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「ゴジラは誰の物か」泥沼裁判に 本多監督の遺族、東宝を訴える

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2002年6月に撮影された「ゴジラ×メカゴジラ」の製作風景(AP/アフロ)
2002年6月、「ゴジラ×メカゴジラ」の撮影風景(AP/アフロ)


 日本が誇る怪獣映画「ゴジラ」の関連商品の著作権をめぐって、裁判闘争に突入したことが11月30日に明らかになった。ニューギンが2010年に発売したパチンコ台「CRゴジラ~破壊神降臨~」のCMに対して、1954年の初代「ゴジラ」を監督した故・本多猪四郎氏の遺族が、1億2700万円の損害賠償を求めて、ニューギンや映画会社「東宝」など4社を10月13日、東京地裁に訴えた。

 東宝の映画では、黒澤明監督の「生きる」などの作品は“監督の著作物”と最高裁で認められている。これまで「ゴジラ」の映画やキャラクターの著作権は東宝が一括して管理してきたが、本多監督の遺族らは「初代ゴジラ映画は本多監督の著作物だから、商品化を東宝が勝手に許諾するのは違法」と主張しており、怪獣ゴジラの無断利用を許さない構えだ。

 ゴジラの著作権を巡って裁判闘争になったことで、ゴジラのキャラクターを使った商品展開に重大な影響を与える可能性が出てきた。「放射能の恐怖」をテーマに作られた映画作品が、くしくも福島第一原発の事故が発生した年に著作権トラブルが表面化することになった。30日に開かれた第一回口頭弁論は、わずか5分ほどで終了。争点整理のための弁論準備手続きに入ることになった。本多監督の遺族側と東宝側の主張は平行線を辿っており、泥沼化が懸念される事態になっている。【取材・文:安藤健二(BLOGOS編集部)】

「ゴジラ」とは何か

 初代「ゴジラ」は1954年、「水爆大怪獣映画」の宣伝文句で公開された。同年、第五福竜丸の乗組員が、太平洋のビキニ環礁付近で漁をしていたところ、米国の水爆実験に巻き込まれて被曝したことが背景にある。

 映画中では、水爆実験の影響でよみがえったと見られる恐竜のような巨大怪獣「ゴジラ」が、日本に上陸。第二次大戦後の焼け野原から復興したばかりの東京の街を、口から吐く放射能火炎でメチャクチャに破壊するという物だった。東京大空襲を思い起こさせるような特撮シーンを後に「ウルトラマン」を生み出した円谷英二氏が担当。発足したばかりの自衛隊がゴジラを迎え撃つシーンなど、当時としては画期的な映画となった。

 ゲテモノ映画のように言われて評論家の評価は低かったが、国内での観客動員数は600万人を超える大ヒットに。米国では、日本映画としては初めてメジャーの配給網に乗り「Godzilla, King of the Monsters!」の題名で公開された。

 「ゴジラ」は次々と続編が作られて東宝の看板シリーズになった。2004年の「ゴジラ FINAL WARS」までの50年間に計28作品が製作されている。「ゴジラ」は、大リーグで活躍する松井秀喜選手の愛称になるなど世界各地で親しまれている。

円谷英二とのタッグで怪獣ブーム

 「ゴジラ」を監督した本多猪四郎監督は、1911年山形県生まれ。日大芸術学部を卒業後、東宝の前身に当たるP.C.L.に助監督として入社。戦時中は徴兵されて軍隊生活を経験したが、復員後の1951年に「青い真珠」で映画監督としてデビューした。

 後に「特撮の神様」と呼ばれることになる特技監督の円谷英二氏とタッグを組み、「ゴジラ」(1954年)、「モスラ」(1961年)、「怪獣大戦争」(1965年)などを監督。日本映画界に怪獣ブームを巻き起こした。「ゴジラ」映画シリーズでは全28作品のうち、中期までの8作品の監督を務めている。

 晩年は助監督時代から親交のある黒澤明監督を手伝い、「乱」「まあだだよ」などの黒澤作品で演出補佐を務めた。1993年に81歳で没した。

パチンコCMは「ゴジラ映画の翻案」と主張

 今回の裁判はパチンコ台「CRゴジラ~破壊神降臨~」のCMが対象となっている。台の発売に合わせて、2010年7月ごろにテレビ放映されたもので、海中からザバーっと登場する「降臨編」と、都会でガイガンやキングギドラという敵怪獣に囲まれたゴジラが、放射能火炎で反撃をする「破壊編」がある。いずれもゴジラが大写しになり「破壊神降臨」というテロップが表示されている。

 このCMに対して昨年6月、製作元のパチンコ会社「ニューギン」に抗議文が届いた。「監督の著作権を侵害している」と本多監督の遺族が主張したのだ。これに対して、ニューギンは「著作権は東宝が管理している」と反論。東宝と本多隆司氏らの間で話し合いを持つが、交渉は決裂。昨年6月、東宝は本多隆司氏ら遺族に対して「著作権侵害の主張は無効である」と先手を打って訴えた。今回の裁判は、隆司氏らが東宝に対して反転攻勢に出たものだ。東宝に加えて、パチンコ化のキャラクター許諾に関わったタカラトミーと加賀電子。それに実際にパチンコ台を製作したニューギンと計4社が被告となっている。

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