- 2017年11月16日 10:56
早くも“ゆ”党化する希望の党 ― 分裂必至な希望の党・民進党の今後と野党再編
前回の投稿で野党再編の展望を述べたが、早くもそれに近い動きで野党再編の兆しが見られる。野党の中で分裂する可能性が高いのはいうまでもなく希望の党と民進党である。今回は前回に引き続き両党の今後を予想する。
希望の党は事実上“右派民進党”
希望の党の共同代表選挙で同党の設立メンバーなど保守系議員から支持を受けた玉木雄一郎氏が、安保法制と憲法9条改正に反対し立憲民主党との協力を主張した大串博志氏を破り当選した。さらに、昨日、同党の創設者である小池百合子東京都知事が都政に専念するとの理由で代表を辞任した。ようやく決定した執行部を見ると、幹事長となった古川元久元国家戦略担当相はどちらかと言えばリベラル寄りに感じられるものの、大串氏が執行部入りしなかったことや長島昭久氏が政調会長、細野豪志氏が憲法調査会長、松沢成文氏が参議院議員団代表にそれぞれ就任したことを考えれば、保守色が強い面子だと言えよう。
これによって、同党の実権は保守系の民進党(民主党)出身者によって掌握され、同党は事実上、右派民進党になったといえる。玉木新代表は安倍政権下であっても憲法改正議論に参加すると表明し、さらに安保法制の廃止や抜本的見直しに消極な姿勢を示していることから、同党の“ゆ”党化が進むと思われる。憲法改正論議に応じれば、立憲民主党や共産党などから与党の補完勢力になったとの批判が高まるのは必死である。早晩、大串氏に投票したリベラル系議員が離党するのは避けられないだろう。
維新との合併で延命を狙う?
マスコミ各社が発表した希望の党の支持率は3-4%であり、立憲民主党のそれが11-20%であることを考えれば、同党が野党の中で指導権を握ること考えにくい。すると、今後は同じく保守系ゆ党で党勢が低迷している日本維新の会との合併話が持ち上がるかもしれない。これに橋下徹氏が参加すれば一時的には話題になるかもしれないが、所詮自民党との根本的な政策の違いを打ち出すことはできないだろう。さらに玉木氏、橋下氏、前原氏、細野氏という我が強い組み合わせでは、些細なことで対立が起き、すぐに党が空中分解するだろう。これまで繰り返し述べてきたように、小選挙区の比率が高い選挙制度下においては保守二大政党など実現不可能であり、保守系ゆ党は淘汰されて行くと考えるのが自然である。そのような政党に所属するほとんどの所属国会議員にとって、左転回しない限り政治家として生き残るには結局自民党に入党せざるを得なくなるというのが宿命だろう。
民進党は遅くとも2019年には再分裂必至
さて、次は民進党の今後についてである。現在、衆議院選挙前に所属していた参議院議員および地方議員のほとんど、さらに「無所属の会」に所属する衆議院議員のほとんどが同党の党籍を有している。篠原孝氏や平野博文氏に関しては、「無所属の会」に所属しているのに民進党の幹部になっているという摩訶不思議なことが起きており、このような状態は長続きしないだろう。民進党の看板で選挙を戦えないことは明らかであり、参議院選挙と統一地方選挙がある2019年に向けて離党者が続出し、党内では分党を求める意見が強まるだろう。参議院議員に関しては前回の投稿で述べたように、①脱原発や野党共闘に積極的なリベラル系議員(多くは非製造業の旧総評系労組出身者)と、②脱原発と野党共闘に否定的な製造業系労組出身議員(多くは旧同盟系労組出身者)およびその他の保守系議員、に別れるのが自然な流れである。
前者と後者のどちらが民進党から離党するのかそれとも党として分党手続きをとるのかについては、今のところ予想するのは難しい。前者が希望の党との連携を拒絶し立憲民主党との連携・合併を模索するのは予想されることだが、後者にとっても人気がない希望の党と合併してもあまり展望がないのではないかと思う。さらに言えば、仮に後者と希望の党が合併する前に希望と維新が合併した場合、それらとの合流は難しくなる。維新が極端に敵視するのは官公庁系労組であるとはいえ、製造業系労組に支持基盤を持つ議員にとって労組そのものにアレルギー反応を持つ維新に所属していた議員と一緒になるのは難しいだろう。
野党連携の中心になるのはやはり立憲民主党
次回衆議院選挙に向けては、立憲民主党、無所属の会、希望の党のリベラル系、参議院民進党のリベラル系が将来的に統一会派を組むのが自然な流れであり、そこに社民党と自由党が加わるかもしれない。ここまでの政党連合で一つの政党になるかもしれないが、立憲民主党は安易な政党合併に反対するであろうことから、仮に合併が実現したとしても、それは他党が立憲民主党に吸収合併される形になるのではないかと思う。そして、上記の政党連合と共産党が、どのような順序でどこまで政策協定および選挙協力を行うかが焦点となるだろう。
保守系メディアや評論家は、野党共闘に関してガラパゴス左翼だの何だの言って攻撃してくるだろうが、野党(希望の党の保守系と維新を除く)はそれに動じないことが重要である。野党は結束して、①原発ゼロこそが経済成長を実現させること、②集団的自衛権は違憲であり安保法制の違憲部分は廃止しなければならないこと、③北朝鮮情勢には現行憲法で対応可能であることを、論理的に訴え続けることが政権交代への近道となるだろう。



