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- 2017年09月12日 18:14
「ロヒンギャの悲劇」とアウンサン・スー・チー女史 - 坂場三男
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総じて穏やかな国民性を感得したが、軍事史を紐解くと内戦・外戦共に激烈な戦いを繰り返しており、彼ら特有の気性の激しさを表出させることも少なくない。特に、隣国タイのアユタヤ朝を壊滅させた1767年の戦いでは都の仏教遺跡の大半を破壊する暴挙を犯している。今のミャンマー国軍にもそうしたDNAが受け継がれているような気がする。
日本国内にもロヒンギャの人々を襲う未曽有の不幸を懸念する声はあり、スー・チー女史からノーベル平和賞をはく奪すべきだと主張する人たちもいるようである。しかし、メディアの報道は低調で、関連の社説も見受けない。その理由として絶対的な情報不足があろうが、長らくスー・チー女史を民主化のシンボルとして讃えてきた立場との整合性にも苦慮しているのではないか。
イスラム・テロリズムとの関連性という問題もある。今、ミャンマーに国際的な制裁(経済援助の削減・停止や軍関係企業との取引禁止など)を課せば、歴史の歯車をかつての軍政時代に戻してしまうリスクもあるし、「ミャンマー特需」で進出中の自国企業に有害な影響を及ぼすかも知れない。今、日本に出来ることは、ミャンマー政府に対してロヒンギャ人一般に対する非人道的軍事行動の即時停止を求め続けることとバングラデシュ国境に蝟集する難民に対する支援であろうか。また、安保理メンバー国として国連を動かすことも求めたい。
なお、我が国には230名近いロヒンギャの人々がおり(難民申請中?)、その大半が群馬県館林市に集住しているようである。「日本ロヒンギャ支援ネットワーク」という団体も存在する。
日本国内にもロヒンギャの人々を襲う未曽有の不幸を懸念する声はあり、スー・チー女史からノーベル平和賞をはく奪すべきだと主張する人たちもいるようである。しかし、メディアの報道は低調で、関連の社説も見受けない。その理由として絶対的な情報不足があろうが、長らくスー・チー女史を民主化のシンボルとして讃えてきた立場との整合性にも苦慮しているのではないか。
イスラム・テロリズムとの関連性という問題もある。今、ミャンマーに国際的な制裁(経済援助の削減・停止や軍関係企業との取引禁止など)を課せば、歴史の歯車をかつての軍政時代に戻してしまうリスクもあるし、「ミャンマー特需」で進出中の自国企業に有害な影響を及ぼすかも知れない。今、日本に出来ることは、ミャンマー政府に対してロヒンギャ人一般に対する非人道的軍事行動の即時停止を求め続けることとバングラデシュ国境に蝟集する難民に対する支援であろうか。また、安保理メンバー国として国連を動かすことも求めたい。
なお、我が国には230名近いロヒンギャの人々がおり(難民申請中?)、その大半が群馬県館林市に集住しているようである。「日本ロヒンギャ支援ネットワーク」という団体も存在する。
坂場三男(さかばみつお)略歴
1949(昭和24)年、茨城県生れ。1973年横浜市立大学文理学部文科卒業。同年外務省入省。フランス、ベルギー、インド、エジプト、米国(シカゴ)等に勤務。外務本省において総括審議官、中南米局長、外務報道官を務める。2008年、ベトナム国駐箚特命全権大使、2010年、イラク復興支援等調整担当特命全権大使(外務本省)、2012年、ベルギー国駐箚特命全権大使・NATO日本政府代表を歴任。2014年9月、外務省退官。2015-17年、横浜市立大学特別契約教授。現在、JFSS顧問、MS国際コンサルティング事務所代表として民間企業・研究機関等の国際活動を支援。また、複数の東証一部上場企業の社外取締役・顧問を務める。2017年1月、法務省公安審査委員会委員に就任。著書に『大使が見た世界一親日な国 ベトナムの素顔』(宝島社)等がある。
- 一般社団法人日本戦略研究フォーラム
- 外交安全保障を主軸としたシンクタンク



