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オリンパス事件と政府の社外取締役の義務化方針

政府は、オリンパス事件や大王製紙の事件を受けて、大会社への社外取締役の義務付けを行うという。しかし、これだけで不正防止になるわけではない。なぜならばオリンパス事件では、大手証券OBの社外取締役の関与が疑われていること、そして、あのエンロン事件では、社外取締役がいても、事件を止めることはできなかったのは周知の事実であるからである。これを機会に政府は欧米に、社外取締役を制度化せよとでも言われたのであろうか。もう少し政府には、社外取締役の弱点、効能及び限界について慎重に議論してもらいたい。

個人的には、効果的な不正防止へ向けたガバナンスを検討するには、やはり法律による一律の制度設計では困難であると考える。外部の意見をとりいれる制度を構築しても、どのような人間が関与するかで制度自体の目的が骨抜きになることは、否定できない。一方で過半数を社外取締役にするような議論もあるが、これはこれでかえって経営のスピードを停滞させることにならないか、慎重な議論をすべきである。

現時点では、まだ、最近話題の事件での第三者委員会の意見も、刑事事件の捜査の進展もこれからである。原因を断定することはできない。これらの不祥事について真相が明らかになり次第、これを踏まえた上での議論をしてもらいたい。規制をするのは簡単だが、不正防止に対し、効果的な制度設計を検討すべきである。一方で、日本の活力を失わないために、経営のスピードを止めないようなバランスも図るべきだ。

今回の問題は、以下のような視点も含めて議論しなければならないし、問題は以下の視点に限られるものでもない。

(1)社外取締役を義務化するだけの議論ではなく、社外の役員人材をどのように確保するのか、育成するのか。
(2)仮に社外取締役を選任するにしても大手企業OBばかりが社外取締役・社外監査役になるような制度でよいのか。
(3)根底に、上司に従っていればよいとか事なかれ主義の風土に日本の教育が影響していないのかも考えるべきである。
(4)さらに、良い人材を確保できてもエンロン事件の社外取締役の議会での証言では、情報が適切に与えられなかったとの指摘もあり、このような場合に度対処するか。
(5)また月1回開かれる取締役会で、社外取締役にどれだけの情報入手能力があるか。おそらく正規の取締役会以外で、議論される不正への問題というものが存在するのも否定ではできない。

これらの問題を見ても、社外取締役だけを声高に叫んでも、それだけで不正防止への特効薬になるわけではないのである。政府与党は、どうも報道や外圧などに影響されて、制度の改正を議論しているように思えてならず、個別の問題について独自の解決能力があるとは到底思えない。円高、震災後の復興、TPP問題もあり、混迷を極めるこの時代において、理念も政策提案能力もない民主党にこれ以上政権を任せていたよいのか極めて疑問である。

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