- 2017年09月22日 09:20
朝日の虚報、尖閣への日米安保適用で
2/2・民主党クリントン政権時代の1996年、カート・キャンベル国防次官補代理(当時)は、尖閣諸島を日米安保条約の適用対象とし、有事の際にはアメリカの防衛義務が生じるとの見解を示した。もちろんクリントン政権下のアメリカ政府の公式政策の表明だった。
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▲写真 鳩山元首相と面会するカート・キャンベル国防次官補代理(当時) 2010年5月21日 出典:U.S. Department of State・共和党ブッシュ政権時代の2004年3月、中国の活動家が尖閣諸島に上陸した際にも、国務省副報道官が記者会見で「日米安保条約は日本の施政下にある領域に適用され、尖閣諸島にも適用される」との見解を明言した。
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▲写真 小泉元首相と面会するジョージ・ブッシュ米元大統領 2005年11月16日 京都にて 出典:U.S. State of Government・共和党ブッシュ政権では2004年にリチャード・アーミテージ国務副長官が尖閣諸島には日米安保条約が適用されると明言した。
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▲写真 リチャード・アーミテージ国務副長官(当時) 出典:U.S. Government
以上のような事実は朝日新聞の「米国が初めて尖閣への『安保条約適用』を明言したのはオバマ前政権下の2010年」という報道が事実ではないことを明示している。
実はアメリカの尖閣防衛誓約は1972年から明確にされてきた。同年5月に尖閣諸島はアメリカの統治下から沖縄諸島とともに日本側に返還された。その際に施政権は確実に日本国に返された。だからこその返還である。
日米安保条約第五条(注1)は「日本の施政の下」にある領域の防衛にはアメリカもあたることが明記されている。だから尖閣諸島が日米安保条約の適用の対象になることはこの時点でアメリカから日本に明確に伝えられていた。その事実を示す公文書が厳然と存在する。日米両国政府間ではそのことは「明言」されてきたのだ。
オバマ大統領が日米安保の尖閣適用を明言した際に、「とくに新しいことではない」と述べたのもこうした歴史を踏まえたからだといえよう。
ただし1990年代後半の一時期、このアメリカの尖閣防衛責務が揺らいでみえたことがあった。
クリントン政権時代の1996年9月、当時の駐日アメリカ大使のウォルター・モンデール氏が「米軍は尖閣諸島の紛争に介入する日米安保条約上の責務を有していない」と述べたという記事がニューヨーク・タイムズに載ったのだ。当時のアメリカ国務省もモンデール大使の言葉をすぐには否定しないという期間があった。
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▲写真 ウォルター・モンデール元駐日アメリカ大使 出典:United States Department of State
だがクリントン政権のキャンベル国防次官補代理ら他の政府高官がまもなくモンデール発言を否定する形で、日米安保の尖閣適用を明言するようになった。2001年1月に登場したブッシュ政権も前記のようにアーミテージ氏らが同趣旨を明言したわけだ。
だからアメリカの歴代政権は一貫して日米安保の尖閣適用を明言してきたのである。だが朝日新聞は「オバマ政権が初めて明言」と報じるのだ。アメリカによる尖閣防衛の責務はきわめて歴史が浅く、それほど確実ではないように報じるともいえよう。
この誤報は尖閣諸島が中国からの無法の領有権主張をぶつけられ、毎週のように領海侵犯をされている現状をみると、きわめて重大な虚報のようにみえてくる。日米同盟でのアメリカの防衛誓約がいかにも不確実であるかのように描く政治的な意図さえも感じさせられるわけだ。
注1)日米安全保障条約
第五条
各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。
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