- 2017年10月03日 10:42
男子生徒の自殺で都初のいじめ調査が実施 「認定は困難」の結果に遺族は再調査を求める
1/22015年9月、東京都立小山台高校一年の男子生徒(当時16)が自殺した。この問題で、東京都教育委員会のいじめ問題対策委員会は9月26日、調査結果を公表した。
調査は約1年8ヶ月、時間にして214時間にも及ぶ調査だったが、「収集できた資料の範囲内で判断する限りにおいて、いじめがあったと判断することは極めて困難」と、いじめを認めなかった。また、自殺の背景には触れなかった。遺族は報告書の内容に不服として、小池百合子都知事に再調査を求めている。
本人が「心身の苦痛を感じていたか」も判断ができない
報告書などによると、2015年9月27日午後4時30分ごろ、都立小山台高校一年生の男子生徒がJR中央線の大月駅で列車に飛び込んで死亡した。その後の学校の調査ではいじめについては認められなかったが、遺族が生徒のスマートフォンのデータを復元したことで、いじめがあったのではないかとの疑念を持ったことから、16年1月、都教委ではいじめ問題対策委員会を開催し、調査部会の部員を指名した。
いじめの有無の判断については、いじめ防止対策基本法による定義がある。法では『児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人間関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む)であって、当該行為の対象になった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの』としている。しかし、調査部会では前提として、「形式的に法による『いじめ』の定義に当てはめると広がってしまうことから、加害者側とされる生徒の事情も考慮すべき」とした。
同時に、「亡くなった生徒本人へいじめがあったことを直接示すような本人のメモ・遺書等はない」。「個々の出来事では、法がいう『心理的物理的影響を与える行為』があったが、それらの行為によって本人が『心身の苦痛を感じていたか』も判断ができない」ともしている。

連呼行為は一種の言葉遊び。「心身の苦痛」を感じていたとは認められない
報告書では、亡くなった男子生徒に関する18の事実関係のうち、「4月~5月中旬の出来事」、「合唱コンクール(6月12日)」、「机をバーンと叩いた件」、「水泳大会」、「部活動全体の無料通信アプリ・LINE上で名前を連呼する行為」の5つについて、いじめの有無の検討を行った。ちなみに、遺族側が指摘していたいじめは15件だったが、5件に絞った明確な理由は記載がない。
それぞれの出来事について調査では、下記のように論じている。
「4月〜5月中旬の出来事」においては、、4月14日のアンケートで、「いじめられている気がする?」との問いに、「全くない」と回答していると指摘。5月1日の学習リサーチアンケートには「家庭や保護者のことについて」で、この時期、いじめを受けて悩んでいたとは見受けられない。
「合唱コンクール」では、クラスの代表の生徒から、練習時に歌い方について注意を受けていた。亡くなった生徒が親しい女子生徒に合唱コンクールの打ち上げに行きたくないと話していたり、ツイッターでは、不快な思いをしていたことがわかる。しかし、亡くなった生徒だけが目立って注意されたわけではない、としている。
また、母親は、亡くなった生徒が「ダメだ」「下手だ」と言われていた点を指摘していたが、「調査が進んだ3ヶ月後に初めて突然主張した」として、母親の主張の信用に対する疑問も残ると判断。そのため、言われたこと自体、「事実があったこと自体確かめられない」としていた。
「机をバーンと叩いた件」については、「日時は明らかではないが、母親が主張するような出来事があったと話す生徒が複数存在した」と認めているが、「その背景にいじめが存在するという事実は確認できない」としている。
ただし、聞き取り調査の中で、周囲が驚き、怖いと思った生徒がいたこと、真似をしたり少しからかう感じのものがいたという事実が確認できた。ただ、「真似をした者がいる」と証言したのは生徒一人で、真似されているのを「見ていなかったと思う」と回答したことや、「ツイッターではこの件はつぶやかれていない」「さらには多くの生徒は覚えてない」といったことを総合的に判断すると、この件で「心身的な苦痛を感じていたとは認定できない」とした。
「水泳大会」に関しては、生徒への聞き取り調査が終わった後に、母親から初めて、クラスメートから「痩せている」「ガリガリだ」「胸がへこんでいる」「水泳がへただな、遅いな」「「クラスの足をひっぱるな」などと言われていたと主張がなされた。しかし、このような事実を見聞きした生徒は一人もいなかった。主張のもとになった母親の手帳にも一切、記載がない。そのため、「いじめの事実は認定できない」とした。
「部活動の全体のグループLINEで、亡くなった生徒の姓に近い言葉が連呼されたこと」については、この言葉は、ハンドルネームであり、部活内での呼び名でもあったことから、亡くなった生徒を指すものだとした。この点について、法が定める「いじめ」の定義に該当するとも考えられる。しかし、攻撃的、否定的なメッセージを読み取ることができないし、連呼行為があったのは1日だけ。一種の言葉遊びで、「これによって亡くなった生徒が『心身の苦痛』を感じていたとは認められない」とした。



