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自民、「野党の質問時間を短く」問題

与党に質問は要らない。質問は、野党がするもの。
こんな“国会の常識”をつくったのは、小沢一郎さんだという。

小沢さんが民主党の幹事長だった2009年、政権に就くと、与党質問を「政権の太鼓たたき」だと言って、「与党2、野党8の時間配分が慣例化したのだという。

さから、野党に多めの質問時間を与える粋な慣習の歴史はまだ10年足らずと非常に浅い。
当時の野党・自民党は、それでも質問時間が短い、もっと時間の上乗せをと要求。当時の岸田文雄・自民党国対委員長は「審議入りの条件として、昨年以上の審議時間数を野党(自民党等)に与えていただきたい」と主張したのだという。 (31日付・朝日新聞を参考にして書きました)

ごもっともである。

どうか、その粋な歴史はもっと続けてほしいが、与党になって、3分の2を凌駕する議席を取るや、その数に見合った質問時間をよこせ、とは、なんともまあ身勝手なことを。

岸田文雄さんのご意見をお伺いしたい。

ふだん、生中継では国会を見ている時間はないが、最近はインターネットを通し、24時間いつでも委員会審議等を見ることで、政府に鋭い切り込みを入れる質問には興奮し、無知をさらけ出す政府答弁には呆れたり、生の国政の理解に努めている。

新聞の政治面では残念ながらスペースと記事のボリュームが限られ、一つひとつの議論の内容を理解するのは難しいが、審議をちゃんと見ていれば、なにが問題か、なにが論点か、政府は何を答えようとしないのか、また、政府の答弁はどのように国民に対して礼節を欠いたものであるかを理解することができる。

選挙の際、どんなきれいなパンフレットを見せていただくよりも、国会中継を見ることがどんなに参考になることかと思う。

今回、自民党の若手議員が、与党の質問時間増を要求しているとのことだが、与党議員の総理への質問は緊迫感漂うとは真逆の、総理の笑みもこぼれる和やかなご質問と答弁でお茶を濁す。
あろうことか、そんな質問時間が倍増するなんてことは、諸外国から見れば日本の国会はなんとも緊張感の乏しい、水準の低い劣化型議会であると映ることだろう。

若手議員が要望したなどと言われているが、ほんとうは、総理が野党の質問時間を短くするよう、党に働き掛けたのではないのかなあ。

朝日新聞 10月28日付
 
政府・自民党は27日、衆院での与野党の質問時間の配分を見直す方向で調整に入った。議席割合より多い野党の質問時間を減らすことを検討している。今後、与野党で協議して配分を決める。議院内閣制をとる日本では政府と与党は一体化しやすく、野党の質問時間が減れば国会の行政監視機能が弱まることが懸念される。

 衆院予算委員会は現在、与党2割、野党8割の割合で質問時間が配分されている。割合は変動するが、野党に多くの時間を配分することを慣例としてきた。法案について与党は国会提出前に政府から説明を受け、了承しているためだ。

 しかし、衆院選で自民党が大勝したことを受け、自民党内で質問時間の配分を見直す案が浮上。萩生田光一・幹事長代行によると、安倍晋三首相(自民党総裁)は27日、首相官邸で萩生田氏に「これだけの民意を頂いた。我々(自民党)の発言内容にも国民が注目しているので、機会をきちんと確保していこう」と指示したという。菅義偉官房長官も同日の記者会見で「議席数に応じた質問時間の配分を行うべきだという主張は国民からすればもっともな意見だ」と述べた。

<同関連>

 衆院選で6割の議席を占める大勝を収めた自民党が、国会での質問時間配分を変え、野党側を減らす見直しに動き始めた。政府に対するチェックという国会の機能の根本に関わる問題だけに、野党からは「野党の質問封じ」との批判が上がっている。▼1面参照

 ■専門家「少数派の声、無視か」

 加計学園問題を中心に、安ログイン前の続き倍晋三首相も出席して行われた7月の閉会中審査では、自民が開催条件として質問時間の「5対5」を提示し、野党が反発。結局は「3対7」で決着した。自民は大勝を受け、再び見直しを持ち出した。

 27日午前にあった自民党役員連絡会で、森山裕国会対策委員長は「議員の数は与野党で7対3なのに、質問時間は与党2対野党8だ。野党としっかり話さなければならない」と語った。

 その後、石崎徹衆院議員(比例北陸信越)ら当選3回の若手衆院議員3人が国会内で、森山氏に「質問時間の確保に関する申し入れ」を手渡し、質問時間を議席に応じた配分とすることを要請した。

 首相官邸も党側と歩調を合わせる。萩生田光一幹事長代行は27日に安倍首相と面会。首相も見直しに向けて、党側に努力を求めたという。

 官邸幹部は「与党は310議席以上ある。今の状態はあまりにもバランスが悪い」と語る。

 野党側は警戒を強める。立憲民主党の辻元清美国対委員長は朝日新聞の取材に対し、「野党重視の時間配分は、野党時代の自民党も主張していたことだ」と政権・自民党の姿勢を疑問視。共産党の小池晃書記局長も「野党の質問封じとしか取れない。いったいどこが『謙虚』なのか」と、安倍首相が選挙後にたびたび口にしている「謙虚」という言葉を使い、政権の姿勢を批判した。自民党内でも「姑息(こそく)な手段だ」(若手衆院議員)との声が漏れる。

 専門家からも今回の動きに懸念が上がる。

 大山礼子・駒沢大教授(政治制度論)は「今回の提案は言語道断。国会審議は事実上、野党の活躍の場となっている。議席数に基づく配分は、国民の少数派の声を聞かないということであり、国民を分断する行為だ」と指摘した。

 曽根泰教・慶応大教授(政治学)も「与党には党議拘束がかかり、質疑は儀式化している。与党議員たちにはこれまでの国会審議のあり方を抜本から見直し、政府を問いただし、政策提言する覚悟まであるのか」と語る。

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