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トヨタはマツダのロータリーを発電に使う

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(モータージャーナリスト 清水 和夫、Gemba Lab代表、フリー記者、元朝日新聞編集委員 安井 孝之 写真=AFLO)

(EV)に注目が集まるなかで、今年8月トヨタ自動車とマツダの資本提携が決まった。EVの開発で遅れるマツダを、なぜトヨタは助けたのか。現行EVの最大の弱点は航続距離だ。モータージャーナリストの清水和夫氏は「トヨタはマツダの『ロータリーエンジン』を、EVの航続距離を伸ばす発電機として使うつもりではないか」とみる。清水氏と元朝日新聞編集委員の安井孝之氏の「EV対談」。第5回をお届けします(全5回)。

■原発を増やさなければ自給は不可能

【安井】電気自動車(EV)が注目されるなかで、トヨタ自動車とマツダの資本提携が決まりました。ハイブリッド車やEVなどの開発で遅れているマツダをトヨタが助けるのだろうという見方がありますが、本当でしょうか。トヨタにも狙いがあるのではないでしょうか。

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8月4日、資本・業務提携の共同記者会見の最後に握手するトヨタ自動車の豊田章男社長(左)とマツダの小飼雅道社長。(写真=AFLO)

【清水】マツダとの提携は米国でマツダと新工場をつくり、米国の雇用への貢献や米国への投資を求めるトランプ大統領に配慮したという面があるとは思います。もう1つの真の狙いは、マツダが持っているロータリーエンジンを使うと面白いレンジエクステンダー(補助的な発電のために小さなエンジンを使う仕組み)のEVとか、シリーズハイブリッド(モーターを回す電気を大きなエンジンで発電する車)とか、面白いクルマが作れるんじゃないかというところに提携の意味があるのだと思う。

【安井】クルマの様々な電動化の形を探る際に、ロータリーエンジンを使うメリットがあるということですか。

【清水】そうです。これは外野からの期待値でもありますが、トヨタにとってはマツダの価値をどう活かせるかがポイントでしょう。また、マツダから見ると買収されないようにする防衛策かもしれません。

■トヨタになくてマツダにあるもの

【安井】それは今後クルマが電動化していっても、マツダの既存のエンジンの力というのを活用できるということですね。

【清水】エンジン開発はもちろん両社の競争領域だと思います。トヨタもエンジンに関してはプライドがあるメーカーです。マツダのスカイアクティブがほしくて提携したなんて言うと、トヨタのエンジン屋はヘソを曲げますからね。トヨタになくてマツダにあるものは何かと言うと、ずばりロータリーエンジンです。実は、アウディがマツダのロータリーエンジンを使おうとしていたんです。アウディはBMWのi3みたいに小さな発電用のエンジンを載せたレンジエクステンダーをつくろうとした。そのためのエンジンとしてロータリーを使いたかったのです。

■EVの欠点を「発電用エンジン」でクリアする

【安井】なぜですか。

【清水】BMWのi3は発電用にどういうエンジンを使っているかと言うと、自社のエンジンではないのです。要するに発電用に使うエンジンは安くなきゃいけない。でもBMWのエンジンを使ったら高くなっちゃう。それでスウェーデンのハスクバーナーというオートバイメーカーを買収し、そのエンジンを使ってi3のレンジエクステンダーにしているんです。EVとして走っている時に、電池が切れそうなのに充電ポイントがないような事態になっても、このエンジンで発電すれば航続距離が長くなるという仕組みです。入っている燃料は10リッターとか、12リッターなのでエンジンは小さいほどいい。その仕組みに一番ふさわしいのはロータリーエンジンで、とても小さくて振動があまりないのがいいのです。

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モータージャーナリストの清水和夫氏

【安井】今のEVの欠点を小さな発電用のエンジンを載せてクリアしようとする考え方ですね。

【清水】バッテリーEVはやはり実用面では限界がある。航続距離や充電時間の問題とかがある。BMWのi3を見ると、売れているのは発電用のエンジンがオプションで載っているレンジエクステンダー型のバッテリーEVなんです。

【安井】モーターと電池だけのEVが市場を席巻するとは限らないと見ているのですか。

【清水】今のクルマは1グラム当たり1円という価格で、1つの燃料タンクで1000キロ近く走っている。この価値を超えるか、ほぼ同等の価値を持つ乗り物を作らない限り、限定的なEVと言われてしまうでしょう。EVが本当に普及するには利用者の使い勝手も良くしなければいけない。その現実的な解決策がレンジエクステンダー型のEVだと思います。

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