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顔認証の可能性とリスク

iPhone Xの発表を受けて、顔認証に関する報道が相次いでいます。便利な一方で、盗まれたら本人が見るだけで簡単にロックを解除されてしまう、プライバシーがなくなるなどの意見も。ただ、世の中の方向は顔認証のようです。 The Economist の表紙の指紋をベースにした顔の画とNowhere to hide(すべてが露わに)のタイトルは象徴的です。

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(The Economist)

Los Angels TimesはApple says iPhone X’s Face ID can’t easily spoofed. But your face isn’t exactly private (アップルはiPhone XのFace ID は簡単に騙せないという。しかし、顔って公開情報ですよね)の中で、アップルが12日に発表した iPhone XがFace IDと呼ばれる顔認証の技術により、端末をちらりと見るだけでロックを解除し、商品を購入し、アプリを使えるようになると伝えています。

「多くのアメリカ人にとっては奇抜なコンセプトだが、顔、指紋、眼球の光彩、網膜を使った生体認証は何十年にわたって研究開発の最前線だった。あのアップルが参入したことで、この分野はさらに後押しされ、近く業界のスタンダードになるかもしれない。多くの消費者がこのコンセプトに違和感があったとしても」ということです。

多くの IT企業が顔認証に資金を投じていて、Facebook が去年、リアルタイムで顔の画像を分析できる Facio Metricsを買収したほか、Snapchat が去年、利用者の顔にフィルターを用いるスタートアップの Lookseryを買収。

さらに、Appleが顔認証技術を開発しているイスラエルの RealFaceと米サンディエゴのEmotient を買収したということです。

Fortuneは、Why I Won't Use Face ID on the New Apple iPhone X (新型のiPhone Xの顔認証を使わない理由)の中で、顔認証技術自体はこれまでも Samsung などが活用しているものの、Appleが全面的に参入したことが局面が変わったと報じています。

「素晴らしい新技術だが、潜在的なリスクが大きすぎる」として、警察当局やスリ、嫉妬深い愛人が簡単に iPhoneのロックを解除できるようになると報じています。 これまではパスコードを入力したり、指紋が必要だったが、Apple の Face IDだと顔を向けるだけで解除できるため、スリにとって魅力的な品だといいます。なるほど。

The Economistsは、顔認証がすでに教会の参列者の出席率を把握するためにアメリカで、店内の万引きを確認するためにイギリスで使われているほか、中国ではライドシェアの運転手の本人確認や遊園地などの入園に、商品の購入に使えるとしています。 「同じ生体認証データでも指紋と異なり、顔認証は遠くからでも把握できる。誰でも顔認証のために画像を撮れる」ため、プライバシー上問題があるといいます。

ロシアでは、あるアプリを使うと 70%の確率でその人が誰かを特定できるといいます。 さらに「顔は、本人確認できるだけでない。ほかに様々な情報を表示し、コンピューターはそれを読み解ける」としています。

遺伝性の疾患を早期に発見できる一方で、スタンフォード大学の研究ではゲイかどうかも 81 %の確率で特定でき、さらに企業が採用にあたって、顔の情報から人種、知的水準、性的な志向による選抜ができるようになるとしています。

こうしたプラスとマイナスの効果をバランスさせるため、「ヨーロッパの規制当局は、次期のデータ保護規制の中で" 顔紋 (faceprints)"を含めた生体認証の情報は本人の所有であり、使用にあたっては本人の許諾を必要とする」と解説しています。

Google が非民主国家による悪用を恐れて顔のマッチングをしていない一方で、 AmazonやMicrosoftはクラウドサービスで顔認証技術を提供していて、これが Facebookにとって不可欠となっているということです。 「国家は、(顔認証の)メリットを見逃さないだろう」のあとの締めくくりがしゃれています。

Change is coming. Face up to it (変化はそこまで来ている。直面せよ)。顔のfaceと直面とか正面から立ち向かうを意味する face up をかけています。

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