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高速の追い越し車線で停車させたら何罪なのか

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次に、運転と死亡との因果関係が問題になる。

ここで参考になるのは、大阪地方裁判所平成29年3月3日である。
これは、163キロで暴走させた結果制御不能となり対向車線に飛び出して対向車と衝突した事案で、危険運転致死を認めている。要するに、事故を起こすつもりでなくてもいいのである。

この点について、菊間弁護士は「容疑者もその同乗者の女性も外に出ていたのだから、まさか事故が起こるとは思っていなかったと推察し」同罪の成立を否定したと報道されているようであるが、事故が起こると思っていたかは、同罪の成立要件ではないので、正直何の要件をおっしゃってるのか、私にはわからない。

園田先生は、「妨害運転に内在する危険性が死亡の結果という形で現実化した」ことが必要という基準を提唱されて、車を降り、ワゴン車のところまで歩いて行っていったので、本件は妨害運転に内在する危険性が具体化したものではないというお立場のようである。

ただ、その基準自体が一般的なものではないので、裁判所が採用するかというのと、最高裁平成16年10月19日判決を見る限り、妨害運転の危険性から生じたと認定するような気がする。

次に殺人罪の成否であるが、殺人罪は刑法である。

(殺人)
第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

まず、報道を見る限り、追い越し車線に停車させる行為が、死の現実的危険性を有する行為かが問題になる。

次に、故意つまり「被害者が死ぬかもしれないが構わない」という証拠があるかである。

これは、事実認定次第で、追い越し車線に止めること自体一般的には危険極まりないことであるが、怒りにまかせてなにも考えてなかったといえるかがポイントである。

おまわりさんの取り調べ次第では、殺意について自白調書が出てくる可能性は否定できない。

園田先生は、自分の車から降りて、ワゴン車のところまで歩いて行ったので、自分も死ぬことを認識・認容したというのは、ありえないという意見のようである。

ただ、この点については、自白調書があれば、自分が死ぬ可能性を認識しても故意とは矛盾しないとして故意を認めるのが、私のよく知っている刑事裁判所の傾向である。

さらに、園田先生は、監禁致死罪を提唱するようである。

(逮捕及び監禁)
第二百二十条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

(逮捕等致死傷)
第二百二十一条 前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

(傷害)
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(傷害致死)
第二百五条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

前に被疑者の車が停まっていて、車でその場から脱出することが当時の状況からかなり困難で、子供2人を連れて走って逃げることもできないというのが監禁罪成立の理由のようである。

監禁は、拘束しなくても、移動や脱出が著しく困難であればよいとされ、嫌がる人をトラックの荷台に乗せて走るだけでも成立するとされている。本件がこれに該当するか。移動した際に、どの程度執拗に回り込んでいたかとか、後続車両が衝突する可能性の程度が事実認定の前提として問題になってくると思われる。

次に、監禁する側は、監禁の故意が必要である。ワゴン車が自発的に停車したと認識していたのか、それとも身体極まって停車せざるを得なくなったと認識しているか、これも事実認定次第である。

その際には、後続車両が衝突する可能性をどの程度認識していてたかが問題になるが、その可能性を十分認識していれば認識しているほど、車がぶつかって死ぬ可能性も認識していたことになるので殺人罪の故意が認められる可能性が高まる。

すると、車が衝突して死ぬことはないと思っていたが、車が衝突する可能性を恐れて逃げることができないであろうと認識していたという事実が認定できた場合は、監禁だけの故意が認められるということになるのであろう。

というわけで、いまのところ、ネットで見る限りの犯罪の成否は解説したつもりである。
この事案、人によって前提とする事実が異なっている気がするので、人の見解を見る場合は、その点を忖度するのが重要と思う。

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