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不適切発言など

石破茂氏。(撮影:野原誠治) 写真一覧

石破茂です。

本当に今年もあとひと月、年齢を経るにつれて時の流れが速くなるように感じられるのは何故でしょうか。一説によると「幼い頃は体験するあらゆる物事がすべて新しく、人間の頭脳の中で理解する作業に相当の時間を要するが、年齢を経るにつれてそれが既知のものとして短時間で処理されるため、時間の経過速度が短く感じられる」のだそうです。どの記事で読んだのか忘れてしまいましたが、そう言われればそうであるような、わかったような、わからないような…いずれにせよ、年の瀬に感じる何とも言えない焦燥感は今年も全く同様です。

田中那覇防衛局長(当時)の発言は、普天間基地移設問題の前進を決定的に損なうものでした。
発言内容の不適切さは改めて指摘するまでもありませんが、なぜあのような人物を那覇局長に抜擢したのか、防衛省中枢の倫理観や使命感、そして緊張感が恐ろしく弛緩していると思わざるを得ません。
政権交代後、防衛に全く見識のない人物を防衛大臣に任命し、それをいいことに官僚たちがこれに阿り、阿諛追従してきたからこのようなことが起こるのです。
局長を更迭すればそれで済むというものではありませんし、政務三役ではなく事務次官が謝罪に赴くとは一体どういう考えなのか。責任が取れる立場ではない官僚が行ってもどうにもなりません。「栄誉と賞賛は現場に与えられ、あらゆる責任は政治がとる」という当然のことが前二代政権においては全く分かっていませんでしたが、野田総理も全く同類です。
2001年、私が防衛庁副長官当時、沖縄において自衛官が暴行事件を起こしたことがありましたが、翌日私は沖縄に飛び、あらゆる関係者に謝罪しました。イージス艦と漁船の衝突事故の際も、当日は副大臣が、翌日は大臣であった私が現地に行き、関係の方々に謝罪し、その後すぐに福田総理も謝罪に千葉を訪れました。別に我々が立派なわけではなく、これが極めて当然の対応なのです。
総理の女房役の藤村官房長官に至っては「事務方が起こした問題だから事務方のトップである事務次官が行った」と述べたそうですが、この人も全くわかっていません。民主党や政府内部に総理にものが言える人がいないとすれば、これは由々しき問題です。最近野田総理を「意外としたたか」「大化けするかもしれない」などと評価する向きが散見されるようになりましたが、逆に私の中での総理に対する評価は失望感が増すばかりです。防衛大臣の問責は当然ですが、このような人物を任命した総理の責任こそ厳しく問うていかなくてはなりません。本日一川大臣が訪沖したようですが、遅きに失したと言う他はありません。

一昨日の党首討論はかなり厳しい評価がなされています。谷垣総裁の質問は、演説が多く、総理を追い詰めるには至らなかったというものですが、ことほど左様にディベートは難しい。
一番の問題は、自民党内において、消費税やTPPなどの課題に、結論とは言わないまでも一定の方向性が見出だせていないことにあります。
自民党は昨年の参議院選挙で消費税の10%への引き上げを公約に掲げて選挙を戦ったのですから、あとは実施時期や複数税率の導入の是非、中央と地方の配分などを詰めておくべきでしたし、TPPも総理が参加の方針を事実上表明した以上、交渉方針や農林水産業に対する支援のあり方、ASEAN+3との関係などを質し、政府の認識不足ぶりを炙り出すべきだったのではないでしょうか。
「民主党の出方を見てから」というやり方が自民党に対する支持率の停滞を招いている大きな原因なのであり、これについては二年政調会長を務めた私も責任の多くを負わねばなりませんが、トップリーダーの決断には一種の強引さや非情さも求められるのだと改めて思わされたことでした。

大阪W選挙の結果は、橋下氏のキャラクターもさることながら、自民・民主をはじめとする既成政党への強烈な不信感の表れであったと受け止めるべきです。
殊更に「1地方の選挙結果にしか過ぎない」というような等閑視を決め込んではなりません。

12月1日木曜日は私の友人である総務官僚が客員教授を務めている東大教養学部のゼミナールで「政治改革と選挙制度」をテーマにお話しして参りました。活発な質疑もあり、こちらも随分と啓発される有意義な時間でしたが、「政治を変えるために若者は何をすればよいのか」というストレートな問いには正直返答に窮しました。一般的にシニア層は投票率が高く、若い世代は低いと言われており、「若い世代が投票に積極的に行ってほしい」という以外にうまい回答が見つかりませんでした。

投票行動そのものにも、求められるべき点が多くあるように思います。
これはまた回を改めて論じたいのですが、田中美知太郎氏の著作「人間であること」(昭和59年・文芸春秋刊)におさめられた「日本人と国家」という講演録は誠に示唆に富むものです。

週末は3日土曜日が「釧路の未来を考える会」で講演(午後5時半・釧路プリンスホテル・釧路市幸町)。
4日日曜日は各種会合に出席の他は、溜まりに溜まってしまった資料の整理に充てたいと思っています。
急に寒くなりました。お体に気を付けて週末をお過ごしくださいませ。

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