記事

「給付型奨学金」が実現――奨学金拡充の歩みをリードした公明党の戦い

2/2

佐々木 今では政治と福祉は切り離せないものですが、それも公明党が粘り強く訴えてきた歴史があったからこそなのですね。

富田 その通りです。自民党と連立を組むようになり、18年ほどが経ちましたが、現場の声を大事にする公明党の精神にようやく自民党が追いついてきた、という感じでしょうか。  そのことが安倍首相の言動にも顕著です。たとえば従来なら、教育再生実行会議の場に首相が出席しても、冒頭の挨拶だけで退席することがほとんどでした。しかし、今の安倍首相は委員の話をしっかりと聞き、自分の感想を述べてから席を立ちます。それだけ安倍首相も公明党との付き合いの中で、意識が変わってきたのだと思います。

「希望するすべての学生」を支援する制度へ

佐々木 1999年当時の議論で、いちばん大きく変わったところは何だったのでしょうか。

富田 99年2月の自民・公明両党の幹事長会談での「確認書」で、「両親等の教育費負担を軽減するとともに、勉学に熱意のある本人の希望に応え、新しい奨学金制度を創設する」との一文が書かれました。  この一文こそ、日本の奨学金制度が、学ぶことを希望する学生すべてに貸与する制度へと転換する歴史的な一歩でした。  具体的には、公明党が提言した「新教育奨学金」をもとに、99年度から始まった第2種奨学金(きぼう21プラン、有利子)で、有利子奨学金の成績要件が事実上撤廃されたことです。これによって希望者のほぼ全員が奨学金を受けられるようになりました。

佐々木 2017年度からは、公明党の主張により、無利子奨学金の成績要件も実質的に撤廃されることになりました。これも当時のその転換点からつながっているのですね。

富田 そう思います。

佐々木 奨学金の拡充が進んできた一方で、若い世代の人の話を聞いてみると、奨学金の返済に苦しむ若者も増えていますね。

富田 これまで奨学金の拡充に取り組んできた中で反省している部分がまさにその問題です。返済のことをあまり考慮しないまま多くの額を受給してしまい、返済に苦しむ学生がいます。司法修習生の中には1300万円も返済しなければいけないという方もいました。

佐々木 それだけの額を返済しようと考えると、結婚や出産を躊躇する人も出てきますので、返済の部分をセットにして考えていくことが大切ですね。

富田 そうだと思います。日本人は真面目な性格なので、借りたものはしっかり返す人がほとんどです。実際のところ、3ヵ月以上延滞している人の割合は全体のごく一部しかいません。だからこそ、少しでも返しやすくなる制度が必要です。公明党が主張した新たな所得連動返還型奨学金は、まさに無理なく返済していける制度として整備されたものです。ただ、既卒者は対象ではないので、今後、検討していく必要があります。  また、減額返還制度や返還期限猶予制度についてもまだまだ知らない人が多くいますので、今後は相談窓口についてもしっかりと整備していきたいと思います。

財源を示してこそ実現できる

佐々木 公明党は大学だけでなく高校進学時の経済的負担の軽減も訴えてきました。都議会公明党が主張してきた東京都私立高校の平均授業料分の実質無償化もまさにこれにあたります。このたび東京都は、2017年度から世帯年収約760万円未満の世帯を対象に、国の就学支援金に加え、都独自の授業料軽減助成金を増額し、私立高校の平均授業料分を実質無償化する方針を決定しました。
画像を見る

富田 私立高校授業料の実質無償化については、財源のある東京都が先行して実施することで、そこから全国へと広がっていく突破口になるものと思いますので期待しています。  安心して進学できる大事な制度ですので、今後の制度設計にあたっては、十分に問題点などを考慮しながら検討していただきたいと思います。

佐々木 この東京都の方針決定についても、その実現の舞台裏は公明党を抜きに語ることはできません。そのことは一般紙の報道を見てもわかります。  報道によれば、「『公明党と話が整った。一致できてよかった』と強調した」(「日経新聞」)「『公明党さんとも〈これでいこう〉と話が整った』と舞台裏を明かした」(「東京新聞」)と小池百合子都知事が公明党の名前を出しているように、都議会公明党の強い要望により実現したことは明らかです。  しかし、共産党はあろうことか、あたかも自分たちの実績であるかのように、機関紙等で報じています。

富田 ある奨学金のシンポジウムの場で、共産党議員は70万人に3万円を支給すると言っていました。その根拠を聞いたところ、およそ140万人が奨学金を受けているから、その半分の人に3万円を支給すると言うのです。こんな大ざっぱな話はありません。その上、その財源はどうするのかと聞けば、「防衛費を削ればいい」などと言い出します。全く根拠が不明確で、めちゃくちゃです。  そもそも政策を実現していくには、財源を提示することが欠かせません。財源がないものは絵に描いた餅でしかなく、予算がついてこない政策などありえないのです。にもかかわらず、共産党は反対ばかりで予算にも反対しているわけですから、「しんぶん赤旗」の報道にあった「質問したから実現した」などというのは全くの論外です。この構図は国政も都政も同じです。

佐々木 共産党による実績横取りは、選挙を控えた時ほど目立ってきます。しかし、給付型奨学金・東京都の私立高校授業料実質無償化の実現を公明党が果たしてきた事実は明らかです。首都東京の命運を決する重要な都議会議員選挙を目前に、しっかりとそのことを訴えていきたいと思います。

富田 実は、麻生政権の時、高校の給付型奨学金をつくろうとした経緯があり、その時は455億円の概算要求を出しました。しかし、すぐに政権交代があったため中断してしまいました。その後の民主党政権でも123億円の概算要求がなされましたが、結局実現しませんでした。もしあの時に民主党が本気になって取り組んでいれば、高校の給付型奨学金はとっくに実現され、大学についてももっと早く実現していたわけです。その意味では民主党にも責任はあります。  そのように考えると、都政も国政もやはり公明党がしっかりと中心になって取り組んでいかなければ、制度は前に進んでいかないことは明白です。さらなる給付型奨学金の拡充に向けて、今後もしっかりと取り組んでいきます。

佐々木 私たち公明党青年委員会としても、公明党ならではの現場感覚を忘れることなく、「若者の味方」としてより一層全力で取り組んでまいります。

<月刊誌『第三文明』2017年4月号より転載>

とみた・しげゆき●1953年生まれ。千葉県銚子市出身。一橋大学法学部卒。弁護士。衆議院議員(当選7回)。公明党幹事長代理・中央幹事、公明党千葉県本部代表、公明党教育改革推進本部本部長、公明党給付型奨学金推進PT座長、文部科学部会部会長。財務副大臣、法務副大臣、衆議院経済産業委員長等を歴任。

ささき・さやか●1981年生まれ。青森県八戸市出身。創価大学法学部卒、同法科大学院修了。弁護士。2013年7月、神奈川選挙区より参院議員に初当選。公明党学生局長・青年委員会副委員長、同女性委員会副委員長。憲法調査会事務局次長、法務部会長代理、東海道方面副本部長。

あわせて読みたい

「公明党」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。