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非常識な麻生氏武装難民射殺発言

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トップ画像:麻生太郎衆議院議員 2009年1月31日 flickr : World Economic Forum

文谷数重(軍事専門誌ライター)

【まとめ】

・麻生太郎副総理兼財務相が北朝鮮有事に関し「武装難民射殺するのか」発言で波紋広がる。

・実際は、武装難民に対し日本政府各機関は警職法(警察官職務執行法)の範囲で武器使用が可能。

ROERules of Engagement:交戦規定)を定めることで混乱なく実施できる仕組みがある。

(この記事には複数の写真が含まれています。サイトによって表示されない場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=36307で記事をお読みください) 

麻生太郎副総理の「射殺」発言が問題となっている。朝日新聞によれば、麻生副総理は9月23日、宇都宮市の講演で、北朝鮮事変の際に日本に脱出した難民について「『武装難民かもしれない。警察で対応するのか。自衛隊、防衛出動か。射殺ですか。真剣に考えなければならない』と語った。」といったものだ。

意外なことに支持する意見も見られる。その中身は「現実に難民が武器を所持していた場合、どうするか?」といった問題意識を反映したものである。そのケーススタディーを考えるべきだとの内容である。根底には、難民がその武器を使用した場合、平和国家である日本はなにもできないといった発想がある。

だが、実際に日本は何もできないのだろうか?

そのようなことはない。仮に武器を使用したとしても現行法の体系で充分対処できるからだ。仮に難民が武器を指向、使用したとしても日本政府の各機関は警職法(警察官職務執行法)の範囲で武器使用が可能である。さらにその実施についてもROERules of Engagement:交戦規定)を定めることで混乱なく実施できる仕組みが揃っているからだ。

なによりも承知しなければならない点は、武器携行そのものは違法ではないという点だ。そして、携行しての脱出も大した問題とはならない。仮に難民が武器を持っていても日本領域内への侵入あるいは上陸時に放棄させればよいからだ。

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写真)朝鮮戦争時、南方に避難する韓国国民 出典)U.S. Defense Department

■ 攻撃等は警職法により対処可能

まず最初に知るべきは、日本政府各機関は警職法により武器使用に対処できることだ。ちなみに警察官とあるが自治体警察だけが対象ではない。難民対処の場合は海上保安庁、海上自衛隊、自治体警察、税関、入管も職務執行に伴う武器使用には適用あるいは準用される法律である。

その規定により仮に難民が武器を使用しても対処可能となる。何もできないということはない。相手が鉄砲で射撃をしてきた場合、正当防衛および緊急避難の範囲でこちらも射撃が可能となる。また、相手が凶悪な犯罪を犯したと考えられる難民(例えば、漁船に対する海賊行為といったものだろう)が抵抗、逃走を試みようとした場合、やはり射撃可能となるからだ。

現に海保や海自はこの警職法で海賊対処をしている。アデン湾海賊対策での武器使用はこの警職法に依拠したものだ。

仮に、海賊並みに粗暴な難民が来ても対処できるということだ。

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写真上・下とも)平成26年12月21日 横浜海上保安部により伊豆諸島・鳥島沖の日本領海内で違法操業していた中国のサンゴ漁船の船長を「外国人漁業の規制に関する法律」違反 (領海内違法操業)容疑で現行犯逮捕。出典)海上保安庁平成27年海上保安10大ニュース

もちろん、武器性は「警察比例の原則」の範囲内である。小火器には小火器程度の反撃となる。だが、仮に対戦車ミサイルやロケットランチャーを持ってきても海保と海自は対処できる。海保も20ミリ以上の機関砲をもっている。画像ロック可能であり、小型船は容易に沈める威力を持つ。

海自に至ってはそれ以上の大砲、3インチ、5インチ砲がある。その上、海上警備行動に備えて、命中しても木っ端微塵にしないよう炸薬を抜いた弾まで用意しているほどの準備をしているからだ。

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写真)ベトナムのボートピープル (1975年4月30日のサイゴン崩壊により、数十万人のベトナム人が難民となり脱出した。)
出典)Vietnamese Boat People Monument – Westminster, California

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