記事
  • ヒロ

上がらない物価、なぜ?

物価が上がらない、というテーマはもう何年も断片的に話題に挙げてきました。ニュース欄を見ると専門家が「時間がたてば上がる」と言い続けましたが、もはやオオカミ少年と化しています。先日の民進党の党首選の際、枝野氏が「消費不況はまだ続いているから消費税増税反対」と主張してました。消費税増税反対はともかく、「消費不況」って何でしょうか?今は本当に消費不況なのでしょうか?

ここカナダ。消費者物価指数という点ではこの1年で1.2%の上昇と日本と大して変わりません。しかし、個別でみるとその様相はかなり違います。多くの人の注目する不動産市場ではまるで新興国に来たと思わせるほど建築中の物件が並びます。私の事務所の周り2-3ブロック圏内の建物は2-3除いて全部建て替え工事が計画され、平均40階建てが7-8棟が新築されます。ダウンタウンから閑静な住宅地に向かうキャンビー通り沿いの約30ブロックはほぼすべての戸建て住宅が買収され低層集合住宅に変貌しつつあります。これらはほんの一例で、新築住宅の価格は上がり続けています。

先日、2年ぶりぐらいに行ったある著名なステーキハウス。メニューの価格を見てうーんと唸ってしまいました。メインのステーキは一皿70ドル(6200円程度)ぐらいの値段がつきます。明らかに3-4割は高くなっています。それでも満席で白人でごった返す様子に本当に消費者物価指数は1%台の上昇なのか、と疑ってしまいます。

日本もカナダも変わらないのはスーパーマーケットの物価でしょうか?生鮮品以外の価格は何年たっても変わりません。生鮮品は上下しますが、店側も目玉商品を投入するので結局、支払額は昔からさほど変わらない気がします。

多くの経営者は競争激化の中で価格勝負に挑みます。多くの消費者は価格に敏感になり、「価格ドットコム」のような比較サイトで一番安いところを目指します。日経ビジネスには「さくら水産」の500円ランチは一日5000食の人気メニューとあります。その価格を維持するには企業側の努力でどうにか成しえるとありますが、それは言葉の綾で魚卸に大量仕入れをする代わりに値引きさせるプレッシャーを与えるのでしょう。

日本は総需要不足と言われます。平たく言えば、店が多すぎて客が少ないというわけです。様々な理由が思いつきますが、欧米的に考えれば供給側はコストをかけないビジネスに徹しています。耐用期間をはるかに過ぎた店内の備品や設備を買い替えられない中でしょぼくなる一方の店はいくらでもあります。本来なら生き残れない店がゾンビのように残っています。

消費側にしても高齢者主体の人口構成となれば出費はおのずと知れています。子供や孫に御馳走するハレの日消費は年に数えるぐらいでしょうか。

その日本は世界からそれら消費原料、材料を仕入れています。その価格は上昇の一途で商社は顧客が望む金額で望む量を購入出来ない状態がしばしば発生します。世界の物価水準からどんどん引き離される一方、日本の購買力パワーは落ちていきます。この状態が続けばどうなるか、といえば世界からモノが入らなくなり、消費したくても消費できないサイクルに入らないとも限らないのです。

では給与水準を引き上げればよいのか、と言えばそういうわけでもありません。ベアだ、賞与満額回答だ、と景気の良い話の一方で残業時間の厳しい取り締まりで若い社員は残業代がガクッと減っています。その減少幅はベアや賞与の増額分をはるかに上回るでしょう。私もかつては残業手当が給与の4-5割を占めていた時期があります。これが管理職になった途端、残業代22時間分の管理職手当にすり替わり、一気に管理職貧乏になったことがあります。今の方も同様でしょう。

更に企業はIT化を進め、機械でできる仕事は機械にやらせることを推し進めます。ホテルから介護施設までロボットが押し寄せます。

戦前、日本で大不況の風が吹きまくった際、長男以外は出稼ぎに行かされました。そして遠く海外移住を選択させられた人々も多いのは「家族を食わせられない」という切実な状況があったからです。まさか、あの時のようなことが再び起きることはない、と言い切れるのでしょうか?いや、それよりも「海外では結構、裕福な生活をしている人が多い」という噂を耳にして行ってみようか、と思う人もいるかもしれません。

上がらない物価ではなく、上げられない物価が正しいのでしょう。ジレンマの中でもがく日本とも言えるのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

あわせて読みたい

「消費者物価指数」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    ゴーン氏逮捕 例を見ない悪質さ

    弁護士 紀藤正樹 Masaki kito

  2. 2

    長与千種は例外 喧嘩は通報せよ

    常見陽平

  3. 3

    よしのり氏 日産巡る意見に驚き

    小林よしのり

  4. 4

    いじめ自殺 校長の一言に父怒り

    渋井哲也

  5. 5

    日産社長のゴーン氏批判に違和感

    安倍宏行

  6. 6

    日本に勝利? 韓国で進む歴史歪曲

    NEWSポストセブン

  7. 7

    ゴーン氏前妻 逮捕は当然の結果

    文春オンライン

  8. 8

    ゴーン氏失脚 日産には絶好機に

    吉田喜貴

  9. 9

    ゴーン氏逮捕で日産にメリットも

    ヒロ

  10. 10

    紅白 ユーミンとドリカムに格差?

    渡邉裕二

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。