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  • mkubo1
  • 2011年11月22日 21:49

日経リンク債の意外なリスク 【ノルウェー輸出金融公社の格下げ】

ムーディズは、ノルウェー輸出金融公社の格付けを7段階の格下げし、Ba1としました。10月28日にAa1からAa3に2段階格下げし、更なる格下げを検討中と言っていました。理由は、ノルウェー財務省がノルウェー輸出金融公社に対して、EUの資本要求指令(CRD)の適用を恒久的免除から、2012年12月末までの期限付き免除としたことです。これは、政府のノルウェー輸出金融公社に対するコミットメントの縮小を意味します。

ノルウェー輸出金融公社は、ノルウェーの企業が輸出をしたときに、その輸出先からの支払い代金を担保に、企業に資金を融資(先に代金を立て替えること)していたのです。その支払い代金を担保にしていたのですが、そのリスクアセットは20%だったのですが(恒久的免除)、今後100%になるのです。それだけ、リスクのある取引ということで、厳しくリスク管理をしていくのです。ですから、今までのように、輸出代金を立て替えること(融資)はできなくなります。その代わりに、政府が約4000億円の新規融資で輸出業界を支援するようです。ということは、ノルウェー輸出金融公社は、融資を相当減らして、事業を縮小するか、増資するかしかないのです。これもEUの新資本規制に沿った動きなのです。

CRDは、Capital Requirements Directiveの略

ともかく、この発行体が投資不適格にまで、格下げされたので、その影響について考えて見ます。このノルウェー輸出銀行は、日本での日経リンク債などの仕組み債の発行体になっています。割と、柔軟な対応をしてくれる発行体で、使い勝手がよかったので、多くの仕組み債の発行体になっています。

ノルウェー輸出銀行が発行体の日経リンク債は、発行体の格付けが投資不適格になったことにより、その価値が大きく低下します。もともと、債券なわけですから、今の欧州のソブリン債(ギリシャ国債など)と同じことです。となると、投資家は、そんな危険な債券(投資不適格)は、安くても売ってしまおうと思うか、満期まで保有するかです。

満期まで保有する場合、このノルウェー輸出金融公社が破綻すれば、最終的に価値がゼロですし、無事、元本が償還されるかも知れません。つまり、投資家が、この発行体のリスクを負うわけです(もっとも、リンク債を購入した時点で、すでに発行体のリスクを取っているのです)。

一方、売却したい投資家は、このリンク債を売るわけですが、リンク債をアレンジした證券会社が、プライシングするはずです(出来ないかもしれません)。問題は、このリンク債は、すぐに償還されることはありません(すでに発行体も途中償還(キャンセル)をしないと言っています)。これは、当然で、この発行体にとては、(今となっては)超低金利で、資金を調達できたわけで、そんな低コストの資金を簡単に途中償還する理由はどこにもありません。ですから、投資家がリンク債を證券会社に売ったとしても、そのリンク債を證券会社が保有し続けなければいけません。

しかし、ご存知の通り、證券会社にそんなジャンク債を保有し続ける体力はありません。当然、理論的には、ノルウェー輸出金融公社のCDSを購入してヘッジするコストを加味して、リンク債のプライシングを行います。相当高いでしょうね(今、値段分かりません)。

推定で、ノルウェー輸出金融公社が発行体になっているリンク債の残高は2000億円以上あると思われます。今年だけで、約1500億円発行されています(すでに、償還されたもののあるようです)。

また、リンク債が日経リンク債の場合、ノックインしますと、日経平均に先物の売りが出てくることは従来と変わりません。

私が面白いと思ったのは、日本証券業教会の「日経リンク債の特徴やリスクとは?」に、発行体のリスクについては、1行も書かれていないことです。所詮、こんなものです。発行体リスクなんて、リーマンの時に、いやというほど味わったはずですが、あれからまだ3年、いや、もう3年、まさかノルウェー輸出金融公社がジャンク債(投資不適格)になるなんて。しばらく、発行体リスクがクローズアップされるかもしれませんね。いやいや、リンク債ビジネスも、一時的に、縮小するかも知れませんね。

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