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抗議の民衆に狙撃映像、エジプト軍部は一線越す

ムバラク独裁政権を退陣に追い込んだエジプトで、軍部の横暴に抗議して再び民衆が立ち上がりました。既に30人を超える死者が伝えられ、CNNは治安部隊が威嚇用に空に向かって発砲するのではなく、明確に水平方向に標的を狙って射撃する映像を流しています。エジプト軍部が守るべき一線をあっさりと越えてしまったので、民政移管の流れを加速せざるを得ないでしょう。

 アルジャジーラのライブ・ブログにあるビデオ「Tahrir:November 19-22」の後半には、死亡した人の遺体を安置した映像がいくつも出ており、頭や胸に撃たれた傷口が見られます。

 しかし、民政移管は単純には進みそうにありません。イサーム・シャラフ内閣が総辞職し、軍最高評議会のタンタウィ議長が大統領選を前倒しや軍の役割を問う国民投票を実施する意向を示しても、ウォールストリートジャーナルの《エジプト軍政、大統領選前倒しを表明―デモ隊は不信感示す》は「首都カイロのタハリール広場に集まっている数万人に上るデモ隊は、この演説に対してすかさず冷笑を浴びせ不信をあらわにした。タンタウィ氏が示した誓約を、ムバラク前大統領が追放前に行ったものと同じだとする人もいた」と報じています。

 やはり問題は、2月の「エジプト人は軍部=性善説。未来は大丈夫か」で心配したように、国民を代表できる民主的な政治勢力が育っていない点です。28日に予定される総選挙で議会最大勢力になりそうなムスリム同胞団は選挙実施を優先して、大衆の抗議行動から引き揚げてしまいました。タハリール広場の映像を見ていると若い人たちが主導する草の根抗議行動で、軍部としても交渉相手を見つけるのに困っているのではないでしょうか。軍部とイスラム勢力のムスリム同胞団で仮に合意しても、タハリール広場に集る大衆には無縁です。

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