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ドラフト会議 ストライプ柄ネクタイが運命の分かれ道?

【7球団から指名の清宮選手】

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、例年に増して注目を浴びたドラフト会議での、各監督の心理状態を読む。

 * * *
 プロ野球を目指す新人にとって運命のドラフト会議が、26日に行われた。今年はなんとTBSが生中継。誰がどこにいくのか。指名された選手たちの喜びの表情もさることながら、くじを引いた監督たちの仕草や表情が面白かった。

 各チームとも緊張した面持ちで会場に入ってくる。ピシッとしたスーツに身を包んだ監督たちだが、政治家がよく締める鮮やかな赤なネクタイをしている監督はいない。唯一、赤色系のネクタイをしていたのは阪神の金本知憲監督だけ。金本監督からは勝負に出よう、そんな強気と意気込みが感じられる。

 だが、多くはブルーや紺の青系のネクタイ。青はアスリートたちにとって大切な色といわれる。青は集中力を高める色。副交感神経を優位にして気持ちを落ち着かせ冷静にさせる色。例え失言しようといけいけドンドン、真っ赤なネクタイで選挙戦を乗り切った政治家と違い、監督はチームをまとめ、勝利に向けて采配を振るわなければならない。冷静さと聡明さ、分析力と集中力が最も求められる立場だ。気持ちを落ち着かせ、監督としの優秀さを印象づけるなら青が最適なのだろう。

 席についた各監督は緊張しきり。1回目の入札が終わり、DeNAのラミレス監督は、少しだけ緊張がほどけたようで、わずかに笑顔を見せていた。1回目の入札、画面で確認できる限りだが、頬を緩ませたのはラミレス監督だけだ。大方の予想を裏切る指名で、単独で交渉権を獲得できそうな目算があったのだろうか。

 早稲田実業高校の清宮幸太郎内野手の名前が、次々と上がる。巨人の高橋由伸監督は緊張が強いのか、硬い表情で口元を引き締めている。日本ハムの栗山英樹監督は目線だけ動かし、あごをなで、指で唇をなでていた。高まる緊張と動揺を、無意識になだめようとしているのが、この仕草からわかる。

 さて注目は金本監督と工藤監督だ。この2人、なんと3巡目まで指名が競合。くじを引き合ったのだ。金本監督は両手の指であごを支え、その手を握って口に押し当てていた。指であごを支えるのは対抗心や批判的な気持ちがあるからだが、手を口に当てていたのは言いようのない不安を抑えようとしていたからだろう。対するソフトバンクの工藤公康監督は落ち着かな気に口元を動かし、この雰囲気は好きではないのだろう、唇を尖らしただけだ。

 すべての指名が終わった。ラミレス監督の表情が物語っていたようにDeNAは単独指名に成功。ラミレス監督の表情が和らぎ笑顔になる。一方、清宮選手で競合した7球団はくじ引きへと演台に登る。箱にくじが入れられると、初のくじ引きになる高橋監督は大きく身体を揺らし、工藤監督も身体を揺らした。責任の重さを感じているのだろう。彼らの顔はどれもが神妙だ。そんな中、最後から2番目に引いた金本監督は箱の中に左手を入れて苦笑い。最後の工藤監督は、残り物という感覚が拭えなかったのか、やや情けなさそうな顔でくじを引いた。

 交渉権を引き当てたのは、日本ハムの木田優夫GM補佐。その瞬間、金本監督は目を開け、身を乗り出しどこの球団かを確認。日本ハムの横に立っていた高橋監督は、わずかに上半身を揺らしただけで硬い表情のままだ。

 2巡目の指名、金本監督は左手で頬杖をついていた。仕草から、この状況が気に入らないことが読み取れる。面白くないというマイナス感情と、さてどうするかという困惑が入り混じっているようだ。工藤監督は眉間にしわを寄せ、ますます難しい表情だ。

 再び競合するとわかった途端、金本監督も工藤監督も上を向いて苦笑いした。期待が落胆に変わった瞬間だ。結果がどうであれ、運頼みとなると人は天を見上げることが多い。ゲンを担いだのか、今度は右手でくじを引いた金本監督。くじを開け、即座に左右を確認する金本監督とゆっくり確認する工藤監督。だが、ここでも2人に運は回ってこなかった。

 3巡目の指名が始まると、金本監督は頬杖をついた左手の上に、完全にあごをのせていた。その左の小指がわずかに動く。困惑を通り越し、不安と期待、緊張が心の中で葛藤している様子。あごに手を当てるだけでなく、手で支えるのは、葛藤する心を無意識が支えようとしていたとも思えるからだ。ここでも、2人はぶつかった。「あ~っ」声を出し、天を仰いで首を後に反らす金本監督。眼鏡をはずし、顔を触る工藤監督…。

 そして、3回目はまた左手でくじを引いた金本監督。工藤監督がくじを引くと、声を掛け合い笑った。権利を得たのは金本監督。席につくと、安堵からかようやく何度も手を握り直していたが、今度は工藤監督が右手で頬杖をついていた。

 さて、ドラフトではゲン担ぎがあると聞く。右手か左手か。チームや引く人によって伝統やツキがあるようだ。清宮選手を1発で引き当てた木田GMはさんまさんの助言を受けて左手でくじを引いたと話した。

 だが今回のドラフト、1巡目でくじを引き当てたのは、日本ハムの木田GM補佐に、広島の考市監督、そしてオリックスの福良淳一監督。左手か右手かの伝統より、そのネクタイを見ると色は違えど全員斜めのストライプ柄。今年のドラフト、最も縁起がよかったのは斜めストライプだったのかもしれない。

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