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引退した浅田真央が実に清々しい雰囲気を漂わせていた、客席も皆安堵するという体験

スポーツの世界では「別格」と言われる存在の人々がいて、その人は過度な期待を背負い猛烈なプレッシャーがかかり、そして絶対の勝利が求められます。そして負けた場合はその人に怒声が寄せられるというよりはショックで声が出なくなる、といった状態になります。

私がこの現象を始めて見たのは、1984年・ロサンゼルス五輪における長崎宏子(水泳)、瀬古利彦(マラソン)、山下泰裕(柔道)といったところでしょうか。山下は金メダルを取ったものの、長崎と瀬古の敗北については日本中黙り込んでしまった感がありました。

その後もこうした国の英雄的存在の選手は出てきましたが、もっともその期待が高かった、そして愛された選手といえばフィギュアスケートの浅田真央でしょう。

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 世界選手権と四大陸選手権では「金」3つずつ、グランプリファイナルでは「金」4つずつと抜群の実績を誇る彼女でしたが、フィギュアスケートにとっての最高峰の舞台であるオリンピックにおけるメダルは2010年・バンクーバー五輪の「銀」だけでした。韓国のキム・ヨナと長年にわたり熾烈なライバル関係を繰り広げてきただけに、とかく韓国をライバル視するネットの風潮からしても日韓の代理戦争における日本代表という立ち位置を求められた。

今年の4月、浅田さんは引退を発表しましたがその時の多くの国民の感情としては「真央ちゃん、おつかれさま」「真央ちゃん、よくやったよ」というものだったと思います。彼女が中学生だった頃からその姿を見ていただけに、娘の成長を見続けてきたような感覚もあったことでしょう。

 そんな彼女が引退してその重圧から解放されたことに他人ごとながらホッとしている人が多い中、私も彼女を間近で見てきたのでその時の会話を文字起こししてみますね。タイミングとしては、写真週刊誌・FLASHが浅田さんとフランス人モデル・ロマ・トニオラとの「ルーブル美術館デート」が報じた2日後の10月19日でした。

舞台は「日経ビジネスイノベーションフォーラム 脱・睡眠負債 ~パフォーマンスと睡眠の関係性を考える~」で、現在30万部突破の『スタンフォード式 最高の睡眠』著者の西野精治教授による「睡眠負債」にまつわる講演と、西野さん、浅田さん、そして浅田さんがCMキャラを務める寝具メーカー・エアウィーヴ会長兼社長の高岡本州さんのパネルディスカッションが行われました。

 彼女の発言を一部追いますが、実感としては「あぁ、リラックスできているな」ということと「新しい人生を楽しんでいるな」ということでした。あれだけ注目を浴び、プレッシャーを感じる人生を送ってきたことをこの日の聴衆も皆知っているわけですから、会場は安堵の空気が流れていました。そして、浅田さんの発言がある度に笑いが起きるという状況でした。

――睡眠の傾向について

浅田:常に8時間睡眠を心がけていました。仕事や撮影などがあり、遅く帰ることもありましたが、6時間から8時間は睡眠を取るようにしています。私にとって適切なのは8時間です。緊張した日というのはたくさん寝られます。それだけ疲れているからですかねぇ?

西野:脳を使うということは、睡眠に対する欲求が増えるということです。今、浅田さんは身体を以前よりは使わなくなっているので睡眠時間はいらないという人もいるかもしれませんが、それは違う。緊張があれば睡眠に対する欲求が多くても仕方がないです。

――よく寝るために工夫していること

浅田:体をキープするために、睡眠の3時間前には夜ご飯を終えるようにしています。睡眠負債については、元々はよくわからなかったです。「睡眠不足」は知っていましたよ。西野先生は「気づいていなくても睡眠がとれていない」ということはあると言いましたが、私は眠れないことはないです。皆さんはあるの? 休みの日でも7時に起きちゃいます。目覚ましかけなくてもいいぐらいですよ。

西野:週末も含めて規則正しい。睡眠負債の観点から考えると負債はないですね。

浅田:じゃあ、私はないってことですね。良かった~! 特に選手の時は一日中体動かしていたので、8時間の睡眠の他にも、30分の昼寝を取っていました。こうすると、朝のスタートがスッキリで、がんばるぞ! と言う気持ちに朝はなれたので、睡眠はやっぱり大事だと思います。熱がたくさん出てもたくさん寝れば治るイメージがありますし。

――バンクーバー五輪の時は現地時間に合わせ朝2時から練習をやっていたことや、お酒はあまり飲まないことなどを話した後、これからやってみたいことについて。

浅田:ホノルルマラソン挑戦ですね。元々走るのが好きだったんです。走りたいな、新たな挑戦をしたいな、と思っていたので、今回お話をいただいたのでやります。最初は完走できればいいな、と思いましたが、やはりアスリートなので、4時間半以内にはゴールできれば、と思います。

高岡:私はホノルルマラソンのタイムは4時間39分です。4時間半でゴールするには、4時間20分で走るつもりでないといけないですよ。とにかく最後の坂がきつい。5km以上坂。あれはすごくきついので10分ロスすると思います。

――どうしたら寝つけるか?

浅田:「明日何しようかなぁ?」「何があるかなぁ?」って考えると眠れないことはありますが、「今日は何をしていたかなぁ」と考えるといつの間にか寝ています。夜中に目を覚ますことは、ほとんどないですね。暑くて、寒くて目が覚めることはありますが、それでもすぐ寝ちゃいますね。

――イベント前日に泊まったホテルについて

浅田:星のやさんに泊まったんですが、フロントで「エアウィーヴ、ありますか?」と聞いて、その後食事に行ったのですが、その間に用意してくれたんですよね。

高岡:えっ? 真央ちゃん、実は星のやさんには納入実績がないんですよ……。真央ちゃんが尋ねてその後買いに行ったのであればすごい!

――パネルディスカッション出演について。

浅田:このパネルディスカッションを通じ、睡眠がすごく大事だと分かりました。これが良い、悪いではなく、自分に合った睡眠を見つけたいです。良い睡眠を取って明日一日やる気を出したいです。そして、こういったパネルディスカッションは初めて。前にナレーションとかもやりましたが、滑っている方が楽だとは思ったけど、色々とこれからやっていきたいです。

その後、個別の取材でも浅田さんはこう語っていました。今でもスケートの練習は毎日続けているそうです。

「失敗って事前に準備してもするものなので、あとは気持ちの問題なので、前向きに考えていきたい。これからは難しいことにもチャレンジしたい。それでもできると思います。努力して、自分を信じればできます。これからはスケートに限らず色々なことに挑戦していきたいですね」

写真は浅田さんと、司会を務めた日経新聞編集委員の関口和一さんです。関口さんは浅田さんと会うのが楽しみ過ぎて前日眠れなかったと述べるおちゃめなおじさんでした。それにしても何か一つのことをやり切った人物から感じる「凄み」というものも感じた次第であります。

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