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今こそ立法府の出番 - イレッサ副作用被害賠償請求訴訟をどう捉えるべきか

司法、立法、行政が協働すべきと私が強く感じているのは、主に国家賠償請求訴訟に関してである。

これまでにも行政庁の判断と司法の判断が乖離することがしばしばあった。その乖離をどうやって解消するかの知恵が求められている時に、立法府の果たす役割が大きくなる。

つい先日、東京高裁がイレッサ副作用被害について原告遺族側の製薬会社や国に対する損害賠償請求を認容した原告勝訴の1審判決を取り消した。長年訴訟を遂行したきた原告遺族側にとって原審の勝訴判決の喜びが大きかっただけに、この高裁判決はどうしても受け容れ難いものであろう。

裁判にはずいぶん非情なものがある。すべてのことを白か黒か決めざるを得ないことがある。いわゆるグレーゾーンの存在を許さない。

特に国の行政処分の適法性・違法性の認定を巡る裁判がそうである。
金銭賠償に係る事件であれば和解が可能で、様々な条件を総合勘案してほどほどの解決をすることが出来るのに、どうしても判決ということになるとどこかで、エイやっと線を引かざるを得なくなる。境界線にある様々な事案が救済されたり、切り捨てられたりする。

そんなに大きな違いがあるわけではないのに、現実には線の内側にあると判定されると何千万もの給付を受けられ、ほんのちょっと線の外側にあると判定されるとまったく何の救済も受けられない。いずれにしても大変な被害を蒙っている事実に変わりがないのだからたとえ被害について救済が受けられても天国とは言えないのだが、救済をまったく受けられない人と受けられる人との間ではまさに地獄と天国のような違いがある。

イレッサ副作用被害について何らかの救済措置が必要なことは、関係者は皆承知しているはずだ。イレッサを服用してその副作用で重篤な障害を蒙った人に対して、これはすべて自己責任です、不運でしたね、お気の毒様で済ますことは許されない。

東京高裁判決は既存の法制の下では止むを得ない判断なのかも知れないが、しかしそれでいい、ということにはならない。司法には限界がある。裁判には限界がある。

今こそ立法府の出番である。現職の国会議員が未だこの問題に取り組んでいないように見えるのは、私のアンテナが低すぎるためだろうか。

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