- 2017年10月29日 16:30
北朝鮮を核保有国として認めない点では一致するも、その具体策は各国で対応が分かれる ~「日米中韓4カ国対話」非公開会議 報告~
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⇒ 北朝鮮問題の解決に向けた環境づくりが民間でも始まった ~「日米中韓4カ国対話」を終えて
⇒ 北東アジアの平和構築に向けた多国間協議の第一歩が始まった
~「日米中韓4カ国対話」公開フォーラム 報告~
10月27日、言論NPOは東京都内のホテルオークラ東京にて、「北朝鮮の核脅威と北東アジアの平和を考える」をメインテーマとした「日米中韓4カ国対話」を開催しました。
言論NPOは2013年に中国との間で合意した「不戦の誓い」以来、北東アジアに平和秩序を作るという目標を掲げ、周辺各国との対話に取り組んできました。
今回の対話は、これまで中国と韓国と二国間対話に、米国というプレーヤーを巻き込んで北東アジアに平和秩序を構築するための一環として行うたいわです。
まず午前中には非公式会議が行われ、北朝鮮の核脅威を解決するためにどのようなシナリオが考えられるのか、そのために4カ国はどのような協力をしていくべきなのかなどについて意見交換が行われました。
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冒頭、司会を務めた言論NPO代表の工藤泰志は、「言論NPOは北東アジアに平和秩序を作るための作業を開始したが、そのためには北朝鮮問題の解決が不可欠だ」と今回の対話の背景を説明。その上で、出席者に対して「現在の北朝鮮を取り巻く状況をどのように見ているか。その状況を踏まえて各国は何をすべきか」と問いかけました。
圧力を高めると同時に、クライシスマネジメントが不可欠
これに対し日本のパネリストは、1990年代以降の北朝鮮の核開発問題への国際社会の対応は、「トランプ米大統領が言うように、20年間失敗の連続だった」とし、そのように20年もの猶予を北朝鮮に与えた結果、核・ミサイルの技術レベルは「再突入の際の強度だけは不明だが、もうほとんど完成しているものだと想定すべき」としました。
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一方で、ここからさらに一段階上の技術、例えば多弾頭化などを獲得するためには時間がかかるとし、「今度は時間のメリットはこちら側(日米など)に来ている」と指摘。そして、中露も賛成した安保理制裁決議により、どこまで制裁をするかメルクマールが明確になったこと、米国が本腰を入れ始めたこと、中国も取り組まざるを得なくなったことなど、「国際社会として圧力をかけていくための態勢が整った」とし、「金正恩にも焦りが生じ始める中、どう圧力を高めていくか」が今後の課題になるとの見方を示しました。
しかし同時に、「非常事態に備えるためのシナリオも考えていく必要がある」とクライシスマネジメントについても指摘しました。
安全保障のジレンマに陥らないように注意が必要
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米国のパネリストは、トランプ政権が外交・安全保障政策において、北朝鮮問題のプライオリティを上げたことを評価。そして、政権が想定している最悪のシナリオは、北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)によって米国の複数都市に対する直接攻撃が可能となることであり、朝鮮戦争は「最悪から2番目」の状況だという問題認識も明確になっていると解説しました。
一方で、「危機を未然に防ぐための武力行使は可能なのか」という議論はまだ始まったばかりであり、「米ソ冷戦期のように、まだ説得による抑止も可能との議論もある」ため、まだ確固たる方針は定まっていないと説明しました。その上で、今後はミサイル防衛などで同盟国との連携を深めていくことになるが、中露との協力も重要であり「安全保障のジレンマに陥らないように注意が必要だ」と語りました。
また、対話については、「米国が期待するレベル(核放棄に応じるなど)は難しいだろう」としつつ、「対話によってハードルを下げることも必要かもしれない」としました。
グローバルな協力の下、様々な手段を組み合わせていく
朝鮮半島有事の際、最も大きな被害を受けると見られる韓国のパネリストは、北朝鮮の核・ミサイル開発が長足の進歩を遂げたことにより、「非核化のチャンスがどんどん遠のいている。そして、ソウルは大きな危機に直面している」と現状に対する強い懸念を表明。そして、トランプ大統領と金正恩の間ではすでに「言葉の戦争」になっているとし、そうした状況の中で不測の事態が起これば「容易に軍事衝突までエスカレートしてしまう。最悪の場合、ソウルでは70万人が死ぬことになる」と警鐘を鳴らしました。
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そうした中で韓国としては、経済、外交を組み合わせつつ、圧力をかけたり封じ込めを図っていくしかないとしつつ、そこではグローバルな協力が不可欠と主張。11月に予定されているトランプ大統領のアジア歴訪で「関係諸国が安心できる材料が出てくれば」と期待を寄せました。そして、韓国自身の核武装や米国の戦術核の配備については、「一旦それをやってしまえば、恒久的な非核化はますます難しくなる」とし、オプションたり得ないとの見方を示しました。
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