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すべての第3子に「1000万円」を支給せよ

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■子どもたちが明るいイメージを持てない国

国も重い腰を上げ、教育改革を推し進めています。2020年度には「大学入学共通テスト」の開始、英語の4技能外部試験の導入など大学入試が大きく変わります。

この教育改革がこれまでの知識偏重から、深い知識を前提とした、論理的課題解決力、発信力などのリーダーの素養を磨く場となることを願っています。

夢や志の大切さを指導する中で感じるのが、今の生徒たちが将来に明るいイメージを持っていないことです。考えてみれば、私たちが子供の頃は高度経済成長期の最中であり、明るい未来を簡単にイメージできました。

ところが、今の子どもたちは、バブル崩壊後の先行き不透明な時代しか知りません。国家財政の危機や少子高齢化などの課題が山積した今の日本で、どうして明るいイメージが持てるのでしょうか。

その中で、私が最も懸念していることは人口減少です。人口が増えれば、明るく活気ある社会をイメージできますが、人口が減っていく現状ではそれも難しいでしょう。2016年、出生数は98万人となり、記録に残る1899年以降、初めて100万人を切りました。

今の人口減少のトレンドをそのまま続けて行けば、日本は消滅してしまう。今や「日本人は絶滅危惧種」という言葉まで飛び出している現状は、我々の代で返上したい。そう強く考えています。

■1000万円の投資で2億円を回収

日本にとって少子化は将来の経済や社会保障など国の基盤を蝕む非常にセンシティブな問題です。逆にこの問題さえ解決すれば、再び希望を持って暮らせる社会が作れるかもしれません。だからこそ何とかしたい。

私のアイディアは「第3子以降の出生に対して国が1000万円の奨励金を支給する」というものです。

16年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)は1.44でした。「十分な教育を施すためには、子ども1人が限界」と子育て世帯が考えているのであれば、人口は減る一方です。

人口が増加に転じるためには、子育て世帯が3人の子どもを育てることが望ましい。そこで第3子以降の誕生に1000万円のインセンティブを与えるわけです。これにより親の子どもへの教育費の問題は大幅に解消され、第3子まで生もうと考える夫婦は飛躍的に増えるでしょう。

また経済効果も大きい。おおむね国民は生涯に収める税金は約2億円。たった1000万円の投資で、2億円が回収できる計算になります。

さらに出生を促進するためには、第2子に対しても何らかのインセンティブが必要かもしれません。

■ビジネスのための提案ではない

塾の経営者である私が少子化問題の解決策を語ると、「自分のビジネスのために我田引水を謀ろうとしているのだ」とお叱りを受けるかもしれません。

しかし、業界トップシェアを頂戴している東進ハイスクールでも、実はまだ国内シェアは15%ほど。国内の教育市場のポテンシャルはまだまだ十分にあるので、私は自分のビジネスのことを心配しているわけではないのです。

自民党の特命チームは、幼児教育から大学までの無償化に年間5兆円から10兆円の予算が必要で、これを教育国債によって賄おうという案を提示しています。いずれにせよ、こうした議論が盛んになってきたことを私は嬉しく思います。 

すべからく教育を無償化するのがいいのか、第3子以降の出生に1000万円を支給するのがいいのか、またはもっといい政策があるかもしれない。私の案も、今の人口減少をどう食い止めるのか、議論のきっかけになることを願っています。

■団塊世代の果たすべき責任

私は現在、69歳。団塊の世代と呼ばれ、高度成長期を通して、経済的な恩恵を受け続けた世代でもあります。

今、日本は国債の発行残高が1100兆円ある。国債で国家予算を賄い始めたのが福田赳夫蔵相時代の1965年。私が17歳のころです。この6年後に私は三鷹市に「ナガセ進学教室」を開講しました。以来、当社の連結売上高450億円に達し、日本経済のGDPは、おおよそ15倍となりました。しかしその過程で日本の借金は1100兆円にまで膨らんだのです。

我々団塊の世代は日本社会で生きた中で、1100兆円のインセンティブを受けています。この世代としてのメリットを如何に次世代に継承するかを考えるべき時です。

人口減少を食い止めるために、最も大きなインセンティブを受けてきた我々の世代が奮闘しないとならないと考えています。そうでなければ生徒たちに「人間力を磨け」などと、どの面を下げて言えるのでしょう。

未来のリーダーを育てるという本業に加えて、人口減少をどう食い止めるのか、これからも提言や活動を続けて行きたいと思います。私の提言が、長期的な視野に立った思い切った政策の呼び水となり、国民全体で考えるきっかけとなれば幸いです。

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永瀬昭幸(ながせ・あきゆき)
ナガセ社長
1948年、鹿児島県生まれ。・東京大学経済学部在学中の1970年にナガセ学習塾を開校。74年卒業後、野村証券入社。76年ナガセ設立。東進ハイスクールや東進衛星予備校、四谷大塚などを全国に展開する。

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(ナガセ社長 永瀬 昭幸 取材・文=プレジデントオンライン編集部 撮影=門間新弥)

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