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- 2017年09月19日 07:57
「僕はゲイです」と32年間言えなかった理由と、カミングアウトした理由-「僕は、生きづらさを抱えている人の“希望”になりたい」
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電通がその市場規模について報告書を出したり、映画やドラマの題材になったりなど、かつてと比べるとかなり世間にその存在が認知され、理解が進んできたLGBT。
とはいえその存在を頭では理解していたとしても、実際に家族や親しい友人、同僚など周囲にLGBTの人がいないと「LGBTについて深く知る」「その心情に寄り添う」きっかけはなかなか少ないのではないだろうか。
今回は、1年前に家族や同僚、世間にゲイであることをカミングアウトした中村俊介さんにLGBTについての基本的なレクチャーをいただきつつ、打ち明けた時の周囲の反応や、打ち明ける気持ちになった理由について話を聞いた。
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中村 俊介(なかむらしゅんすけ)
1984年東京都生まれ。
中学の頃に、同級生が女の子に興味を持つなかで、自分はみんなと違うようだと気づく。高校・大学・新卒で入社した会社と転職した会社で、ゲイであることを隠してきたが、 “大切な人へのカミングアウト”を支援するNPO法人バブリングで活動するうちに考えが変わり、2016年から徐々に周りにカミングアウトし始め、2016年年末に家族や同僚、・友人、そしてNHKの番組「バリバラ」でカミングアウトした。
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電通ダイバーシティ・ラボ制作の「セクシュアリティマップ」より
まず、「カラダの性」があります。
この図で言うと、カラダの性が男か女か、ということ。実際にはそのほかに、男性とも女性とも言えない体だったり、おおむね男性のカラダをしているが、一部が女性にしかない要素を持っていたり、その逆というケースもあります。
そして、「ココロの性」。それは「カラダの性」と一致している場合もあれば、そうでない場合もあります。僕の場合は、男の体で、男の心で、ココロの性とカラダの性が一致していないわけではありません。
そして、「スキになる性」があります。ここが、男性だったり、女性だったり、両方だったり…ということがあります。僕の場合は「スキになる性」が男性なので、「1」にあたるんですね。
この図のとおり「男性の体で、心は女性、スキになる人は女性」(5)ももちろんいます。
その場合は、男性の体であっても、「レズビアン」の人です。
体の性ではなく、ココロの性とスキになる性の組み合わせで「ゲイ」か「レズビアン」を判断します。
たとえば「女性の体で、心は男性、スキになる人は男性」のゲイ(7)の人と「男性の体で、心は女性、スキになる人は女性」のレズビアン(5)の人が付き合っていたら、はた目には特に珍しくないカップルに見えるかもしれませんが、実はちょっと珍しいカップルだったりするわけです。
こういった、「性的マイノリティ」であるLGBTにあたる層は、7.6%、つまり13人にひとりはいる、とされています。(※「電通ダイバーシティ・ラボ」調べ)
姉と姉の夫は、「いいんじゃない?」とすぐに受け入れてくれましたが、母はかなりビックリして、戸惑ったようでした。
もちろん知識としては持っていたようなのですが、「それはテレビの中のこと」「ドラマの中の世界」のように思っていたようで、まさか自分の息子が…?なぜ…?と混乱したようです。
そして今年の夏、Facebookでも公開しました。(その時の投稿内容はこちら)
そしたら、1,000を超える「いいね」・「超いいね」と、300を超える、ほぼすべてが肯定的なコメントをもらったんです。「俊介は俊介だよ」「何も変わらないよ」といったコメントが多くて。自分ももちろんうれしかったんですが、僕の親もそれを見て、とても嬉しかったようです。カミングアウトに対してポジティブな反応ばかりだったのを見て、かなり安心したんでしょうね。
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その後、職場でもカミングアウトしました。事前に伝えていた人も3、4人くらいはいたのですが、朝礼のなかで30~40人くらいの前で話したんです。社員交流の促進を目的に、5分くらいのプレゼンタイムという機会が持ち回りであるので、僕の番のときにドキドキしながら「じつは僕はゲイです」とカミングアウトしました。皆さん、「え?」と戸惑い、そのときはシーンとなっていましたが、オープンにしてよかったな、と思います。
僕の仕事は保険の営業職なんですが、同僚に「お客さんにLGBTの方がいらっしゃるんだけど、こういう場合はどうお話したらいいんだろう」という相談を持ち掛けられたり、本社のダイバーシティ推進プロジェクトに入れてもらったりなど、僕が感知できるマイナス面はまったくないといってよく、新しい関係がつくられていった感じがします。
