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「小池新党」を叩く新聞に希望はあるのか

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小池百合子都知事が一気に勝負に出た。9月25日、新党「希望の党」の結成を発表。27日には代表として結党会見を開いた。果たして国政政党の党首と都知事を兼務するという小池氏の戦略は成功するのだろうか。ジャーナリストの沙鴎一歩氏が新聞社説の論調を読み解きながら、その戦略を分析する――。

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9月27日、結党記者会見で気勢を上げる新党「希望の党」代表の小池百合子都知事(前列中央)、若狭勝衆院議員(同右から2人目)、細野豪志元環境相(同左端)ら(写真=AFLO)

■衆院解散表明にぶつけた電光石火の宣言

小池百合子都知事が一気に勝負に出た。9月25日、都庁で記者会見を開き、新党「希望の党」を結成するとともに自ら代表に就任することを発表した。安倍晋三首相の衆院解散表明にぶつけた電光石火の宣言だった。

民進党に見切りをつけた議員たちも、次々と小池新党に合流している。これで10月10日公示、22日投開票の衆院選挙が、一挙におもしろくなってきた。

果たして国政政党の党首と都知事を兼務するという小池氏の戦略は成功するのだろうか。自民党を敗北させた7月の都議選のように圧勝できるのか。新聞各紙の社説を読み解きながら「勝負師、小池百合子」の行方を考えてみたい。

■「選挙の構図が一変した」

小池氏が新党結成を公表した翌9月26日付の全国紙の社説はどれも「安倍首相の解散表明」がテーマだった。しかも全紙とも大きな1本社説だった。

その翌日27日付の全国紙の社説で小池新党を取り上げたのは毎日新聞と産経新聞、それに読売新聞。この3紙のうち、最も読み応えがあったのは毎日の社説だった。

その毎日社説の見出しは「日本の岐路「希望の党」の登場」「小池流の鮮やかさと不安」である。冒頭、「選挙の構図が一変した」と書き出し、こう分析する。

「小池氏は若狭勝衆院議員や細野豪志元環境相らに国政は任せるように見せかけ、安倍晋三首相が衆院解散を決断するやいなや一転、自身がトップに立っての結党に踏み切った」

毎日社説は「見せかけ……」とまで書いている。そこから判断すると、毎日の政治社説を担当する論説委員は「小池氏は初めからトップに立つ気でいた」とみていたのだろう。

この沙鴎一歩もそうである。これまで小池氏は「都知事の仕事に専念する」と言い続けてきた。しかしそれは方便だった。小池氏に取材した経験から「彼女の本音は日本初の女性首相にある」とも沙鴎一歩は考えてきた。

さらに毎日社説はこうも分析する。

「首相が解散を表明したのと同じ日に緊急記者会見をぶつけ、現職知事が新党の代表に就くサプライズを演出してみせた。鮮やかな『劇場型』のメディア戦術だった」

「劇場型のメディア戦術」とはあの「小泉劇場」を思い出す。小池新党を強く支持する小泉純一郎元首相が入れ知恵しているのかもしれない。

■「小池氏の勝負勘と度胸のなせるわざ」

この後、毎日社説は「小池氏の勝負勘と度胸のなせるわざだろう。それが衆院選への関心を高め、有権者に新たな選択肢の登場を印象づけたのは間違いない」と小池氏を評価する。

「勝負勘」と「度胸」。小池氏を褒める最高の言葉である。しかも「衆院選への関心」「新たな選択肢の登場」に結び付くとまで書いている。よほど今回の小池氏のやり方が気に入ったのだろう。

続けて「7月の東京都議選では、民進党が政権批判の受け皿になれず、小池氏の率いた地域政党『都民ファーストの会』が大勝した。衆院選でも、政権に不満だが行き場のなかった無党派層をひき付ける可能性がある」と小池新党勝利の可能性の高さまで予測する。

■ただし「政策・理念は抽象的でわかりづらい」

毎日社説に説得力があるのは、ここから先の後半部分で小池新党の問題点を明確に突いているからだ。

「容認できないのは新党の政策・理念が不鮮明なことだ」と指摘し、「小池氏が示した政策の柱は『希望の政治』『希望の社会』『希望の経済』など抽象的だ。新党の理念に掲げた『改革保守』もわかりづらい」とまで書く。

さらに「具体策として挙げた『議員定数・議員報酬の縮減』は、過去にも多くの政党が『身を切る改革』として声高に叫んできた。財政再建や社会保障との関係を語らずに『消費増税凍結』を主張することと併せ、ポピュリズムのにおいがつきまとう」と批判する。

おもしろいのは次のくだりだ。

「選挙後の新党は野党なのか、与党入りを狙うのか。小池氏は新党の議員が首相指名で公明党の山口那津男代表に投票する可能性に言及した。都議会与党の公明党に配慮した発言のようだが、都政の都合で軽々に論じることではなかろう」

「都政の都合で軽々に論じることではなかろう」との批判は少々余計だが、選挙の勝敗を左右するのは昔から「公明票」、つまり固い支持基盤をもつ「創価学会票」なのである。小池氏も学会票を無視できないのだろう。

■産経は「民主的な党運営とは無縁のスタート」と批判

産経社説(9月27日付)は小池氏と新党の「希望の党」を激しく攻撃する。

「自分を当てにした新党の動きに、もどかしさを感じたのだろうか」と小池氏の心中を覗き込み、「驚いたのは、参加予定者である若狭勝衆院議員や細野豪志元環境相らが取り組んでいた綱領、政策などの作成作業をリセットし、希望の党の政策として自ら諸課題を並べたことだ」と書く。

そのうえで「政見を同じくする仲間を募り、理念や政策を積み上げる作業は一切、省略だ。民主的な党運営とは無縁のスタートといえる」とまで批判する。

「党の運営」まで一方的に批判する産経の論説委員は、どこまで小池氏にきちんと取材しているのだろうか。

さらに「政権の受け皿を狙う新党を率いる指導力を、際立たせてはいる。だが、結局は政策の中身より自らの人気や求心力で勝負する姿勢がはっきりしたのではないか」と書く。

産経社説が指摘するように新党だけにその政策の中身は重要である。ただ選挙戦を党首の人気や求心力で勝負してはいけない決まりなどどこにもないはずである。

■「議員生き残りの『希望か』」と皮肉たっぷり

次のくだりもかなり攻撃的に感じられる。

「小池氏は『この選挙さえしのげればいい』という候補者を選別して排除する必要性を語ってはいる。だが、短期決戦でどれだけ理念や政策を共有できるだろう」

小池氏は短期戦だけを念頭に置いているわけではない。前述したように彼女の頭の中には「日本初の女性首相」がある。今回の衆院選はその目標を達成するための大きな一歩なのだ。産経社説はそこをどう理解しているのだろうか。

次の「新党作りに動いていた若狭、細野両氏の動きに鈍さはあったろう。それでも頭ごなしの結党を目の当たりにし、黙って参加する。それこそが、当選さえすればいい人たちの『希望』をかなえる党の姿を暗示していないか」も、新聞の社説としては少々下品な筆運びで驚愕させられる。見出しも皮肉を込めた「議員生き残りの『希望か』」で、これにも驚かされる。

ただ最後の「知事の座にとどまったまま国政政党の党首になるという。二足のわらじは、維新の会の松井一郎大阪府知事もそうだが、国会に議席を持たない制約は少なくないだろう」「東京五輪や豊洲問題など課題山積の都政との両立は容易でない。どうこなすつもりだろうか」は理解できないでもない。逆にこの辺りが小池氏の力の見せどころになる気がする。

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