- 2017年11月02日 10:31
【読書感想】僕たちのインターネット史
2/2さやわか:さっきも言いましたけど、インターネットは、みんなと同じものを見ている、という感覚になってしまえるメディアなんです。Twitterが日本語版サービスをはじめたのは2008年ですけど、Twitterが出てきた時に僕が思ったのは、「これはインターネットの中にインターネットを作っているみたいなものだな」ということです。そもそもインターネット自体、自分で検索したものを選んで見ているわけですよね。それをTwitterというサービスの中でもう一度作り直している。それで、あたかもプッシュ型で向こう側から勝手に流れてきているように見せかけているんですよね。
ばるぼら:自分でスクリーニングしているにも拘わらず、あまりにも自然に流れてくるから、「これが世間なのかな?」って感じがしてしまう。たしかにそれは右も左も変わらないかもしれないですね。なんというか、いまのネットはすごい狭いところに投げている「機関紙」をみんなが読んでいる、みたいな状況ですよね、どんどんさびしいメディアになってきてしまいました。
そして、2010年代は、思想や文化が薄れたインターネットの時代になっているのです。 そういえば「ネットの理想」みたいなのを語っている人って、あのスノーデンさんくらいじゃないのかな、最近は。
さやわか:いまのネットカルチャーというのは、基本的にはどうやったら人を扇動できるのか、ということに尽きてしまっているんですよね。『動員の革命』のサブタイトルは「ソーシャルメディアは何を変えたのか」ですが、これは言い換えると「ソーシャルメディアは何を変えたのか=動員を革命したんだ」というだけ、になるんです。社会をどういう風によりよくしていくのか、というよりも、動員を革命すれば社会を変えられるという話なので、変えていく社会の中身の話にはなっていかないんですよね。とりあえず動員だけが重要になってくる。
ばるぼら:結局、どう人を動かすかの方法だけが重要になっていき、論理よりも扇情が有効だ、というのが近年の流れ。
さやわか:90年代には、たとえ「サイバースペース」という間違った比喩に基づくものだったとしても、みんなネットの恩恵で訪れる理想の社会や表現の姿について話していました。そしてゼロ年代の前半にはネットワーク社会における「倫理」のあり方が議論されました。でも、いまはそうではなくて、政治について語っている人も、経済について語っている人も、カルチャーについて語っている人も、みんな「炎上」的な……とまでは言いませんが、どうやったら人を集められるのかという話ばかりするようになってしまいました。
ばるぼら:いつのまにかそうなっちゃいましたね。
昔のインターネットについて知っている人には懐かしく、知らない人には新鮮な「歴史書」だと思います。 インターネットも、いつのまにか、こんなに歴史を積み重ね、変容していったのだな……と、本当に感慨深いものがありますね。

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