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クールジャパン戦略、曲がり角

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フランスのmaison wa 出典/Challeng Local Cool Japan in パリ(経済産業省・近畿経済産業局)

Ulala(ライター・ブロガー)

【まとめ】

・日本のクールジャパン戦略、苦戦が伝えられる。

・フランスは起業したい人向けにきめ細かいサポート提供し成功している。

・現地情報を持つ日本人と日本製品を販売したい人らの世界的なネットワーク作りや情報交換のサポートが今後必要となろう。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真の説明・出典のみが残っていることがあります。その場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=37141で記事をお読みください。】

政府のクールジャパン(CJ)政策の苦戦が話題になり、トレンドワードにまで浮上していた。というのも、経産省が設立した官製ファンドの「株式会社海外需要開拓支援機構」、通称CJ機構が投資した24件中、決定後1年を超す事業の過半数が収益などの計画を達成できていない状況が報道され、CJ機構が釈明の記事を出すまでに至っていたのだ。

クールジャパンと言うのは、情報発信(日本ブーム創出)・海外展開(海外で稼ぐ)・インバウンド振興(国内で稼ぐ)によって日本の経済成長を実現するブランド戦略だ。日本のイメージを高めて海外からの消費を呼び込むことを目標としている。

そういったブランド戦略が成功している国の代表と言えば、フランスではないだろうか。多くの観光客が訪れ世界観光ランキングでも毎年一位を獲得し、世界中に「おしゃれで高級」なイメージも浸透。バッグなどを扱う高級ブランド品、高級化粧品の売り上げも好調だ。フランス料理の知名度も高い。特に長期に渡りその地位を継続している点は注目すべきことだ。

また、短い期間であったが韓国がブームになったことも記憶に新しい。韓国ドラマから流行りに火が付き、そこから日本でも韓国コスメなどがよく売れ、韓国への旅行者が増えたのだ。これらの国と同様に日本も海外に情報発信という宣伝をしていくことで、海外の人々の日本へ興味を引きだし、そこから日本の経済成長につなげようとしているわけだ。

現在のところこういったクールジャパンの情報発信は一定の成果をあげていると言ってもいいだろう。日本への2016年の訪日外国人数は統計開始以来、過去最多となる前年比21.8%増の2403万9000人を記録し、外国人観光客の日本への集客は順調に伸びている。(参照記事)しかし、今回問題だと指摘されているのは、クールジャパンの2番目の軸である「海外展開(海外で稼ぐ)」という部分である。

例えば、CJ機構が投資先と選んだのにもかかわらずアメリカの日本茶カフェ事業が大苦戦しているという。店内飲食の認可が下りず持ち帰り専門に変更などが重なり軌道にのらず、パートナーから提携解消を求められている状態なのだ。

またマレーシアの首都クアラルンプールの繁華街にある百貨店は「日本がそのまま来た」かのような店舗で、地元に溶け込めておらず来店客はまばら、17年4~6月の営業赤字は計画の3倍強に膨らんだという。

だが、それがダイレクトにクールジャパンの活動が失敗とはいいがたい。だいたい新事業は利益が上がり始めるのに時間がかかるものだし、1,2年で新しい事業の成果を最終判断してしまうこと自体に無理があるのも確かだ。

それよりも気になったのは、投資がうまくいっていないという批判は、「投資が限られた一部の企業のみという懸念」や「軌道に乗らなかった場合投資が無駄になることへの懸念」、「マーケティングもうまくされてない事業に投資している懸念」からきていることだ。

確かにCJ機構が定めた基準である、「海外に日本の製品を発信する拠点を作るために将来性があると判断された企業」に投資されてはいるものの、件数も少なく、決定過程の不透明さを勘繰られてもおかしくない状況であり、また投資した会社の企画自体が日本そのままを海外に持って行っているような事業もあり、ただの日本の押し売りで本当にいいのか?と疑問に思う企画もある。

もちろんCJ機構が投資した会社の中にも、目標を達成している会社もある。その一つがフランスのパリで日本の地産品をプロモーションする日系企業「エニス(ENIS)」だ。海外で日本の地産品をプロモーションと言う難易度の高いチャレンジであるにもかかわらず成果を上げている。それは、日本の物を売っているといっても、フランスに20年以上住んだ経験に基づくマーケティングが行われているからだろう。

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▲写真 エニスが運営している「maison wa」出典:Space Magic Mon Co.,

まず、この会社は投資を受けた2015年よりも4年前の2011年からすでに活動が行われている。それまでに「有田の陶磁器」「奈良の麻」「福井の包丁」「鯖江の眼鏡」「輪島の漆器」「岐阜の紙」「山梨のニット」「大宮の盆栽」等、約50回にわたりプロモーションが行って実績がすでにある会社なのだ。そういった実績をベースに、しっかりと現地の人間が欲しいと思う日本の物を知った上で販売している。

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