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[法曹][政治]そしてまた、盛り上がらなかった国民審査。

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公示日直前くらいまでは、「久々に盛り上がるかな」という期待を一瞬抱かせてくれていた衆院選も、結果的には元最大野党だった議員さんたちが大量に「ただの人」になる、という結果を招いただけだった。

今回の敗因として、「排除します」発言がやたらクローズアップされているのだが、本当に問題だったのは、政策志向も思想信条も異なる人たちが「小池百合子」というブランドに擦り寄ってしまったことの方で、この点については、24日付日経紙座談会の土居丈朗慶大教授の以下のコメントに尽きていると思う。

「小池氏は改革保守と言うが、彼女が保守として経済政策で立てる隙間は、政府の関与を抑えて市場に委ねる「小さな政府」寄りにあった。安倍首相は小泉内閣で育てられた人だが新自由主義は標榜しておらず、より「大きな政府」に近づいている。だから小池氏には日本維新の会のような小さな政府に近い位置をとる方が自然で、保守層の中にもそこに強い支持を持っている人はいた。だが(大きな政府寄りの)民進党とまず合流を決めたことで、保守かリベラルかさっぱりわからなくなった。」(日本経済新聞2017年10月24日付朝刊・第7面)

ここでは「維新の会」が例に挙げられているが、個人的には初期の「みんなの党」の公約に近いモノを掲げて戦えばいい勝負になっただろうし、実際、立候補者の中にも、みんなの党や維新の会の系譜を受け継いでいる人たちは多かった。にもかかわらず、そこに、ついこの前まで「社会保障を手厚く」と言っていた人々が合流した結果、候補者のラインナップを見ても、もはや支離滅裂*1

結果的に重視されたのは「継続性」で、何も変えていない自民党・公明党連合と、それまでの看板を貫いた立憲民主党・共産党連合が「勝ち組」になったのは必然だったといえる。

ゴタゴタの末、一番割を食ったのは、今回、世の中を変えよう、人生を変えよう、と思い立って立候補し、“小池チルドレン”になり損ねてしまった人々だろうけど、その志が本物ならば、2020年くらいまでは心を折らずに風雪に耐えてください、と思わずにはいられない。

さて、前振りが長くなったが、最高裁裁判官国民審査の結果も出た。

「一人一票」問題もあって、以前に比べると比較的盛り上がることも多いこの話題だが、開票後はあまりにひっそりとしか結果が取り上げられないこともあって、「全員信任だよね?」「当たり前じゃん」「つまんないね~」というしょうもない会話で終わってしまうことがほとんどである。

そして、今回の国民審査は、衆院選に輪をかけて平凡な結果に終わった*2

<罷免を求める票数と不信任投票率>

小池 裕 4,688,017(8.6%)

戸倉三郎 4,303,842(7.9%)

山口 厚 4,348,553(7.9%)

菅野博之 4,394,903(8.0%)

大谷直人 4,358,118(8.0%)

木澤克之 4,395,199(8.0%)

林 景一 4,089,702(7.5%)

2016年参院選の大法廷判決で「多数意見は・・・違憲状態を脱したと評価するが,私は,一人一票の原則及び投票価値の平等原則に照らした場合,・・・そこまでの評価を明言することにはためらいがあるため,多数意見に完全には与することができない。」と、ささやかな抵抗を見せた*3、林景一裁判官の罷免票が少ないことと、職業裁判官の立場から保守色の強い意見(特に厚木基地騒音事件など)を書かれている小池裕裁判官の罷免表が相対的に多いのは予想通りだったが*4、それでも票差としては60万票程度で、そんなに有意な差が付いているわけではない。

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