- 2017年09月27日 09:19
【読書感想】強欲の銀行カードローン
2/2
銀行自身は「消費者金融よりも、顧客の返済能力を評価する能力が高い」と言っており、借りる側の「利便性」を主張して、総量規制の対象外であることを正当化しています。
とはいえ、実際は審査の大部分をやっているのは、これまでの消費者金融ですし、ノウハウの蓄積を考えても、本当に「銀行のほうが調査能力が高い」のかは疑問です。
「銀行から借りる」というと、「サラ金から借りる」よりは、ずっと健全なイメージがあったのですが、実際は看板を付け替えただけ、みたいな状況になっているわけです。
しかも、看板を替えたおかげで、「年収の3分の1」という枠にも縛られなくなった。
著者は、カードローンを推し進める銀行側に問うのです。
ちょっと生活費が足りなくなった、出かけたいけれど、手持ちがない、というときや、冠婚葬祭や医療費など、予定外の出費に、それを乗り切ることができる(そんなに多額ではない)お金を貸してくれるような存在は必要だろう。でも、年収の3分の1以上もの多額のお金を簡単に借りられることに、リスク以上の「利便性」があるのか?と。
これに対する、銀行側の回答は、かなり苦しいものばかりです。
まあ、そりゃそうですよね。
銀行としては、いまや命綱ともいえる存在のカードローンに制約を加えてほしくはない。
その一方で、個々の銀行員たちは、カードローンのノルマを課せられて、きつい思いをしていることも少なくありません。
金融業をやっていれば、借金のリスクは熟知しているはずなのに、それでも、成績を上げるために、積極的にカードローン加入や利用をすすめなくてはならないのだから。
生活困窮者には、生活保護や公的支援という道もあるのだけれど、どうしてもハードルが高くなりがちで、担当者に根掘り葉掘り聞かれるわけでもなく、金利が高くても「ご利用ありがとうございます」と接してくれるカードローンに向かいがちです。
今の日本では、公的支援が必要な人全員を支援していたら、予算も人員も全く足りないんですよね。
ちなみに、カードローン問題については、こんな話もあるようです。
新聞各紙がこぞってカードローンで特集を組み始めたのとは対照的に、民放テレビのニュースは総じて沈黙を貫いている。NHKに加え、テレビ東京が民放局でひとり気を吐いて自己破産の現場を取り上げたものの、残る4社の民放局はほぼスルー。これはCMを通じて高金利・高収益なカードローンの恩恵にあやかっていたことと無縁ではない。この間にある民放局で準備されていたカードローンの特集が、営業部門の介入によって立ち消えになったという事例も私は聞いている。
ムチを使わなくても「飴をあげないよ」と、ちらつかせることによって、メディアをコントロールすることもできるのです。
広告主が、「CMを出しているテレビ局に批判的な報道をされてはたまらない」と思うのは(正しいかどうかはさておき)理解できます。
2006年の「貸金業法」改正により、自己破産者や借金による自殺者がかなり減ったのは事実です。
ところが、いろんな苦い経験を経て、ようやく規制された網の目を、今度は銀行がくぐって稼いでいるのです。
銀行も、生き残るためには、なりふり構ってはいられない状況にあるとはいえ、こちらもそれに引っかかってあげる理由はありません。
年収の3分の1が妥当かどうかはさておき(僕は3分の1でも多すぎるような気がするのですが)、銀行カードローンにも総量規制が必要だと思います。
これを読んで感じるのは、現在、2017年というのは「お金を稼ぐためなら、プライドもモラルも捨てる」というのが、当たり前の時代になっているのだな、ということでした。
銀行なんて、もともとそんな立派なものじゃないよ、と言われれば、たぶん、その通りなんでしょうけど。

- 作者: 木暮太一
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2013/06/21
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (2件) を見る

- 作者: 堀江貴文
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2017/07/28
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る



