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「どうなる?ネット時代のマスメディア」でパネルディスカッション

民間放送教育協会(会長:吉永みち子)主催のパネルディスカッション「どうなる?ネット時代のマスメディア」が先ごろ、東京・六本木のEXシアター六本木で開催された。ネット時代の中で特に「テレビ」のあり方について激論が交わされた。

パネラーには、サイバーエージェントの藤田晋社長、電通総研メディアイノベーションラボ統括責任者の奥律哉氏、博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所の吉川昌孝所長、上智大学の音好宏教授、放送作家の鈴木おさむ氏。コーディネーターはテレビ朝日の小松靖アナウンサー。

ディスカッションの前半は、テレビ視聴が減ってネット利用が伸びている、特に若い世代のモバイル利用が増えている状況の中で、〝テレビはどうあるべきか〟〝テレビの接触率を回復するにはどうしたらよいか〟をテーマに論戦が繰り広げられた。

○動画コンテンツ、テレビ画面だと視聴時間長い

▼奥律哉氏は、テレビ受像機のインターネット結線率は21・1%で、そのうち半分が動画視聴され(電通総研調査2015年12月)、その際、視聴する滞在時間はモバイルや他のデバイスよりも長い傾向にあるとし、そのため「テレビも含めてネットに結線される時代に、(テレビ局は)コンテンツをネット側に置いていくことも選択肢として必要」とした。

一方、藤田晋氏は、AbemaTVをテレビ受像機でも視聴できる対応サービスを提供しており、「画面が大きいテレビでの視聴は、視聴時間が長くなる。じっくり見たいものはテレビで見られている」とした。

○OA後のトレンドワードに注目

▼鈴木おさむ氏は番組制作者の立場から発言。手掛けているテレ朝の番組『地球征服~』の現場ディレクター〝ナスD〟の部族アースのコーナーなどのように「視聴率以上に、ネットで話題沸騰したりする。なので、テレビでOA後にネットのトレンドワードなどを大事にしたりする」とした。

また、鈴木おさむ氏は、7月の1ヵ月間で再生数1億回を記録したという人気ユーチューバーの話として「ユーチューバーにとって、夏休みは(再生数の)稼ぎ時だが、逆に再生数が落ちるのは年末。年末には楽しいテレビ番組が多いから。顕著に落ちるのは大型音楽番組がある時」と紹介し、鈴木おさむ氏は「視聴者はテレビに集中する時はスマホを見ないことがあることもわかった」と話した。

○在宅率減少影響‐視聴率低下の評価は気の毒

▼奥律哉氏は「昔は主婦の在宅率が高く、テレビがよく見られた。在宅時間に対しテレビ視聴は4割もあった。しかし今、10代や20代は20%だ。スコアだけが下がっているから、コンテンツパワーがなくなったと見られるのは気の毒だ。接触面積を作ることで、ニーズが戻って来る可能性、チャンスがある」とした。

▼テレビ番組の視聴データ(指標)について、音好宏氏は、視聴率以外(WEBなど)のデータが視聴率と同じような形で測ることができるのかという課題がある中で、その指標をどうするかが問われている旨を述べた。

吉川昌孝氏は「メディア環境が変わっている中で、それに即して、視聴率にプラスαしたデータの指標が、媒体社やクライアントにも必要なのではないか」とした。タイムシフト視聴率も、さらに番組価値として大きくカウントされることは、放送局側は求めている。

奥氏は「(テレビ番組の話題が)ツイッターやフェイスブックで拡散されることをデータ化して視覚化することは、今いろんなトライが行われている。テレビとネットの両方をパネル化して、どんなことが起きているかシングルソース化して見ていくということも始まっている。そうしたことが今後使われていく。テレビだけで語るのでなく、複眼的に見ていくようになる」とする。

○視聴率ベースの広告収益モデルではじり貧に

▼藤田晋氏は「テレビ局はトータルで収益を上げるビジネスモデルに変革していく必要がある」旨を述べた。「DAZNがJリーグ放映権を高額で契約したが、その財源はトトカルチョなどで、他の動画配信サービスも同様で、財源はテレビ収益をベースにしたものでなく、他にある」等と指摘し、「テレビ局が今までの延長で視聴率をベースにした広告収益のビジネスモデルをやっていくと勝負にならない。このままいくとじり貧になる。テレビ局が決算発表すると、〝不動産屋じゃないか〟等とよく批判されたりしているが、私としてはその批判は納得いかない」とも話し、「テレビ局は、別に収益を求め、それをもってコンテンツ制作にかける。そのコンテンツをもって他の事業に参入すれば」とした。

○若年層の就寝前モバイル行動を密着調査

第二部の冒頭では音好宏氏がマスメディアの機能等の変化について分析。マルチメディア化した現在、分散化され、統合型メディアへの接触が低下、「意見分布が見えなくなっている」旨を披露した。

▼テレビ視聴とネット利用の現状については、次のとおり紹介された。

総務省調査(今年7月発表)2016年の〝平日の1日平均視聴時間〟は、前年比3・6%減の168分(2時間48分)。これに対しインターネット利用時間は10・3%増の99・8%分(1時間39・8分)で、4年連続増加している。とくに10代・20代ではネットがテレビを上回っている。

博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所「メディア定点調査2017」(今年6月発表)メディア別接触時間の構成比を2006年から現在までの傾向をみると、テレビはシェア39・0%に減り、モバイルは30・5%(うちスマホ23・9%)に拡大している。10代・20代(とくに女性)ではモバイルが半分を占めて接触。

吉川昌孝氏は「マスからデジタル、そしてモバイルへと時代が変化している」とする。モバイルに長く接触するのは就寝前(平均1時間)が最も多く、そこで〝若年層の就寝前モバイル行動密着調査〟(男女各1名の様子を撮影)を実施したところ、女性(19歳)の場合、次から次へと動画視聴やネット検索、SNSなど行った。一方、男性(20歳)は、女性が1台のスマホを利用しているのと違い、トリプルスクリーン視聴した。手元でスマホを持ち、傍にタブレット、そしてテレビを見るという行為。スマホでツイッターして、テレビは録画の「渡る世間は鬼ばかり」、タブレットは定額制動画配信の「踊る大捜査線」を流すという状況だった。

吉川氏は、ディスカッションの会場で、撮影したこの男女の様子の映像を紹介し、「チェーン・ビューイング(動画もSNSも、次から次へ)」「サイマル・ビューイング(すべて〝従〟で〝主〟がない)」であるとの傾向を示した。

また、〝時間があって、やることがない時〟の調査で、とくに若い人は、テレビ視聴が選択されない傾向が見られた。

【写真】(左から)小松靖、吉川昌孝、奥律哉、藤田晋、鈴木おさむ、音好宏の各氏

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