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【読書感想】小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの

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小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの

小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの

Kindle版もあります。

小倉昌男 祈りと経営?ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの?

小倉昌男 祈りと経営?ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの?

内容紹介

ヤマト「宅急便の父」が胸に秘めていた思い

2005年6月に亡くなったヤマト運輸元社長・小倉昌男。

「宅急便」の生みの親であり、ビジネス界不朽のロングセラー『小倉昌男 経営学』の著者として知られる名経営者は、現役引退後、私財46億円を投じて「ヤマト福祉財団」を創設、障害者福祉に晩年を捧げた。しかし、なぜ多額の私財を投じたのか、その理由は何も語られていなかった。取材を進めると、小倉は現役時代から「ある問題」で葛藤を抱え、それが福祉事業に乗り出した背景にあったことがわかってきた――。

著者は丹念な取材で、これまで全く描かれてこなかった伝説の経営者の人物像に迫った。驚きのラストまで、息をつかせない展開。第22回小学館ノンフィクション大賞で、賞の歴史上初めて選考委員全員が満点をつけた大賞受賞作。

 「個人相手の小規模な運送業なんて、商売になるはずがない」

 いまから思うと、そんなことは全くなかったのですが、ヤマト運輸が「宅急便」をはじめたときには、業界人たちはそう言っていたそうです。

 現在は、むしろ「荷物が多すぎる」ことが問題になっていることを思うと、小倉昌男さんは、本当に先見の明がある経営者でした。

 そして、儲かりさえすればいい、というわけではなくて、社会貢献や職場環境の改善にも熱心に取り組んでいました。

 東日本大震災の際、荷物1個あたり10円の義援金を出す、とヤマト運輸が決めたとき、当時の経営陣は「小倉さんが存命なら、きっと賛成してくれたはず」だと仰っていました。

 著者は、小倉さんが退任後、莫大な私財を投じて福祉の世界に入ったことについて、「どこかもやもやするところがあった」と書いています。

 小倉は1993年、自身が所有していたヤマト運輸の株300万株のうち時価24億円の200万株を原資にヤマト福祉財団を設立した。1995年からはその活動を障害者の就労支援に絞り、障害者が働けるパン屋「スワンベーカリー」の立ち上げなど、障害者が月給で10万円はもらえるような仕組みづくりの活動に取り組んだ。そして、2001年には保有していた、時価22億円の残りの100万株も財団にまるごと寄付した。

 小倉はこうした福祉への取り組みについて、自著でこう説明している。

<そもそも、私がなぜ福祉の財団をつくろうと思ったのかというと、実ははっきりした動機はありませんでした。ただ、ハンディキャップのある人たちになんとか手を差し伸べたい、そんな個人的な気持ちからスタートしたのです。>(『福祉を変える経営』)

 ただでさえ就労や生活が厳しく、多くの支援が必要な障害者福祉の世界に寄付をすることは、歓迎こそあれ、問われるべきことではないだろう。

 しかしながら、私財を投じてとなると、話はやや次元が異なる。しかも、財団まで設立し、私財46億円を投じて福祉の世界に入ったというのに、<はっきりした動機>がないというのはいささか奇異に思えた。

 アメリカでは、大成功した実業家が社会に還元するという「寄付の文化」があって、あのビル・ゲイツさんなどは、びっくりするような金額を寄付しています。

 2017年6月に、保有していたマイクロソフト株6400万株(時価5000億円!)を寄付した(寄付した先は明らかにされず)ことが話題になりました。

 だから、小倉さんの46億円くらい、たいした金額じゃない……というわけではなくて、稼ぐ額も寄付する額も、日本とアメリカの実業家では、ケタが違う、ということです。

 「サクセスストーリーを成し遂げたら、寄付するのが当たり前」ではない日本で、小倉さんが46億円も投じながら、「はっきりした動機がない」と公言していたことに、著者は違和感があったのです。

 小倉さん夫妻は、実の娘の真理さんに関しては甘かったというか、頭が上がらなかったことを多くの周囲の人が話しています。

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