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中国紙「沖縄は日本が不法占領」論文を全訳・徹底解読

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冒頭部分で「中華琉球王国はずっと中国朝廷に直属してきた独立王国」とある。ここは歴史上誤りである。『琉球・沖縄史』によれば、14世紀、「察度王のとき、琉球ははじめて明に朝貢し、琉球王国形成への道を歩み始めることになる」とある。逆に言えばそれ以前の琉球(沖縄)は中国に朝貢していなかった。また、日本とは別の独立国であったことは事実だが、朝貢=「直属」とも言い切れない。冊封体制の「属国」ではなく、あくまでも「独立国」ととらえるべきである。

それから原文で尖閣諸島と「琉球との間には深さ3000メートルの琉球海溝がある」と書かれているが、琉球海溝は沖縄の南東沿いであり、最深部は7507メートル。ここで言われているのは深さ2200メートルの沖縄トラフ(中国語で「沖繩海槽」)のことだろう。ウィキペディアによると「琉球列島と尖閣諸島は、沖縄トラフを隔てた両側に位置しており、年々その距離は遠ざかっている」と書かれている。

琉球史の改竄


琉球王国と大陸朝廷の関係がその他の従属国と違うところは、その国民の大部分が福建・浙江・台湾沿海の住民で、祖国大陸と血がつながっているだけでなく、言葉・文字もすべて中国語で、法律・制度も大陸朝廷と完全一致している。さらに自分たちが大陸朝廷の一部であることを忘れることなく、ずっと政治上も完全に朝廷に依拠してきた。一地方で強大となって勢力を占めるようになってからも、やはり朝廷に対して封じられて立国することを望んだ。歴史の記録によると、王国の住民の大部分は歴史上途切れることなく琉球諸島に渡海した大陸同胞だが、それ以外に、さらに隋唐時代の朝廷の役人が派遣されたこともある。隋唐時代に琉球は大陸の海外貿易の重要な窓口となっており、その建設と発展を支援するため、隋朝の政府は琉球当局の求めに応じて、現在の我々が経済開発区を建設するような漢字で琉球を建て、国家建設の重点として組み入れた。政策と資金における大きな支援以外に、特に?南(福建省南部)で専門技術職人を招集し、琉球に派遣して建設に関わらせた。最大の場合は一回に2000人余りを派遣し、?南三十六姓が次々と向かった。後から琉球に来た住民は?南の三十六姓を誇りとした。役人としての能力を有していたからだ。


第二段落冒頭部分は完全にデタラメである。琉球人(沖縄人)はDNA的にも非常に日本人(ヤマトンチュー)との共通性が大きい。「沖縄の先史文化は、本土の縄文文化の影響を受けて始まったと思われ、地理的・地域的特性を強めながら独自の文化を形成していった」が、その後弥生文化は伝わらず、別の文化圏として発展していったのである(なお、縄文時代に「日本列島」に住んでいた人たちを一般に「縄文人」と呼ぶが、DNA的にも地域差が激しく、文化的共通性はあっても彼らを一括りに同じ民族と見ることはできない。「アイヌと沖縄はどちらも縄文人の末裔」と考えるのは誤りである)。

もっとも、宮古・八重山は台湾(原住民)やフィリピンとのつながりが大きい。それでも中国大陸との血縁関係ということはできない。

隋・唐時代に朝廷の役人が派遣されたとか、隋唐時代に沖縄が中国中央政府によって成長したというような話は、史実とは言えまい。むしろ遣唐使の時代には、中国から奈良にやってきた鑑真が「阿児奈波(あこなわ)」島に漂着したというような話があるように、日中間の南島路の一つであったとはいえる。

しかし、「国民の大部分が福建・浙江・台湾沿海の住民」というのは、かなり台湾と混同しているのではないか。そういう人たちもいたことは確かだが、「国民の大部分が」というような事実は存在しない。これは歴史の改竄に当たる。ましてや「言葉・文字もすべて中国語」ということだが、琉球語はきわめて日本語に近い。文字は日本だって漢字を元にしているが、言葉において日本と沖縄は明白に同系といえる(『おもろさうし』もひらがなが使われている)。

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