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NPOが「チーム」を組んで子どもの貧困問題の解決に取り組む―コレクティブフォーチルドレンの挑戦

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日本財団は、社会の問題に対して、新たな発想と明確なビジョンを持ち、様々な関係者と連携しながら、解決に向けて失敗を恐れずに活動するリーダーのことを「ソーシャルイノベーター」と呼んでいるという。そして、そうした革新的なアイデアを持っている人材・チームを日本中から募り、支援を行っている。

2016年に行われた「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2016」では、子どもの貧困サポートパッケージづくりを提案した「コレクティブフォーチルドレン」が2016年度ソーシャルイノベーター優秀賞に選出され、3年間、年1億円の活動資金が提供されることとなった。

共同で「コレクティブフォーチルドレン」の代表を務める河内崇典氏と高亜希氏に、同団体の活動内容について話を聞いた(聞き手:工藤啓【育て上げネット理事長】 構成:BLOGOS編集部)。

個別の課題解決に感じた限界

昨年行われた日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2016でプレゼンする高氏と河内氏(提供:日本財団)
―「コレクティブフォーチルドレン」の取り組みの内容を教えてください

高亜希氏(以下、高):「コレクティブフォーチルドレン」(以下、コレチル)の活動は、関西のNPOが連合体となって子どもの貧困対策に取り組もうという思いからスタートさせました。

これまでも私が代表を務める「ノーベル」は病児保育事業、河内が代表の「み・らいず」は発達障害や不登校、引きこもりの子どもたちへの支援を行っていました。

コレチルには、我々のほかに、ひとり親家庭への学習支援を行う「あっとすくーる」、デザインで地域の課題解決に取り組む「Co.to.hana(コトハナ)」、不登校の子どもに学習支援などを行う「ブレーンヒューマニティ」、経済的困難を抱える子どもたちに学校以外の学習の機会を提供する「チャンス・フォー・チルドレン」といった団体が参画しています。

それぞれの団体が支援活動を行う中で、行政の縦割りなどの問題に直面するケースが多々ありました。また、個別の課題を解決するだけではない、多面的な支援の重要性を実感するという経験もしてきました。そうした経験を踏まえて、子供が0歳から20歳、つまり社会に出るまでに「抜け漏れのないセーフティネット」を築き、行政や地域、NPOと連携して子どもたちをサポートしようというコレチルの活動へとつながっていったのです。

河内崇典氏(以下、河内):ひとり親家庭の学習支援、病児保育、障害者福祉、引きこもり…。こうした問題への支援を行っていると、「もう少し早く支援することができなかったのか」と感じるケースがこれまでもありました。例えば、シングルマザーの家庭であれば貧困という課題と隣り合わせになっているケースも多いのですが、そこにリーチできていないことに課題を感じていました。そこで、昨年、ソーシャルイノベーション支援制度が設立された際に、関西のNPOで連合して支援の仕組みを作ろうという話になったのです。

もちろん、個別に対処していく形の支援も重要ですが、もう少し予防的に、事前に防ぐ仕組みを作りたいと考えたのです。そして、そのためにはひとつの団体では支援に限界があるだろうということは、参画している全ての団体が共通して感じていました。

―子どもの貧困を支援する上で、個別の課題解決だけではなく、多面的な支援が必要になるのは、どのようなケースなのでしょうか。具体的な事例を教えてください。

高:例えば、夫のDVが原因で離婚し、母子家庭になった女の子の事例があります。お母さんは、女の子をおばあちゃんの所に預けて働くことになるのですが、小学校に入り、いじめにあって不登校になってしまいます。その子は、その後、通信制高校に入学し、友人が出来るも友人の退学を契機に自分も退学してしまいます。そして、お金を稼ぐために夜の世界に入り、そこで出会った男性の子供を妊娠してしまい自分も母子家庭になってしまう。

このように、幼い時から社会に出るまで様々な課題を抱えながら成長しているというケースの場合、子どもだけでなく、家庭にも支援が必要になります。ノーベルは病児保育事業を行っているので、こうした課題を抱えたお母さんと出会う機会もある。しかし、ノーベルで提供できる支援の形は病児保育に限定されているので、支援しきれない部分があるのです。実際、子どもが小学生になってしまえば病児保育のNPOとの接点はなくなってしまいます。

このように子どもの課題、家庭の課題が分かっていながらも必要な支援に繋げられない。特定の一つのNPOでは解決できないということに問題意識を持っていたのです。

―コレチルは、支援活動の一環として、兵庫県尼崎市内で、塾や習い事に通う際に現金の代わりに使用できるバウチャー(クーポン)を経済的困難を抱える家庭へ配布することを計画しています。バウチャーという形式を選んだ理由は?

河内:最も重視したのは、バウチャーの公平性です。

例えば、一つのNPO が行政からの委託を受けて、無料塾の運営を行うという形をとると、公平性の観点から問題があります。しかし、バウチャーであれば、友達が通っている塾を自らが選んで通うということも可能になる。保護者が使い込んでしまうという事態も避けられますし、当初からバウチャー形式を採用したいという思いはありました。

家庭環境に関わらず、子どもたちには学んだり、経験できる機会、また選べる機会が必要だと思っています。バウチャーを通じて、まずはその機会を提供し、家庭だけでなく地域とつながりを持てる状態にしたいと思います。

―バウチャーの配布以外には、どのような取り組みをしているのでしょうか。

河内:相談支援も行っていく予定です。バウチャーを配布してもそれを活かしきれない子ども・家庭へのサポートや、その他、家庭が抱える困りごとに対し、各支援団体と連携しながら支援を行います。

そして、その支援活動を通じて得られた知見や研究結果を、政策提言につなげていこうと考えています。コレチルの活動を通じて得られたデータを国や自治体に提供することで、次世代の子どもたちの支援につなげていきたいと考えています。

そのため、ソーシャルイノベーターとして日本財団からの支援を得ることができる3年間で、一定の成果を出すこと目指す一方で、より中長期な計画についても意識しています。行政と連携する上でも、やはり継続性は重要になります。

―行政と連携する際に重要となるポイントは、どのような点でしょうか?

高:いきなり、よくわからない団体から「金券(クーポン)をあげます」と言われても多くの人は警戒してしまいます。しかし、行政と連携することで地域からの信頼を得ることができます。 そういう意味では、行政や自治体と対話できる風土や市長とカジュアルに話すことが出来る環境というのは、大きなメリットだったと思います。

河内:「バウチャーを申請してください」という用紙を配布しても、行政のマークなどが記載されていないと怪しいDMのように見えてしまう。なので、もっと行政との連携を緊密にしていこうと協議している段階です。 例えば保育園で配布するとか、母子手帳を交付する際に一緒に配るといった仕組みができるように話し合いを続けているところですね。

―バウチャーの利用先の開拓は、どのように行ったのでしょうか?また、その際の地域や受け皿となる団体のリアクションは?

河内:参画団体の一つである「チャンス・フォー・チルドレン」が一定のノウハウを持っていたので、それを基に営業マンのように開拓活動を行いました。結果として、子どもたちに利用して欲しい地域の社会資源をお持ちの皆さんが、登録してくださいました。

「子どもの貧困」は地域の塾業界などでも関心の高いテーマだったので、冷淡に対応されるようなことはそれほどありませんでした。

ただ、バウチャーの場合、どうしても学習支援が中心になってしまいます。例えば乳幼児のケアであったり、私達が取り組んでいる就労支援での利用のイメージがありません。そこは今後も課題として残っていくと考えられるので、学習支援以外の用途を開発していく必要はあると思います。

[ PR企画 / 日本財団 ]

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