とはいえその存在を頭では理解していたとしても、実際に家族や親しい友人、同僚など周囲にLGBTの人がいないと「LGBTについて深く知る」「その心情に寄り添う」きっかけはなかなか少ないのではないだろうか。
今回は、1年前に家族や同僚、世間にゲイであることをカミングアウトした中村俊介さんにLGBTについての基本的なレクチャーをいただきつつ、打ち明けた時の周囲の反応や、打ち明ける気持ちになった理由について話を聞いた。
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中村 俊介(なかむらしゅんすけ)
1984年東京都生まれ。
中学の頃に、同級生が女の子に興味を持つなかで、自分はみんなと違うようだと気づく。高校・大学・新卒で入社した会社と転職した会社で、ゲイであることを隠してきたが、 “大切な人へのカミングアウト”を支援するNPO法人バブリングで活動するうちに考えが変わり、2016年から徐々に周りにカミングアウトし始め、2016年年末に家族や同僚、・友人、そしてNHKの番組「バリバラ」でカミングアウトした。
Q:まず、LGBTの基本について教えてください
僕がこれまで得てきた知識でお話しますね。芸能人でいうとマツコ・デラックスさんもはるな愛さんもKABAちゃんもみんな同じ「性的マイノリティ」カテゴリにくくってしまわれることが多いのですが、LGBTにもいろいろな種類があるんです。図を使って説明しますね。画像を見る
電通ダイバーシティ・ラボ制作の「セクシュアリティマップ」より
まず、「カラダの性」があります。
この図で言うと、カラダの性が男か女か、ということ。実際にはそのほかに、男性とも女性とも言えない体だったり、おおむね男性のカラダをしているが、一部が女性にしかない要素を持っていたり、その逆というケースもあります。
そして、「ココロの性」。それは「カラダの性」と一致している場合もあれば、そうでない場合もあります。僕の場合は、男の体で、男の心で、ココロの性とカラダの性が一致していないわけではありません。
そして、「スキになる性」があります。ここが、男性だったり、女性だったり、両方だったり…ということがあります。僕の場合は「スキになる性」が男性なので、「1」にあたるんですね。
この図のとおり「男性の体で、心は女性、スキになる人は女性」(5)ももちろんいます。
その場合は、男性の体であっても、「レズビアン」の人です。
体の性ではなく、ココロの性とスキになる性の組み合わせで「ゲイ」か「レズビアン」を判断します。
たとえば「女性の体で、心は男性、スキになる人は男性」のゲイ(7)の人と「男性の体で、心は女性、スキになる人は女性」のレズビアン(5)の人が付き合っていたら、はた目には特に珍しくないカップルに見えるかもしれませんが、実はちょっと珍しいカップルだったりするわけです。
こういった、「性的マイノリティ」であるLGBTにあたる層は、7.6%、つまり13人にひとりはいる、とされています。(※「電通ダイバーシティ・ラボ」調べ)
Q:家族・周囲へのカミングアウト、反応は
昨年の冬、父・母・姉・姉の夫・兄が集まった時に、実は…と切り出しました。姉と姉の夫は、「いいんじゃない?」とすぐに受け入れてくれましたが、母はかなりビックリして、戸惑ったようでした。
もちろん知識としては持っていたようなのですが、「それはテレビの中のこと」「ドラマの中の世界」のように思っていたようで、まさか自分の息子が…?なぜ…?と混乱したようです。
そして今年の夏、Facebookでも公開しました。(その時の投稿内容はこちら)
そしたら、1,000を超える「いいね」・「超いいね」と、300を超える、ほぼすべてが肯定的なコメントをもらったんです。「俊介は俊介だよ」「何も変わらないよ」といったコメントが多くて。自分ももちろんうれしかったんですが、僕の親もそれを見て、とても嬉しかったようです。カミングアウトに対してポジティブな反応ばかりだったのを見て、かなり安心したんでしょうね。
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その後、職場でもカミングアウトしました。事前に伝えていた人も3、4人くらいはいたのですが、朝礼のなかで30~40人くらいの前で話したんです。社員交流の促進を目的に、5分くらいのプレゼンタイムという機会が持ち回りであるので、僕の番のときにドキドキしながら「じつは僕はゲイです」とカミングアウトしました。皆さん、「え?」と戸惑い、そのときはシーンとなっていましたが、オープンにしてよかったな、と思います。
僕の仕事は保険の営業職なんですが、同僚に「お客さんにLGBTの方がいらっしゃるんだけど、こういう場合はどうお話したらいいんだろう」という相談を持ち掛けられたり、本社のダイバーシティ推進プロジェクトに入れてもらったりなど、僕が感知できるマイナス面はまったくないといってよく、新しい関係がつくられていった感じがします。
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