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米韓FTAとわが国のTPP議論

 米韓FTAがアメリカの議会で承認されました。実際に発効すればわが国の産業は、今の円高(ウォンとの比較で)、税制に加えて関税という新たなハンデを韓国の競合企業に対して負うことになります。

 今行われているTPPの議論、日本の政治は未だに明確な方向性を見出すことが出来ていません。

 しかし、鎖国に戻って永久に自給自足の貧しい暮らしをする覚悟であるなら別ですが、今のグローバル経済の中でわが国が勝ち残っていくためには、いずれ米国との自由貿易協定も含めた貿易自由化を進めていかざるを得ないことを「現実」として我々はそろそろ認識せねばなりません。

 そしてそうであるならば、よりわが国の力・立場が強いうちに、そして、ルールのたたき台が決まる前に交渉を始め結論を得ることがわが国の国益という観点からは最善の策のはずです。将来的に追い込まれて買い手市場になってから交渉してもいたずらに足元を見られてわが国の国益をいたずらに損なう不利な条件を押し付けられるだけです。

 また、TPPよりも二国間FTAの方がいいという議論も事実認識が誤っているといわざるを得ない。これまでの事例で見ても、多国間のマルチの交渉の方が、アメリカとの二国間のギリギリとした交渉よりも関税自由化の除外項目の交渉においても有利な結果となることは明白です。二国間であれば99%近い自由化を求められるケースが多い一方で多国間であれば各国の利害もあり、また一体となって中国と向き合うという性質からも、96−97%程度の自由化で済む可能性も高いわけです。ましてや、わが国が安全保障上の死活的な同盟国であるアメリカと貿易の問題でガンガンやりあうことは現実的にもなかなか厳しいという点も忘れるわけにはいきません。

 そもそもの自由化に反対かどうかという感情的な神学論争をそろそろ終え、自由化せねばならないという現実を直視して、その中でどのくらいわが国として守るべきものを守れるかという、現実的な国益の議論を始めなければ、わが国だけが再び国際社会で「お人よし」として損をするということにもなりかねません。

 国益を最大限まもる、また農業分野等の痛みを最小限にするためにも、一刻も早いTPP交渉への参加をわが国の政治は決断すべきなのではないでしょうか。

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