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EVシフト急加速のヨーロッパ

フランス Nuclear power plant in Cattenom, France Photo by Stefan Kühn

Ulala(ライター・ブロガー)

【まとめ】

・仏、2040年までにガソリン車、ディーゼル車販売禁止。

中国、インドもEVシフト鮮明に。

・日本の自動車メーカーはこの潮流に乗ることができるか岐路に差し掛かっている。

フランスではユロ・エコロジー相により2040年までに国内でのガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止する方針が示されました。フランスに続いて英国もガソリン車の販売禁止を打ち出し、ヨーロッパのEV(電気自動車)シフトが急速に進み始めています。

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▲写真 仏ニコラス・ユロ(Nicolas Hulot)エコロジー相 出典:仏政府HP

EVへの方針を打ち出した背景には、フランスではディーゼル車も日本のようには規制されておらず、公害物質を多く出す旧型車が流通しています。

近年、パリなどの都市部では大気汚染が問題化。そんな状況に追い打ちをかけるかのようにディーゼル車の機能向上で環境への影響を軽減する計画だったのにもかかわらず、フォルクスワーゲンやプジョーなどの主要自動車メーカーでディーゼル車排ガス不正疑惑が露見したことがあります。

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▲写真  2010ワシントン自動車ショーに展示されたVWゴルフTDIクリーンディーゼル 2010年1月 出典:Photo by Mariordo

しかしながらヨーロッパに限らず、大気汚染が問題になっている中国、インドでもEVに切り替える計画も持ち上がり、EVシフトは世界的な動きとなりつつあると言えるでしょう。

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▲写真 インド デリーの交通渋滞 Flickr Photo by Lingaraj GJ

そこで、日本もEV開発を進めていくことが当然のように思えてきます。が、しかし、すでにディーゼル車による大気汚染も大幅に規制されており、旧タイプの車もあまり見かけない、その上、二酸化炭素の発生源になる火力発電に依存が大きい現在の日本には、EVシフトが効果的なのかは少し疑問です。

フランスと同じく原子力発電に力を入れてきた日本ですが、2011年の震災以降、原子力発電停止の要望が高まり、現時点では日本で電気を作るための化石燃料の使用量が増大。フランスが77%を原子力で発電しており、化石燃料の使用量は全体の2%というのに比べ、2015年に日本で発電に使われた石炭・石油・LNG等化石燃料の占める割合は全体の約85%を占めています。そこにはEVで町中の大気汚染量を減らしても、発電側で増える可能性もあるという現実が見えてくるのです。

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▲図 発受電電力量の推移(一般電気事業用) 出典:経済産業省「エネルギー白書2017

そういった日本の事情があるゆえ、日本は主に水素をエネルギー源とするような内部で電気を発生させる仕組みのFCV(燃料電池車)を次世代エコカーの主力に据えてきていたのではないでしょうか。

しかしこのまま日本だけがFCVに注力していけば、世界市場での流通が難しくなっていくのは誰の目にも明かであり、今後の日本の戦略がとても重要なターニングポイントになると言えることは間違いありません。

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▲写真 トヨタ自動車のFCV(燃料電池車)ミライ 出典:トヨタ自動車HP

かつては、ヨーロッパであれだけズラリと並んでいた日本メーカーの電化製品。少なくともフランスでは、現在はほぼ日本製品を店頭で見かけることが無くなりました。

自動車も電化製品と同じ道をたどる可能性はないとは言えません。数十年後、日本の自動車がヨーロッパに存在するかしないか、現時点の自動車産業を含む日本全体の戦略にかかっているといっても過言ではないのです。

現在の日本のEVに対する動きはというと、トヨタ自動車は、ハイブリッド車をエコカーの主力とこれまで位置づけ、電気自動車は販売してきていませんが、中国で2019年からEVを販売する方向で検討しています。

日本で現在EVに力を入れている仏ルノー・日産自動車連合は、グループ全体のEVの累計販売台数が48万台に達し、日産は1回の充電で走れる距離を400キロまで伸ばし、価格を300万円台としたEV「リーフ」の新型を発表したところ。EVに関しても今の時点では世界に大きな遅れはとってないようです。

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▲写真 日産新型リーフ 出典:日産自動車HP

今後はどのように発展していくのか。日本の動向が気になるところです。

(この記事には複数の写真等が含まれています。サイトによって表示されない場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=36007で記事をお読みください)

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