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日本の路地を旅する

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上原 善広
文藝春秋
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路地とは、いわゆる同和地区のことだ。“路地”と名付けたのは中上健次だが、響きを気にいった著者は好んで使っているという。強く関心があるテーマというわけではないのだけど、著者の前作「被差別の食卓」を一気に読んでしまったため今回も迷わず手に取った。

高い理想を掲げていくわけでも熱い情熱をふりまいていくわけでもなく、氏は、ただ、路地から路地へ旅をしていく。東北から佐渡、沖縄まで。テーマも、最近の事件から吉田松陰までと、筆の向くままに進んでいく。そこに描かれるのは、飾らぬ路地の今である。路地の長老が語る話は確かに生々しいものが多いが、それはあくまで昔話だ。今はむしろ、路地という良い意味でも悪い意味でも独立した世界が消え、一つの文化が滅びつつあるという現実がある。

著者自身の前半生も重ね合わされながら、滅びつつある文化へのノスタルジーを語るというのが本書のスタンス。平和で安定した路地への満足と、滅びゆくルーツを惜しむ気持ちが入り混じっていて、何とも言えないリアリティが感じられる。たぶん、多くの地方出身者には、何らかの響くものがあると思う。「イオンもTSUTAYAも出来て便利になったけど、なんか違うよなあ」と地元に違和感を感じている人は僕だけではないはずだ。

あぶらかすのブレイクを見てもわかるように、もはや路地は路地でなくなったのだろう。ただ、文化の発展というのはそういうもので、実は我々も、世界中からやってきたソウルフードに囲まれて生きている。

今回も、食事が一つのキーワードで、あちこちで必ず酒と食いものの話題が入る。どうも食べるのが大好きな人らしく、文章読んでるとこっちまで何かこってりしたものを食べたくなる。とはいえ、あぶらかすもさいぼしもちょっと手に入らないので、とりあえずフライドチキンでも買いに行ってくるかな。

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