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日本の移民政策はなぜうまくいかないのか?

タイトルを見て「お前オカシイだろう!日本が移民をウェルカムするわけないじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、一応、日本は実務的には先進国では最速ペースで移民が取れる移民ウェルカム国家であります。それと移民=永住者と国籍取得者を混同されているケースもあるかと思いますが、永住者は選挙権がないものの消費や労働を通じて国内経済にプラス作用があります。

たとえば移民国家のカナダを見ると年間20万人以上の移民を受け入れます。国土の割に人口が少ないこともありますが、この国の移民政策は金持ちと技能取得者を移民対象としています。つまり、年間20万人の移民の質は割と高く、お金も落としてくれます。一般に7人の移民に家一軒の需要と言いますのでこれだけで28500軒の新規住宅需要が毎年見込まれます。

しかし、日本に来る移民者の数は全部足してようやく80万人という水準です。カナダは年間に20万人以上である点を考えると雲泥の差であります。

一般に目にするのは外国人労働者の急増で現時点で120万人を超える水準と思われ、年率2割近く増えています。日本は単純労働を担ってくれる外国人労働者は比較的受け入れていますし、外国人も「学びついでに小銭稼ぎ」しに来るのですが、「この国にずっと住もう」とは思ってもらえないようです。

理由はたくさんあると思います。日本が文化的にほぼ単一民族であるため、外国人のコミュニティが存在しないか、極めて小さく家族全体で考えれば社会文化的バリアが高いことがあげられます。また、日本人も外国人と積極的に接点を持つ習慣がなく(今では日本人同士ですら接点を持ちません)外国人の孤立化が目立つこと、更には欧米など先進国の目から見れば都市圏の住環境が満足しうるレベルに達しないことが考えられます。

そんな中、最近実に面白い記事を見つけました。ブルームバーグの「この国では死ねない」という記事であります。要は外国人が日本に住んで日本で亡くなった場合、その外国人の所有する全世界の資産を日本の所得税ベースで課税するという仕組みであります。つまり、富裕層の外国人はそれこそ「死んでも日本には住めない理由」であります。

そういえば北米には国際結婚する日本人が相当数住んでいますが、その大多数が北米に居を持ちます。その人たちに「二重国籍の選択はどうするの?」と聞けば「究極の選択を迫られたら日本の国籍を捨てるしかない」という返事がほぼ100%であります。理由は家族であります。北米の国籍を捨てるという人は今だ聞いたことがありません。

私はこのブログでしばしば世界に比べて日本の相続税がいかに狂っているか、指摘してきました。日本の長い歴史では3代で財産がなくなる仕組み、つまり、胡坐をかくような奴を作らないという政策はごく当たり前として受け継がれてきているわけです。農民への重税で一揆がしばしば起きたのも歴史の教科書にはあちらこちらに出てきますが、日本は制度として財産を残させないという発想が深く浸透しているのだろうと思います。(そこまでいってしまえば神道ゆえの発想なのでしょうか?)

では財政に苦しむ日本の懐、財務省からすれば相続税は歳入のどれぐらいの割合かと言えば2兆円規模であります。率にして2%弱。三大収入である所得税、法人税、消費税が二けた兆円であることと比べればマイナーな収入源であります。ただ、財務省としてはされど2兆円と考え、もっと取ろうということで相続税大改正をしたのであります。

これは目先の小銭稼ぎを狙って大銭を見失った小心な役人の小細工に見えます。

何故シンガポールや香港には金持ちが集まるのか、これはそこにお金を置いておくことにメリットがあるからです。では日本はどうなのか、と言えばスイスと並び最も安全な一流国の一つであり、かつ、人口ベースでは大国になるのです。これだけ条件が整っている国はほかにないのです。かき集めようと思えば世界の富豪の資金がいくらでも日本に滞留できる潜在的条件は整っているのです。それを見過ごし、単純労働を担う短期労働者や職業訓練者をどんどん受け入れるわけです。

申し訳ないですが、外国人単純労働者は日本での消費はかなり限定されます。多くは本国に送金、ないし、持ち帰るための「出稼ぎ」であります。よって労働力としては助けになるものの消費の点ではプラスの効果は出にくいと言ってよいかと思います。

日本には外国人を受け入れたくない層が一定数いますが、主に選挙権付保に伴う意思決定への影響を懸念する層とコミュニティへの直接的影響を懸念する層ではないかと察します。個人的にはカナダが取り入れているような高所得ないし技能者層の移民は社会システムに悪影響を与えることはないと考えています。むしろ、若い人たちへの刺激、国際感覚などはプラスに作用すると感じています。

日本は開かれた国というイメージを政府は打ち出しています。訪日外国人を4000万人に増やすという目標はその表れの一つでしょう。しかし、日本はのぞき見してもらってお金を落としてもらうディズニーランドではないと申し上げたいと思います。そこに住むことで味わいが出るそんな国だ、という点をもっと売り込み、経済の活性化につなげてもらいたいと思います。本質とはそういうことではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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