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米国で広がるトランプ政権の"余命1年説"

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■【シナリオ3】弾劾説

「ロシアゲート」疑惑で元側近たちが起訴されるたびに、メディアは猫も杓子も「トランプ大統領の弾劾の可能性が出てきた」と騒いでいますが、一言で弾劾といっても制度的にも現実的にもそう簡単ではありません。


私は70年代後半、ウォーターゲート事件にまつわるリチャード・ニクソン第37代大統領の弾劾騒動を取材しました。そのとき弾劾に至るまでの議会やメディア、世論の動揺ぶりをつぶさに目撃しています。

大統領、つまり国家元首を弾劾するということは、いわば「無血革命」のようなものです。

制度的には、弾劾決議案を発議し、審議し、可決できるのは下院です。今の米議会は共和党の天下です。共和党議員の中にも反トランプの議員がいますが、よほどのことがない限り、自分の党が全国党大会で正式に指名し、当選した大統領を弾劾するのは難しいでしょう。

共和党天下の今の米議会でトランプ氏を弾劾するという決議案を誰が発議するのか。いざ決議案を採決する段になって共和党議員たちはどうするのか。

現実問題として、トランプ氏がヒラリー・クリントン民主党大統領候補を追い落とすためにロシアとの「共謀」を直接指示していたことが立証されたとき。あるいは、疑惑解明を進める当局を妨害したという証拠が出てきたときが弾劾の対象になるのです。

72年のウォーターゲート事件でリチャード・ニクソン大統領(当時)が弾劾の対象とされたのは「司法妨害」の容疑でした。

■【シナリオ4】解任説

これは、マイク・ペンス副大統領がトランプ大統領の政権運営や言動を見ていて「こりゃダメだ」とさじを投げた時です。

憲法修正第25条4項に明記されている「副大統領職権」による大統領解任です。「副大統領が、大統領はもはや大統領としての権限と義務を遂行できないと判断した場合、辞任要求あるいは解任ができる」というものです。

シナリオ2の「病気説」とも絡んできますが、副大統領が大統領の「異変」を察知したとします。それを国務、国防各長官ら主要閣僚に伝え、全閣僚の過半数が賛同すれば、48時間以内に議会招集を求めることになります。上下両院は21日以内にそれを審理し、投票の結果、3分の2の賛成があれば副大統領の判断が承認されます。そして継承順位1位の副大統領が大統領代理として職務を遂行することになります。

■憲法修正第25条4項の対象になりかけたレーガン

この憲法修正第25項4項は、過去に2回、検討されましたが、実際には適用されていません。1回目は82年のロナルド・レーガン第40代大統領が暗殺未遂事件に見舞われた時です。

2回目はハワード・ベーカー氏(上院共和党院内総務、駐日大使を歴任)がレーガン大統領の首席補佐官を引き継ぐ時でした。大統領側近の一人がベーカー氏にレーガン大統領の高齢を理由に「自主的な辞任か解任」を検討するようアドバイスを受けたのです。ベーカー氏は検討を拒否したそうです。

さて、この4つのシナリオのうち、トランプ大統領の場合、一番可能性が高いのはどのシナリオでしょうか。ワシントンの政界通やベテラン政治記者の話をいろいろ聞いてみると、「シナリオ4」のようです。今後、ペンス副大統領がどう動くか。注目しておくべきでしょう。

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高濱 賛(たかはま・たとう)
在米ジャーナリスト、米パシフィック・リサーチ・インスティチュート所長
1941年生まれ。カリフォルニア大学バークレー校卒業後、読売新聞入社。ワシントン特派員、総理大臣官邸、外務省、防衛庁(現防衛省)各キャップ、政治部デスク、調査研究本部主任研究員を経て、母校ジャーナリズム大学院で「日米報道比較論」を教える。『中曽根外政論』(PHP研究所)、『アメリカの教科書が教える日本の戦争』(アスコム)など著書多数。
 

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