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- 2017年11月03日 05:34
コネはSNS時代にどう変わる? ネットワーキング・スキルの磨き方
2/2【実績】
実績は、ビジネスを獲得する上で重要です。一例として映画『ラ・ラ・ランド』に描かれた如く、俳優はルックスが良くて演技が上手くても、最初の役を得るまでが大変です。なぜオーディションに落ちまくるか? と言えば、それはキャスティング・ディレクターが「この俳優を起用すれば、客が入る」という安心感を求めているからです。つまり「数字が読める」ことが大切なのです。その点、新人を起用するのはリスキーです。
同様に作家を目指す人が、原稿を出版社に送っても、次々に却下されるのは、かならずしもその作品が悪いからではなく、出版社の側で(これを出版した場合、売れるだろうか?)という不安があるからです。
もし実績が無いのであれば、どんなに自分が優秀であるか? 頑張る意気込みを持っているか? などをアピールしても効果は限定的です。なぜなら相手は「保身」を考えているからです。
【交友関係】
誰と交友関係があるか? ということは、その人の「人となり」をシグナルする効果があります。もし交友関係が「ふさわしくない」と思われたら、面接に落ちるし、商売の相手にしてもらえない場合もあります。若者は若者たちだけの交友関係(peer group)を形成します。高校時代には高校時代の交友関係があり、大学では大学での交友関係が作られます。このように若者はpeer groupから別のpeer groupへと跳躍を繰り返すのです。そしてそれぞれのpeer groupには、固有の「しきたり」のようなものがあります。これは『ミーン・ガールズ(Mean Girls)』などに描かれています。
しかし大学生が社会人になると、会社という新しいグループへと参加しなければいけません。そこでは「大人の事情」による「大人の世界」が展開されているわけです。するとこれまで自分が属していたpeer groupを棄てるという「二者択一」を迫られるわけです。
これは就職活動をしている若者だけが経験することではなく、企業ですら経験します。
たとえばフェイスブックは創業時は軽いノリのスタートアップの様相を呈していましたが、最近では去年の大統領選挙にロシアがフェイク・ニュースを流すことで関与し、それの「片棒を担いだ」と糾弾されています。つまり好むと好まざるにかかわらず、ワシントンDCの政治の世界にどっぷりと浸かり始めているのです。
またUberは世界中で規制にひっかかり、それらと折り合いを付けることを迫られています。
すなわち、フェイスブックにしろUberにしろ、社会的責任が増大するにつれ、企業として「成長」しないといけない局面に来ているのです。
その際、昔のアイデンティティのままで居る事は、出来るのでしょうか?
たぶん答えは「NO」です。
【群れを離れる時】
チンパンジーは約50頭で群れをつくると言われています。オックスフォード大学のロビン・ダンバー教授の研究では人間の場合、交友関係を保てるのは、せいぜい150人までだそうです。これが有名な「ダンバー数」です。すると新しい職場関係や交友関係がそこへ入ってくると、古い交友関係の一部か、場合によっては全部を断つ必要が出てきます。しかしひとたび或るネットワークに自分が組み込まれると、それを離れることは難しいです。
ただ、仕事もネットワークを通じて行われてゆくため、そこで生きてゆくためには新しいネットワークの中に入ってゆくことは避けられません。
仕事が出来る人は、顧客開拓、顧客関係の維持、社内外交などが上手いです。これらは全てネットワーク・スキルです。
ネットワーキングが出来れば、意見交換がしやすいし、情報の入手も速くなるし、より痒いところに手が届くサービスを提供できるようになります。
つまりネットワークがわかれば、出世の秘訣がわかるのです。
【閉じたネットワークと開かれたネットワーク】
シカゴ大学ブース・ビジネススクールのロン・バート教授によれば、世の中には「閉じたネットワーク」と「開かれたネットワーク」があります。閉じたネットワークの定義は、すべてのメンバーが、そのグループ内で、最低二人の人とつながっているようなネットワークです。
閉じたネットワークの好例は、家族です。
あるいは「家族同然のつきあい」をしている企業なども、その例でしょう。
閉じたネットワークの利点は情報の伝達が速いことに加え、グループ内で信頼関係が築かれている点でしょう。問題が起きた時、お互いをかばい合うことも起こります。
これに対し、閉じたネットワークの悪い点は、新しいアイデアが生まれにくい、チェック&バランスの機能が働きにくい、組織の暴走、そして組織の劣化に気がつかないetc.になります。いわば「タコツボ化」です。そしてある日、突然、「ドカ貧」になっていることに気付くわけです。
東芝の例が、頭に浮かびます。
閉じたネットワークは、良い面も多いけど、そればかりに安住するのはリスキーなのです。だから「ウチの会社は、ひとつのファミリーのようにお互いの面倒を見る社風です」というようなことを平気で口にするような会社は、気を付けた方が良いです。
これに対して開かれたネットワークは「ゆるい」つながりであり、閉じたネットワークが提供してくれるような、居心地の良い庇護は期待できません。
それでは開かれたネットワークは、全く無価値なのでしょうか?
それはそうではありません。
英国の哲学者、ジョン・スチワート・ミルは、「自分と出身や背景の異なる人間と交流すると、違う考え方が存在することを知る。別のやり方を目の当たりにすることは、そこから進歩が生まれやすい」と指摘しています。
大学では、よく「学際研究」ということが言われますが、あれなどがこれに相当すると思います。異業種交流なんかもその例です。また江戸時代、鎖国していた日本が開国したとたん、文明開化がおこり、飛躍したケースが思い出されます。
開かれたネットワークの好例は、最近はじまった個人の価値のマイクロトレーディング・サイト、VALUです。
VALUは、金融クラスタとクリエイターを結びつけるなど、異業種、異世代をミキサーに入れてかき混ぜるような、新しい出会いを可能にしています。
【まとめ】
コネ社会は日本に固有な現象ではありません。コネ社会は、今後もなくならないと思います。ただ或るコネの価値が突然暴落し、「ドカ貧」になることもしばしばあります。無価値化したコネは、新しいつながりに取って代わられる必要があります。それは「開かれたネットワーク」が提供している場合が多いです。人間はダンバー数(150)の関係しか維持できないので、それを随時、入れ替えてゆくことが必要になります。交友関係の入れ替えは、漫然と行うと「タコツボ」の繰り返しにしかならないので、VALUのような、ラジカルに自分と違う人種との出会いを可能にするSNSツールを活用すべきです。【お知らせ】
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