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- 2017年09月29日 14:06
林先生が『初耳学』で語った「英語ができたってダメな人」論。就転職のエキスパートはどう見る? - 若松千枝加
2/2■4社に1社は海外に進出
とはいえ、英語力がいらないのかというとそういうわけではない。「帝国データバンクの統計によると、中小企業でさえ25%は、つまり4社に1社は海外進出している時代。今は英語を使うシーンがなくても、いつその必要性(海外進出や外資系企業の買収、合併など)が出てくるか分からない時代であり、英語力があるに越したことはありません。」(本橋氏)
「英語力を活かした求人案件は事実増えています。そのため、英語力を身につけることはやはりこれからの時代はITスキル同様、大きな武器にはなります。日本企業のグローバル展開は加速しており、それに伴う海外勤務可能な人材確保のニーズは増えています。」(樫村氏)
ここで振り返っておかなければならないのは、英語を「どの」レベルで使えるのか、といった問題だろう。林氏が上記の企業例を出したのは、ことさら幼児のうちから英語学習をさせる必要がない、アプリを使いこなす能力があれば3か月で英語を習得できる、とする主張を後押しするためであったが、実際には3か月で習得できる英語レベルの習熟度がどこを指しているのかは不明だ。英語学習3か月のスタート時点が初級者なのか中上級者なのかによっても大きく異なる。
もちろん、大人になってからの語学習得は全く無駄ではない。○年○月○日までにTOEIC(r)○○○点を取らなければいけない、海外取引先でプレゼンしなければならない、などの事情が絡めば、もはや好き嫌いに関わらず語学習得は仕事上のミッションである。限られた条件(時間、費用)のなかで自身の性質に合わせた学習戦略をたて、かつ確実に遂行しなければ目標を達成できない。語学習得過程そのものが仕事スキル向上に役立つ可能性がある。
また、筆者が会ってきた多くの留学経験者の多くは、慣れない環境や語学力のハンデといった課題に立ち向かうには、論理的思考や問題解決能力なしには成し得なかったと話す。
しかし、スポーツと同じように、語学習得にも向き・不向きがあることもまた確かだ。不向きの人にとっては、大人になってから苦労するよりも、幼少期に自然に身につけられる環境があったなら、とも思うだろう。ネットの投稿欄にも「早いうちに英語に触れさせてほしかった」「各家庭によって考え方が違う」「幼少期から英語を使っている人とではスピードも応用力も全然違う」などの書き込みもあった。
林氏も、英語学習自体が無意味だと言いたかったわけではないだろう。大事なことは英語力の先にある。
さらに言えば、英語力自体にも天井がない。実際、仕事を通じて現場での英語力が向上する人もいるし、よりスムーズで高レベルの業務水準を目指して自発的にスクールに通ったり、休暇を使って自費留学するバイリンガル人材も多数いる。
小中学校の英語教育改訂が2020年に迫る今、この話題をきっかけに議論をしてみてはいかがだろうか。
《参考記事》
■海外で学んだ。帰国した。仕事はありますか?(若松千枝加 留学ジャーナリスト)(若松千枝加 留学ジャーナリスト)
http://sharescafe.net/38946405-20140521.html
■海外のエリート大学は日本人留学生に何を求めているのか?(若松千枝加 留学ジャーナリスト)
http://sharescafe.net/49667506-20160930.html
■テロ時代の今、9月11日に改めて考えたい留学中の対応(若松千枝加 留学ジャーナリスト)
http://sharescafe.net/51977784-20170830.html
■東京で五輪があるというだけで英語教育はどこまで盛り上がるのか?(若松千枝加 留学ジャーナリスト)
http://www.ryugakupress.com/2017/04/25/tokyo2020/
■アクティブラーニングは中高英語教育をどう変える?(若松千枝加 留学ジャーナリスト)
http://www.ryugakupress.com/2016/10/11/activelearning/
若松千枝加 留学ジャーナリスト
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