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「ゴジラは誰の物か」泥沼裁判に 本多監督の遺族、東宝を訴える

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ゴジラの産みの親は誰だ?

◆東宝の主張(2010年5月14日付け書面による)
1.映画「ゴジラ」の撮影用台本は、故本多氏及び村田武雄氏が共同で著作されたものとされているが、この台本完成以前に、香山滋氏が著作した検討用台本が存在している。

2.ゴジラのキャラクターは、もともと製作者である(東宝のプロデューサー)田中友幸氏が発案したもの。香山脚本は、香山氏が田中氏の発案創意に基づき創作したものであり、ゴジラ・キャラクターの基本的な特徴は、香山脚本に表現されている。

3.ゴジラのキャラクターは映画化にあたり、製作者の田中友幸氏のイメージ及びアイデアに基づき造形され、同氏の監修の下で製作された。

4.当社は、ゴジラのキャラクターの著作者である田中氏及び香山氏から、その著作権を承継取得している。田中氏は1997年4月に亡くなるまでに製作された「ゴジラ」映画シリーズ22作品全ての製作を担当。当社は、田中氏から「当社がゴジラのキャラクターの著作権を持つ」という旨を確認している。

5.故本多氏は、「ゴジラ」映画シリーズ28作品のうち、8作品の監督を務め、そのうち2作品の共同脚本家ではあることは認める。しかし、「ゴジラ」映画シリーズの製作については、故本多氏が監督していない作品も含めて、故本多氏が異議を述べたことはなかった。初代「ゴジラ」映画の公開から50年以上経過した今になって、故本多氏がゴジラのキャラクターの著作権を有するという主張には、当社は大変驚いている。
◆本多フィルムの主張(2010年4月23日付け書面による)
1.「ゴジラ」の原作者としては香山滋氏がクレジットされているが、本多監督は「ゴジラ」の脚本を作るにあたって、ゴジラの誕生の理由に関する描写や、ゴジラが姿を現すシーンの描写など、ゴジラのキャラクター設定につき重要な箇所において、原作に大幅な改編を加えている。

2.本多監督は、映画著作物である「ゴジラ」の監督として、同映画の登場キャラクターであるゴジラの挙動や、映像的表現を創作しており、映像面におけるゴジラを創作したのは紛れもなく本多監督である。

3.本多監督は、監督兼脚本家として「ゴジラ」に登場するゴジラの経歴・性格付けといった内面的なキャラクター設定を決定し、具体的に表現している。よって本多監督こそが(キャラクターとしての)ゴジラの著作者である。

4.さらに本多監督はゴジラの形状についても全面的に関与し、最終的なデザイン決定をしている。1954年の5月から7月にかけて、「ゴジラ」というネーミング決定と平行して、ゴジラの皮膚の質感、背びれの形、首や足の長さや太さ等のあらゆる外形的側面についても監督として最終的なデザインを決定した。この間、ゴジラの外見が数回にわたり大きく変化したことは、本多監督の意向を反映したものであることが、当社の調査で明らかになっている。

5.したがって、本多監督の著作権を相続した相続人らは、当然に「ゴジラ」のリメイク許諾権や、「ゴジラ」のキャラクター利用権を有する。
 こうして「ゴジラ」のキャラクターについて著作権の主張が真っ向から対立。その際、2010年にちょうど始まったパチンコ台「CRゴジラ4」のCMに対して本多フィルムが6月に抗議。今回の裁判へと発展することになった。

「キャラクターの著作権」は撤回

 ただし、今回の裁判では「ゴジラのキャラクター権」そのものは争われていない。提訴直前の今年10月、本多フィルムは「ゴジラのキャラクターに関する著作権」の主張は撤回しているからだ。同社は、主に以下の2点に絞って著作権を主張し、パチンコ台のCMをめぐる裁判を戦うことになった。
A.1954年公開の映画「ゴジラ」の映像著作権
(この映画は、脚本家及び監督として最も主要な役割を果たした本多監督の著作物である)

B.1954年公開の映画「ゴジラ」に使われた着ぐるみの著作権
(ゴジラのぬいぐるみに対して、本多監督は脚本家及び監督として決定的な関与をしている)
 これらを根拠にして「パチンコ台のCM」に無許可で使われたゴジラの利用は違法だと訴えた。1億2700万円の損害賠償を求める根拠となっている。

過去には「ウルトラマン」も裁判に

 これまで初代「ゴジラ」の映像に関しては、本多監督の著作権を東宝側は認めており、DVD化やテレビ放映などの際には、遺族に著作権料が支払われてきた。しかし、ゴジラのキャラクターに関しては、本多監督と東宝の間で明文化された契約は見つかっておらず、慣例で東宝が著作権を管理してきた。

(※2012年3月30日訂正:上記の記述ですが、追加取材の結果、以下のように訂正いたします。)
これまで初代「ゴジラ」の映像に関しては、「本多監督が著作者」と東宝側は認めており、DVD化やテレビ放映などの際には、遺族に脚本使用料と監督追加報酬が支払われてきた。ただし、東宝側は本多監督が関わった部分を含む「ゴジラ」の全著作権が「自社に譲渡された」と主張している。
 「ゴジラ」と並ぶ特撮作品である「ウルトラマン」シリーズも、製作元の円谷プロとタイ人の実業家の間で泥沼の著作権裁判となり、2004年に最高裁でタイ人に軍配が上がっている。結果的にタイ人側が1974年までに公開された「ウルトラシリーズ」の海外利用権を認められた格好になった。

 製作当時の関係者の多くが故人となる中、生前には問題にならなかった著作権をめぐって遺族が訴えるケースが今後は増えてくる可能性もある。果たして裁判所はどのような裁定を下すのか、特撮ファンのみならず注目が集まることになりそうだ。

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