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「失望の党」悪いことばかりじゃない

トップ画像:©Japan In-depth 編集部 (10月8日 党首討論 日本記者クラブ)

安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト

【まとめ】

・小池氏不出馬で「希望の党」への“風”は止んだ。

・無党派層含め、有権者が冷静に候補者を見定める機会となった。

・今回の選挙は「改憲推進」選挙。

小池都知事は、衆院選出馬を見送った。小池氏の深謀遠慮の解説記事はあまたあれど、真相は本人のみぞ知る。後講釈は意味がない。

そもそも、小池氏が出馬しなかったことで、「希望の党」への期待が急速にしぼむことは容易に想像が出来た。去年7月の都知事選、今年7月の都議選は、「小池旋風」が吹き荒れたからこその大勝だった。

しかし、「風」は気まぐれなものだ。いつも吹き続けるわけではない。風向きが突然変わることはしょっちゅうなのだ。1年以上吹き続けてきたことが、ある意味異常なことだった。

大衆は飽きっぽい。「政治はテレビが作る」と誰かが言った。それは言い過ぎだと思うが、一定の影響力はある。しかし、それは諸刃の剣であって、プラスにもなるがマイナスにもなるのだ。都知事の職を投げ出すことへの批判は当初からあったが、「でも、女性初の宰相を見てみたい気もするわよね。」とか、「小池さんとトランプの2ショット、実現したらちょっと面白くない?」なんて声も確かに巷にあった。

しかし、政権交代を標榜しながら首相候補を明らかにしなかったり、消費税凍結や原発ゼロといったポピュリズム政策をぶち上げたのは、明らかにマイナスに働いた。次第に、「小池さんって何をしたいの?」という声が大きくなっていった。それでも最後までもしかしたら都知事の職を投げうって衆院選に出馬するのでは?との憶測は根強かった。

しかし。ふたを開けてみれば結局不出馬。希望の党公認候補者は梯子を外された。いや、小池総理誕生にちょっぴり期待した有権者も、だ。とにかく、本人が出ると出ないでは大違い。熱狂はもはや、ない。そうなってくると有権者もいきおい冷静になり、一人一人の候補者の資質をよく吟味するようになる。

これはある意味いいことだ。単に風に乗って投票していた無党派層が慎重に投票する機会となるだろう。なにせ今回は野党側が分裂し、複雑だ。民進党の議員は、離党して希望の党から出馬している人もいれば、同党の公認を得ただけの人もいる。無所属で戦う人もいれば、立憲民主党立ち上げ組もいる、といった具合だ。自民党を離党して希望の党から出馬している議員もいたりする。

自分の選挙区の候補者がそもそもどの党に属していたのか、有権者が考えるようになる。当たり前のことだが、去年から吹いていた風を小池氏が自ら止めたことで、本来あるべき姿に戻ったということだ。無党派層に考える機会を与えてくれた。風頼みの落下傘候補には厳しい戦いになろう。

そもそも今回の解散には無理があった。「国難突破」というが、北朝鮮の脅威が高まっている時期の解散総選挙に疑問を抱いた国民はおおかろう。安倍首相の真意は「野党つぶし」だったと筆者は理解しているが、小池氏はそれに加担した。それこそ氏の野望だったのではと勘繰りたくなるくらいだ。民進党のリベラル派をあぶり出し、野党共闘を壊したのだからその功績は後世、大いに評価されるだろう。

つまり最初から「政権交代」の選挙ではなかったということだ。与党圧勝が予測されるなか、今回の選挙は「改憲推進」選挙であったことが明白になった。

一方で、今回の選挙の争点が消費税増税の是非などに矮小化されていることは問題だ。「国難」というなら「安全保障」こそ争点にすべきだろう。また、「教育」の問題も議論を深めなくてはならないのに、「無償化」ばかりクローズアップされ、本質論に切り込めていない。

選挙後、与党は覚悟をもってこれらの問題に取り組まないと、「国難」突破どころか、「国難」を加速することになりかねない。安倍首相は肝に銘じるべきだ。

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