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スケープゴートにされた「Jアラート」

■「Jアラート」の是非

 「Jアラート」の肯定論・否定論が喧しい。ある人は「Jアラートは絶対に必要だ」と言い、ある人は「Jアラートで危機を煽るべきではない」と言う。

 個人的には、現状、「Jアラート」は必要だと思うのだが、さて、どちらの言い分が正しいのだろうか?

 まず前提として言っておかなければならないのは、この言い争いは、結果論だということである。「Jアラート」の是非を言い争う前に、なぜ、そんなことを言い争わなければならないのか?を考えれば、答えは明白で、原因は北朝鮮がミサイルを発射したことにある。

 北がミサイルを発射しなければ「Jアラート」もなにもない。そもそもの原因は北のミサイルであって、「Jアラート」を鳴らすも鳴らさないも結果論でしかない。

 本来であれば、「ミサイル発射の是非」を言い争うべきところが、「Jアラートの是非」を言い争っているわけだから、ある意味、「Jアラート」はミサイル発射のスケープゴートにされていると言える。

■「地震列島」と「ミサイル列島」

 「Jアラート」と同じく、「緊急地震速報(警報)」の肯定論・否定論というものもある。地震の場合は、程度の差で肯定と否定が分かれる。いくら「地震警報」は必要だと言っても、ほとんど被害の心配がない震度1や2程度で毎度「地震警報」をアラートしていれば、五月蝿くて仕方がないだろうし、被害の出る恐れがある震度5や6で「地震警報」をアラートしないというわけにはいかない。(現状では震度5弱以上でアラートされることになっている)

 では、北のミサイルには程度の差は有るか?と言えば、もちろん、有る。しかし、地震と違って、経験則がない。日本列島は「地震列島」でもあるので、地震については多くの経験則があるため、程度の差でアラートの是非を判断することができる。

 しかし、ミサイルの場合はそうはいかない。このままいくと日本は「ミサイル列島」と揶揄されることになるかもしれないが、日本列島を越えていくような長距離ミサイルを発射されたことは初めての経験なので、程度の差というものが未だ判らない。ゆえに、日本に着弾する可能性がたとえ0%であっても、現状では警報を鳴らさざるを得ない。

■「五月蝿い」ではなく「五月蝿かった」

 「Jアラート」に対して「五月蝿い」と言っている人も大勢いるらしいが、それもまた結果論である。「Jアラート」が鳴った時点では、一般人には現状を把握することができない。ミサイルがどの方向に打たれたのか、どれだけの飛行距離があるのか、いつ危険性が無くなるのか分からない。それらが分からない状況下(自分の上に落ちてくる可能性がある状況下)で「五月蝿い」とは言えない。「五月蝿い」というのはリアルタイムで言うべき台詞なので、Jアラート否定派が言っているのは「五月蝿かった」という結果論としての台詞であるはずだ。

 「Jアラートが五月蝿かった!」と文句を言うのであれば、まず先に、北朝鮮に対して「ミサイルを打つな!」と言うのが筋というものだろう。結果に対して文句を言っても何も始まらない。文句を言うべきは、結果としての「Jアラート」ではなく、原因としての「北のミサイル」であるべきだ。

 ついでに言うと、このミサイル問題で、海外から日本への旅行客も減少するはずだ。これまでの2回のミサイル発射は“日本(特に北海道や東北地方)は危険”というシグナルを海外へ送る役割を果たしているはずなので、旅行会社にとっても無視できない問題だろうと思う。

 では、海外からの旅行客が減るのは「Jアラート」のせいか?と言えば、もちろん違う。旅行客が減る原因は「北のミサイル」であって「Jアラート」ではない。

 今後、「Jアラートのせいで旅行客が減少した」などという、原因と結果を履き違えたスケープゴート論を語る人には要注意だ。

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