタルメディアの怒涛の勢いをレポートしていました。

それから2年経って180度変わった状況を描くWSJ。その原因はGoogleとFacebookにあるとほとんどの関連記事が指摘しています。

一言で言えば、GoogleとFacebookがオンライン広告市場の2強となって、年を追う毎に合算したシェアが巨大となり、広告収入に頼るそれ以外のオンラインメディアの収入を圧迫しているからです。WSJがeMarketerのデータを元にした経年的な推移はこうです。

[画像をブログで見る]

WSJがオンラインメディアの勢いをレポートした2015年はGoogleとFacebookを合わせても全オンライン広告日に占める割合は30%強に止まっていました。

それが、今年2017年の見込みはeMarketerの最新予測によればYouTubeを含むGoogleが42.2%、Instagramを含むFacebookは20.9%、合わせて63.1%にも達します。

残りは36.9%、縮む一方で約3分の1までに小さくなったパイを毎年増え続けるオンラインメディアが奪い合う構図で、競争が激しくなる一方なわけです。そして今後も2社のシェアは増え続ける。

こうした背景から、WSJの記事は、BuzzFeedは2017年の売上目標3億5千万ドルを15~20%下回る見通しで、最大手Vice Mediaも8億ドルの売上目標は達成できない見通しだとし、Mashableに至っては1年半前には2億5千万ドルの価値があると評価されていたのに、先週、わずか5千万ドルでZiff Davisに売却されたと紹介しています。

またrecodeによると、スペイン語テレビネットワークのUnivisionは、傘下のオンラインメディアFusion Media Groupへの資金注入のため、昨年、買収したばかりのニュースサイトGawkerの売却を模索しているそうです。

新聞メディアでは当たり前の人減らしはオンラインメディアにも及び、Digidayは、Verison傘下でYahoo(Flickr、Tumblrなど)やAOL(HuffPost、Tech Crunch、Engadgetなど)などを保有するOath560人のレイオフを実施中と伝えています。これは6月のYahoo買収時のレイオフ2100人に続くものだそう。

こうしたことを踏まえ、ハーバード大のNieman Journalism Labは「Bad news from Mashable, BuzzFeed, and Vice shows times are rough for ad-supported digital media」と題する記事で「広告に支えられたデジタルメディアは大変だ。そしてもっと大変になる。その一方でデジタル広告複占のGoogleとFacebookは栄え続ける」とデジタルメディアの暗い未来を示唆しました。肌寒い”秋風”は、いずれ冷たい”木枯らし”に変わりかねません。

Nieman Labの記事は最近の唯一の明るい話として、今年1月にスタートしたニュースサイトAxiosを取り上げていました。先週末のWSJの記事TechCrunchの記事によると、オンラインメディアに逆風が吹く中で、新規に2千万ドルの資金を獲得したそうです。これでAxiosは現在89人のスタッフを来年末までに150人までに増やし、有料化の体制を整えるとか。

Axiosは、政治サイトPoliticoを大成功させた元ワシントンポスト政治記者らが立ち上げたもので、忙しいビジネスマン向けに300ワード程度の短文記事にまとめているのが特徴で、内容も明快です。

こうした、はっきりしたポリシーというかコンセプトを持たないと広告が集まらず、生き残れない時代が迫っているということでしょうか。日本では、まだそうした切羽詰まった話は報じられていませんが。

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